勝頼の想い
誤字脱字ありがとうございます。
風魔小太郎は葵に真剣に向き合う…実は葵が風魔早苗の死を知った時にいつか話をしなくてはならないと用意していたのだ。
「葵よ…お前に渡したい物があるのだ」
風魔小太郎は懐中から上等な袋に納められた短刀らしき物を葵の前に差し出す。
「父上、これは?」
葵は疑問と共に父の目を見つめる。
「うむ、これはな。葵の母の唯一の形見だ」
風魔小太郎は葵にそれを開ける様に促す。
葵がそれを開けると美しい装飾がなされた短刀が出てきた。
葵が短刀を恐る恐る抜くと、二条藤がはばきに刻まれていた。
「これは葵の母の出自がわかる唯一の物だ」
葵の母は隠し子だった為、父である二条晴良から唯一与えられた物がこの懐刀だけだったらしい。
葵は五摂家の娘に産まれながら、表舞台に立つことは許されず、逃げる様に東国へ送られてた母を思うと胸が苦しかった。
「父上…お爺様は母や私のことをご存知なのでしょうか?」
「葵が産まれたこともえりが亡くなったことも知らんだろうよ」
「そんな…それでは母上があまりに可哀想です」
その言葉に風魔小太郎は何も答えられなかった…
そんな中で勝頼が口を開く「案ずるな葵…いつか必ずこの私がその件を二条晴良殿に取り次いで見せる」
「勝頼様」
「葵よ、私は葵のことを誰よりも愛している…たとえ誰の子であってもだ」
「葵はもし私が今の立場を失ってもついてきてくれるか?」
「当たり前です…勝頼様だから私も好きなのです」
「なら私は、どんな立場になろうとも泥水をすすってでも葵を幸せにすると誓う」
たとえこの身が滅んでもな…勝頼は決意の眼差しをするのであった。
愛する女を幸せにする為ならたとえ自分がどうなっても…たとえ死んでもその約束を守る気概が勝頼にはあった。
世の中男と女しかいない…勝頼は転生者であるが…年齢差は愛に関係ないと思っていた…
死ぬほど好きだと思える相手が歳が離れていたからどうだというのだ?
好きな気持ちには抗えない…だから愛するしかないのだ。
勝頼は葵がついてきてさえくれればなんでも出来ると思っていた。
たとえ今の不遇な状態であろうとも葵の為に頑張ると…
「葵愛してる…」しかし葵が大切すぎて接吻以上のことができない悲しい勝頼なのであった。
勝頼は葵が一番好きなことに気がついたようです。