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元服

新領地の獲得と新家臣

躑躅ヶ崎の館には甲斐、信濃の武将が全て集まっていた。俺と山県昌景はその中央で平伏していた。


「面をあげい。お主らの活躍もあり信濃は完全に我が武田のものとなった。大義である!」


「ははー、勿体無きお言葉ありがとうございまする」


俺と山県昌景は再び平伏する。


「して何故木曽を攻めたのだ?」


「はっ、商人等からの情報であの木曽義康という男かなりの曲者で、もし配下に加えても必ず裏切り我が武田家に仇をなすと思ったからでございます」


「しかしいくらなんでも儂に相談すれば良かったのではないか?」


「はっ、それは父上に認めて欲しい一心からで御座います。私は立場的に諏訪の血を引いている為武田の皆様方からは信頼されず、武田の血を引いているが為に諏訪の者からも信頼されておりません」


この言葉に親族集や重臣、元諏訪の家臣団もギョッとした表情になった!事実だったからである。ただ数人は違う目で四郎をみていた…


家臣達の驚いた表情をみて晴信は納得した。成る程な、四郎に諏訪を継がせようと思っていたが無理かもしれんなと…


「四郎よ、儂は将来其方にに諏訪を継がせようと思っていたのだが諏訪を継ぎたい気はないのか?」


「ありません!」


俺は語気を強めていった。諏訪の家臣団達は複雑な表情をしていた。この子供は優秀だ、しかし自分達が軽んじていて馬鹿にしていたのも事実であったからだ。


「では其方は将来どうしたいのだ?」


「はっ、尊敬する武田信繁叔父上のように別家をたて武田を名乗りとうございます」


名前を出された武田信繁は驚いたが聡明な彼は四郎の能力を認め好意的な思いを抱いていた。


「恐れながら兄上。それが武田の為には宜しいかと思います」


「あいわかった。信繁もそう言うのであればそれが武田の為になろう」


「四郎よ、まだ其方は9つと幼いがこの度の功績は素晴らしいものであった。元服を許す。烏帽子は信繁、お主が務めよ」


「かしこまりました」


「四郎よ、元服の後武田四郎勝頼と名乗るがよい!勝の字は儂の幼名からじゃ」


「ありがたき幸せ」


「今回の功績により其方に領土となんでも欲しい物を一つ褒美にとらせる。遠慮なくもうせ」


「領土は諏訪か高遠あたりを考えておるがどうじゃ?」


「いえ、お断り致しまする」


「なら何処が欲しい?まさか木曽か?」


「いえ、もし許されるならば川中島に領地をいただきとうございます」


「川中島?あそこは長尾との国境で危険だし城もないぞ?」


「私は父上のお役に立ちたいのです。私の力は大したことがなくても山県昌景が一緒にいれば父上は北信濃の心配をせず動けると思うからです」


晴信は考えた。確かに山県昌景を川中島の守りに置けば飛騨や三河、駿河や武蔵方面の何処を攻めるとしても背後が安定するので損はない。


晴信が他の大名と違うのはたとえ自分の息子であろうと自分の利になるかならないかを冷静に考えるところだ。そしてこれには自分に利がある。


「あいわかった!川中島は四郎に任せる。昌景もそれに伴いその周りに領地を与える。城は好きに築いてよい」


「で四郎よ、欲しい物をもうせ?」


「はっ、一人家臣に欲しい人物がおります」


「うむ、あいわかった。もうしてみよ!」


「真田幸隆殿を我が家臣にほしゅうございます」


「真田とな?幸隆が良いなら別に構わんが」


晴信としては村上攻めで活躍はしたが所詮は外様の田舎武将である。特に惜しくもない。


真田幸隆は思っていた。この武田四郎勝頼は只者ではないと…将来必ず化ける…そして外様の自分を指名してきたのならこの子供にかけてみようと。


「私などを指名して頂き光栄の極み!この真田幸隆、四郎様に誠心誠意仕えさせて頂きます」


「うむ、それでは四郎に真田幸隆をつかわす。それと武田菱の使用を許す。なにせ儂の息子だからな」


「ありがたき幸せ」


「しかし末恐ろしい子供よ。全く誰に似たのか…」


四郎の晴信に瓜二つの顔をみてあんただよ!と家臣一同が心の中でつっこんだのは晴信は知るよしもなかった。


こうして元服して新たに川中島の領地と真田幸隆を手に入れた四郎は諏訪より全てを川中島の新領地に移動させたのだった。


川中島に移動したこの時期長尾景虎に手紙と助五郎から入手した香木を贈り物として送った。


長尾景虎が喜んだのはいうまでもない!

次回は川中島に拠点を作ります。

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