釣り大会
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小田原湾での魚釣り大会は船を使って沖に出たり、銛を使って捕まえるのもルールとして認められた。
しかし、銛を使って魚を突いた場合、魚が痛む為減点対象になる不利もあった。
部下に関しては、補助であれば認めるとのことであった。
武田信玄は陸釣りを楽しんでいたが、何故かヤリイカばかりが釣れる。
「なんで儂の所にはイカしかかからんのであろうのう」
「おう信玄殿、中々大量ではないか?」
北条氏康がにやにやと笑いながら信玄の釣りの成果を見ている。
「うぐうぅぅ…そう言う氏康殿は成果の程は?」
「それが中々大物が釣れなくて頑張っている所でござる」
氏康の成果を見ると、見事な甘鯛や真鯛、それにちらほら皮剥などが釣れている。
「うぐうぅぅ…」
信玄は唸り声を上げて悔しがる。
「まあまあ信玄殿、相模湾は儂にとっては庭みたいなものじゃ。甲斐には海が無い故、川ではこんな大物は獲れまいて。恥じる事ではござらんよ」
ワッハッハッハと笑いながら氏康は釣り場に戻って行く。
「大御館様、我らも負けておる訳にはいきませんな?いくら大御館様がヤリチンでイカ臭くて、どす黒い墨を下の口から年中吐き出しているからといって、イカしか釣れぬヤリチンイカ野郎などとは酷い言い分でござる」
高坂弾正が信玄の横でその端正な整った容姿でさらりと酷いことを言う。
「おのれぃ…しかし弾正、それは些か言い過ぎでは無いのか?」
「天の声でござる」
それを聞いた信玄の怒りは頂点に達し茹で蛸のようになり、真っ赤な顔から湯気がたっている。
そこへ悪い顔をした真田幸隆が信玄に献策をする。
「大御館様、良い手がございますぞ。某の釣ったこの鯵を餌に使って釣り針を一回り大きな物に変えるのです。さすれば鯵以上の大物がかかり氏康殿に一泡吹かせられますぞ」
「成る程、流石は攻め弾正と呼ばれた男よのう…ならばその策に乗るぞ」
「ははっ、ありがたき幸せ」
次の瞬間、信玄の竿に強いあたりがくる…
「おおっ…このあたりはかなりの大物じゃ!皆の者、手を貸せ。これは凄い力じゃ」
信玄の物凄いあたりに周囲は驚き手を止めてそちらに注目する。
そこへ、山県昌景、馬場信春、内藤修理之介、高坂弾正が加わり山県昌景が吠える。
「今こそ我ら武田四名君の力を見せる時じゃ。皆の衆、きばれい」
武田四名君とは令和の史実から武田勝頼が武田四天王につけた名称である。
そして、長期に渡る格闘の末に釣り上げたのは3メートルはあろうかと思われる水蛸であった。
凄い大物であり、中々お目にかかれない大きさであったが、顔を真っ赤にさせて蛸のようになった信玄が釣り上げたことにより周囲から歓声と笑いが起きる。
「流石は父上…見事な蛸でございまする」
勝頼の褒め言葉に、信玄はムスッとしながら聞き返す。
「勝頼、主は何か釣れたのか?」
「はい父上」勝頼は見事な赤むつを信玄に見せる。
赤むつとはかなりの高級魚だ。
「赤むつとな?女子の胸と尻をみて顔を赤くしているむっつりな勝頼にはぴったしじゃのう。全く親の顔が見てみたいわい」
悔し紛れに信玄は勝頼のことをからかうのだが、周りの家臣達は思うのであった…「「「「「「親はあんただよ!!!!」」」」」
しかしともあれ、今のところの暫定一位は武田信玄なのであった。
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