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大崎玄蕃と名を変え生き延びた武田勝頼の末裔の咆哮  作者: 吉良山猫
第5章関東統一編
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旅の一座

いつも誤字脱字ありがとうございます。

小田原城下の町では、旅の一座が滞在しており人気を集めていた。


座長の男性と護衛の数人の野武士、そして美女軍団からなるその一座の噂は小田原城の武田勝頼の耳にも入っていた。


美女軍団の踊りや演奏、そして的当てや猿回しなどはどれも見事な物だと言う。


しかし、勝頼はそれらにあまり興味を示さなかった。


理由を挙げれば三つ程その理由はある。


一つ目の理由は勝頼の奥方達は皆美人であり、その上強く恐ろしい。


美人は毎日見慣れているのと、正当な理由なくこれ以上女子に近付いた場合、上杉輝虎や葵に何をされるか分かったものではない。


上杉輝虎などは越後の国から龍の旗を掲げて単騎駆けしてくる可能性もあるし、葵の場合は天井や床下何処からでも現れる為、その場で修羅場突入である。


強すぎる大名として無敵の勝頼だが、女子達と上泉信綱には弱いのである。


変な噂でも彼女らの耳に入ろうものなら、上泉信綱に告げ口をされる可能性もある。


そうすると信綱の地獄のしごきが待っているのである…勝頼の剣は既に達人の域に達しているのだが、剣聖だけは別物である。


しかも耳も勘も良い為、勝頼の僅かな愚痴や不満も見逃さない…


勝頼はいつも思っている…理不尽だ…一応俺は主君なのだがと…


勝頼がこないだ肝を冷やしたのは、信綱が鉄砲の弾を刀で叩き斬った事である。


勝頼でも弓矢くらいであれば叩き斬る事は出来るが、鉄砲となると自信が無い…


それを耳にした信綱は鉄砲の弾くらい斬れない様では全く情けない、鍛錬が足らんようですなと更に稽古が厳しくなっている。


鉄砲の弾を斬れるのは日の本広しと言えどもお前だけだこの化け物がと言いたいが、言うと後が恐ろしいのでここは空気を読んで我慢する。


勝頼は決して弱くは無くむしろ日の本最強に近い、剣だけなら、模擬戦であの前田慶次郎や本多平八郎忠勝、不死身の鬼美濃にも勝っている。


まあ有力な戦国武将の一番の獲物は槍である為、あくまでも剣においてではあるが。


第二の理由としては、勝頼の周りは芸達者であり、音楽は十四番隊がいる為、日の本一だと自負しているし、踊りはいつももてなしの席でその国が用意できる最高の一座のものを見せて貰っていて目が肥えている。


的当てに関しては、忍び達はみな凄腕だが中でも妻である葵の腕は素晴らしい。


葵の的当て技術に勝てる者などそうそういない事は分かりきっている。


猿回しは特に珍しくもなく、珍獣の類に入りそうな網丸が葵と一緒に二足歩行で同じ仕草を繰り出すのをいつも見ているので今更猿回しなどみる気にもなれないのであった。


そして第三の理由は、これだけの大勢の美女軍団を引き連れ少数の護衛で全国を旅して回るのは、ほぼ不可能である。


普通に考えて旅の道中で襲われて終わりである…そうで無いのは連中が十中八九忍びの者であるからである。


それが小田原城下に来たと言う事は、情報収集や工作活動、あるいは暗殺くらいしか理由は思いつかない。


勝頼は先手を打ち、服部半蔵に命じてその配下に旅の一座を監視させている。


服部半蔵の配下の数は三倍程に膨れ上がっていた。


その理由は、勝頼が豊富な資金力で忍びは役に立つ、情報は命なので配下の忍び達には金は惜しまないのでいくらでも数を召抱えて良いと言ってあるのと、伊賀の里が織田信長の傘下に入った為、それを良しと思わぬ者達が里を捨て、伊賀上忍三家である服部半蔵を頼って多くの者が関東に流れて来たからである。


勝頼としては、棚からぼた餅で優秀な忍びが増えてほくほくである。


しかし、事態は変わった方向へ動く事となる。


雪解けまではと居座って居る、父武田信玄が噂の旅の一座の芸を観たいと言いだして、城内に呼び芸を披露させることになったのだ…


そして勝頼は頭を抱えるのであった…

夢はコミカライズです。

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