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大崎玄蕃と名を変え生き延びた武田勝頼の末裔の咆哮  作者: 吉良山猫
第5章関東統一編
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勝負の行方

いつも誤字脱字ありがとうございます。

葵達が沖に消えた頃、勝頼は昌景に訊ねていた。


「昌景、そう言えば慶次郎の姿が見えぬがどこへいったのだ?あのお祭り好きの酒好きがこの機会を逃すとは思えんのだが?」


「何か勝ち馬に乗るとかで息巻いておりましたが先刻から姿が見えませんな?」


そんな話をしている際に、遠くから馬に乗った一団が近づいてきた。


豪快に笑うその男は、最上義光である。


「これはこれは義光殿。新年早々何故こちらに?」


「いや儂はまだ当主ではないのでな、小田原城に様々な大名や武将達が集まる予定と聞きつけ駆けつけたのじゃ」


成る程…確かに最上義光ならやりうるなと勝頼は苦笑いをしながらも迎え入れる。


「しかし面白そうなことをやっておるな。儂も参加するぞ」


まさかの最上義光の参戦である…確かに史実で鮭が何より好物で鯨も獲って食べたとかあったのを思い出す。


そんなことを思っていると漁師から船を借り入れて配下と共に沖に出て行く…「逞しいな」


まあ、流石にこれ以上は急な来客は来ないとは思ったが、嫌な予感がするので夜の宴の料理と酒を余計に手配しておく。


他の者達は鯵や皮剥など普通に釣りを楽しんでいるようだ。


山県昌景は甘鯛を釣り上げていたので、流石赤備えと言ったところか。


上泉信綱は、石鯛や真鯛などを釣り上げている。


三河衆は中々大物が釣れないようで、石川数正が本多忠勝に「もはやこれまで…このままでは我等の面子が丸潰れじゃ。もういい。忠勝、お主の蜻蛉切で鯛でも海老でも何でも良いから突いてまいれ」


「ごめんこうむる。いくら石川殿の頼みとは言え槍が錆びるから嫌じゃ」


「むうぅぅう、ならばここで刀の錆にしてくれるわ」などとやりあっているのを服部半蔵がため息を吐きながら呆れた顔で眺めている。


そんな中、沖から大漁旗を掲げた葵達風魔衆が引き揚げて来る。


「おい家久…あの大漁旗を振っている者を何と見る?」


「……あれはどう見ても慶次郎殿でしょうな」


そう、勝ち馬ならぬ、風魔の船に慶次郎は同乗していたのである。


慶次郎らしいと言えば慶次郎らしい…歌舞伎者と言うか自由人と言うか…


船首で波止場ポーズで目をキラキラさせていた葵と網丸が「トウッ」とそこから飛び上がり勝頼に抱き着こうとするが、葵は受け止めるが網丸をサッとかわす。


すまんな網丸…いくら俺でも2人同時は無理だ、信春に慰めて貰ってくれ。


キャイーンと網丸は馬場信春に突進している。


しかし葵と風魔衆の成果は凄いものであった。2メートル以上ある鮫と1メートル以上の鮫で合わせて5匹いる。


鮫は皮は武具に使えるし、肝油や肉に歯に鰭など無駄にする部分がほとんど無い優秀な食材だ。


新鮮なものであれば刺身にしても癖がなく美味なのはあまり知られていない。


鮫に関しては直ぐにその場で解体を始めさせる。


又、焚き火や水を張った鍋を用意させて火にかけさせる。


この場合、熱燗も用意させた方が良いだろう。


沖からは最上義光がキハダ鮪を釣り上げて笑顔で戻ってくる。


そんな最上義光に皆はなんと出鱈目なと驚くのであった。


これで全員揃ったので結果発表だが、一位は文句無く風魔葵と風魔衆と前田慶次郎。


二位は、僅差で武田信玄で、三位は飛び入り参加の最上義光だった。


葵は勝頼に褒められて一緒に美味しい鱶鰭料理が食べられれば満足だった為、優勝賞品の新型武器は父である風魔小太郎に贈った。


風魔小太郎は娘からの贈り物にプルプルと震え嬉し涙を流していた。


酒は風魔衆と前田慶次郎で一緒に飲むと言うことで話がついた。


しかし、酒の為の執念と言うか、嗅覚が優れていると言うか、結局前田慶次郎は大好きな酒にありつけたので大したものである。


信玄は醤油の美味さと、貴重さを知っていたので上機嫌だった。


最上義光も文武両道の武将の為、勝頼の彫った毘沙門天像の見事さに目を細め、最上家の家宝にするなどと感動してくれていた。


勝頼は最上義光とは友人関係の為、友に褒められるのは嬉しくもあり、照れ臭くもあった。


皆で、熱燗で身体を温めながら鮫の刺身やあら汁と言うか漁師汁を食べ楽しんでいると沖合いに安宅船が見えた。


何事かと皆は沖合を見つめるが、何かを牽引している。


すると見慣れた顔の男達が小船で近付いてくる。


勝頼は目眩がしてきた…


「なんで貴方達がここにいるのですか…」


すると二名がそこへ駆け寄る。


「父上」


「兄上」


そう、安宅船から現れたのは三好長慶と松永久秀であった。


何故か鯨を牽引して…

前田慶次郎はやはりちゃっかりしていますよね?

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