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大崎玄蕃と名を変え生き延びた武田勝頼の末裔の咆哮  作者: 吉良山猫
第4章小田原城編
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再会

松平元信は放逐された後、高野山に登り出家して僧になっていますが、表向きは死んだことになっています。

武田勝頼は服部半蔵、風魔小太郎、霧隠才蔵、風魔葵など忍者衆と、北条氏康、山県昌景、雑賀孫市、島津家久など小田原城に常駐している重臣達と軍議を開いていた。


するとそこに、話を聞きつけた本多忠勝と石川数正が息を荒げて駆け込んできた。


勿論両名は、松平元信は助命され高野山にて出家して僧になっているのを知っているが、それを知らぬ服部半蔵が竹千代君を連れて出奔してきたのを知り、いてもたってもいられなくなったからだ。


本多忠勝と石川数正の姿をみて服部半蔵は目を見開いて驚く。


武田勝頼の元には加藤段蔵や風魔小太郎、風魔葵、霧隠才蔵、武田信玄の歩き巫女、上杉輝虎の軒猿など優秀な忍び衆が多い上に、雑賀孫市と雑賀衆や剣聖上泉信綱などがおり潜入が不可能な上に、自身は竹千代君のことなどもあり動く事が出来なかった為、両名の生存を知らなかったのだ。


「半蔵殿…よもやまたこうして生きて会うことが叶うとは…」本多忠勝が涙ぐんでいる。


「故あってこうして勝頼様の元で日の本の為にと思い生恥を晒しております」


そう言った石川数正は、服部半蔵達が撤退した後のこと、酒井忠次の最後、松平元信のことに関して詳しく語ったのだった。


「そのようなことが…某が勝頼様を頼ったのは間違いではなかった…」


服部半蔵が武田勝頼を頼った理由は、足利義輝の猶子となり小田原公方と呼ばれていること、領内が発展して人口が増えており、飢餓や餓死者を出さぬ善政を敷いていること、帝に一番信頼されていること、忍の能力と重要性を知っており忍びに関しても差別しないこと、敵に回せば皆殺しにする勢いがある程恐ろしいが、味方になった者には寛大であると聞いておりそれに賭けたのであった。


「半蔵殿、我等勝頼様より領地を与えられ譜代衆と分け隔てなく良くして貰っておりまする。勝頼様の下に降ったのは本当に良き決断でした」


服部半蔵は、今度はその後の三河話を皆の前で全て話す。


そして分かった事は世良田二郎三郎が徳川家康を名乗り、本多正信がその懐刀として酒井忠次のいた地位に登り詰め、腕を振るいそれに従った大久保党を使って、松平元信に近い存在だった者達を粛清しているとの話だった。


鳥居元忠などは行方知れずになっており、その生死は不明だと言う。


本多忠勝と石川数正はその話を聞いて服部半蔵の苦労を知り申し訳ない気持ちになった。


世良田二郎三郎とは史実で言う影武者徳川家康の主人公である。


彼は一向宗の為、本多正信とは気が合ったのであろう。


しかし厄介なのは、今川義元に仕える藤林長門守と徳川家康に仕える百地三太夫が敵に回ったことである。


服部半蔵が率いる伊賀忍者や加藤段蔵に仕える甲賀衆もいるが、伊賀忍者の三分のニを敵に回すことになったからだ。


甲賀衆は伊賀忍者と異なり、加藤段蔵に仕えた者以外は六角家に大部分が仕えているが、伊賀衆は良い条件を出した大名家に仕えているのだ。


武田勝頼はそのことを重く捉えていた…


服部半蔵には里見家が勝頼に降った際に反抗した者達がいた為、制圧し直轄地にした場所である安房に領地を与えた。


そしてその見返りとして幾つかの仕事を与えた。


まず一つに伊賀衆による江戸の町の警護、服部半蔵自身には小田原城下に屋敷を与え、勝頼の為の忍び働きと風魔葵に時々稽古をつけることを命じた。


風魔葵は次期風魔小太郎と言われるだけあって強さや能力は飛び抜けているが、勝頼は服部半蔵に教えを受けることにより、更に葵に強くなってもらい絶対に死なないようにして欲しかったからだ。


あと一人三河から引き抜きたい人材がいるのを皆に話した。


榊原長政の次男にして、後の榊原康政である。


何故そのような者をと皆は不思議に思ったが、勝頼は毘沙門天の声が聞こえたと話を押し切った。


そして服部半蔵にその者を連れてくるように命じたのであった。

本多正信はこの世界では三河にとどまります。

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― 新着の感想 ―
[一言] 一番下の某以上なのらは、分からん。どういう意味か
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