表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大崎玄蕃と名を変え生き延びた武田勝頼の末裔の咆哮  作者: 吉良山猫
第5章関東統一編
152/169

忍法着ぐるみの術

いつも誤字脱字ありがとうございます。

勝頼は目が覚めると、心臓が飛び出るくらいに驚き、危うく大声をあげそうになってしまった。


何故かと言えば、勝頼の隣に狸がすやすやと寝息を立てて寝ていたからである。


何故横に狸が?と勝頼は思ったが、よく見るとこの狸、通常の狸より大きい…というか人間くらいの大きさがある…まさかな…


勝頼がその明らかに怪しい狸を見つめていると、目を覚ましたらしい狸と勝頼の目があった。


ダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラ


するとその狸は全身からダラダラ汗をかきながら焦っているのがうかがえる。


そう忍法(着ぐるみの術)葵が忍術の稽古をした後に疲れて着ぐるみを脱ぐのを忘れてそのまま寝てしまったのだ。


着ぐるみは本当の狸の毛皮を縫い合わせて作った葵の手作りの特製であった。


勝頼はその狸に扮した葵をじと目で眺めている…


そしてここで葵は大きな過ちを犯してしまった…忍たる者、自ら開発した新術をたとえ勝頼の前と言えど意地を張ってしまい、このまま狸のふりをしてやり過ごそうとしたのだ。


葵にはバレない自信があった…自分が作った狸の着ぐるみの精度は世界一イィィィィィィだと思っていたからだ。


確かにこれが野外で、夜ならばたとえ勝頼が相手と言えど、いや服部半蔵にすらバレなかったかもしれない。


しかし、ここは小田原城の勝頼の寝室であり今は朝なのである…そして狸の大きさを葵は失念していた。


勝頼は葵が扮する狸に向かってにやりと口元を吊り上げたのを葵は見逃さなかった。


ゾゾッと悪寒を感じたのである…


そして不穏なことを呟きだした…小姓を呼びある物を持ってくるように命じたのだ。


「いやー昨日から父上の姿が見えないのであれの匂いを嗅がせたら父上の居場所が分かるかもしれぬな…」


葵は焦った…(父上てどの父上?しかもあれってなに?信玄だけは本気で無理無理と…)


小姓が持って来たのは何かツーンとイカ臭い匂いがする赤い布きれだった。


「さてこれを嗅がせたら父上(信玄)の居場所を突き止めてくれるかもしれぬ」


(無理無理無理、死んじゃうの?私ここで死んじゃうの?)


そう、勝頼が手にしているのは父武田信玄の赤ふんどしであった。


勝頼は葵が狸に化けているのは分かった上で楽しんで構っているのである。


狸に化けた葵が涙を流して止めてと懇願しているのが分かったので流石に可哀想になり、ふんどしは下げさせた。


「そういえば父上は義理父上の氏康殿と小太郎殿と箱根温泉に行ったのを思い出したわ」


それを聞いた葵は命拾いをしたとばかりにほっとした。


勝頼はわざとらしく声を出す。


「しかし、葵は何処に行ったのか?葵の好物の焼き芋を今庭で焼かせているのだがな」


葵はその言葉を聞いてよだれをダラダラ流しながらお腹を鳴らす(ぐぐぅ)と…


葵は、思った…(大好物の焼き芋…食べたい、食べたい)


もう意地を張るのは辞めて正直に正体をばらして焼き芋を食べようかと…


「葵の為に焼き芋に、バターを用意させたのだが…いないなら仕方ないな」


葵は血の涙を流しながら耐えているが、勝頼の言葉に怒りが頂点に達していた(焼き芋にバターだと!?なんと言う精神的な暴力…この世の中に神も仏もいないのかと…)


そして、葵はふて寝した…(忍法狸ね入り)だ。


勝頼はやれやれと思いながら狸に優しく話しかける…「葵、からかって悪かった。一緒に焼き芋バター付きを食べよう」


「私は葵などてはありません、通りすがりのただの狸です」


勝頼はじと目で狸を眺めながら思う…狸は喋らないと思うのだが…


「うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」


葵は狸のように唸り声を上げている…「強情な奴め」


そしてまた狸寝入りをする葵…勝頼は狸の肛門に一撃を加える。


「食らえ、千年殺し」


うぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?


城内に響き渡る葵の悲鳴…そして葵はもう一つの新術を披露する。


「石鹸素符零」


辺り一面に令和の時代で言う無数のシャボン玉が現れたかと思ったら狸の姿は消えていた。


勝頼は何処の美少女戦士だと苦笑いする。


葵の顔は青い美少女戦士に一番似ているのだが、まさかその技を忍術として使ったのには恐れ入る。


まあ、勝頼は美少女戦士は子供の頃から青いのが一番好みであって子供ながら結婚したいと思っていたのだから苦笑いだ。


そして暫くして、ぷんすかぷんすか怒りながら尻を押さえた葵がやってきた。


「勝頼様、おはようございます。庭から何かいい匂いがしますね?」


「ああ探したぞ葵!葵の為に焼き芋とバターを用意させたのだ」


「ありがとうございます勝頼様」


そして意味が分からなく尻をつねられた…まあ理由はわかっているのだが。


丁度良い具合に焼き上がった焼き芋にバターをつけて頬張ると葵の機嫌は直ったようであった。


まあ仲の良い証拠ですかね。



真面目回とほっこり回皆さんどちらが好きですか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ