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大崎玄蕃と名を変え生き延びた武田勝頼の末裔の咆哮  作者: 吉良山猫
第4章小田原城編
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島津家と勝頼3

いつも誤字脱字ありがとうございます。

島津貴久はサツマイモといも焼酎の美味さに皆が感動している中、勝頼に訊ねる。


「我々島津にこれ程の物を提供して下さると言うのはありがたい話ではあるが、まさかただでと言う訳ではありますまい。我等島津家に何を求めているのかをお聞かせ願いたい」


島津貴久としては当然の反応である。いくらなんでも島津家久を自身の家臣にしたからとは言え、その実家の島津家を援助する理由にはならないのであるから。


「何、今すぐに何かをして欲しいと言う訳ではありません。暫く先のことになると思いますが、私はこの日の本を一つに統一するつもりでいます」


「天下を狙ってらっしゃると言う事でよろしいのかな?」


「いかにも。まずは関東の統一からになりますが、全ての大名を滅ぼしていたら民の生活は落ち着かないでしょう。そこで島津家には力をつけて頂き、私の力が九州まで及ぶようになった際に我々に従って頂きたい。九州でそれまでに島津家が切り取った領土に関しては全ての地と言う訳には行きませぬが、島津四兄弟で各自別家を立てて頂きその分の領土を保証します」


「成る程…確かに一つの大名家が一か所に大きな領土を持っていては日の本統一後の後世への憂いになりかねる為、儂でもそうするであろう」


しかし、島津家にとっても悪い話ではない。食料確保と金銭の確保が出来、領土を切り取り次第なら一族の繁栄に繋がる。


そして目の前にいる武田勝頼の力なら日の本統一も夢ではないやもしれぬ。


日の本が戦のない平和な時代になり、勝頼の天下の世で島津家が末代まで繁栄出来るのであればそれに乗らぬ手はない。


最初はなんたることを家久がしでかしたかと思うたが、今の話を聞けば逆に褒めてやりたいくらいだわと貴久は口元を緩める。


そして、たとえ武田勝頼が天下統一する力がなければ、島津家が取って代わるだけだ。我等に損はない。


「勝頼殿、この申し出受けさせていただく。皆の者、依存はないな?」


ハハーと島津家一同が平伏する。こうして武田勝頼は九州の島津家を味方につけることに成功したのである。


勝頼はまあ、領土が日の本の中にとは一言も言っていないがなと口元を吊り上げるのだが…


勝頼はわかっているとは思うが、サツマイモといも焼酎に関しては天下統一までは島津領内のみの秘密にする様に釘を刺した。


そして、サツマイモを薩摩の国では薩摩芋と呼ぶことを提案し、受け入れられた。本当の意味での薩摩芋になったのである。


農業指導として、サツマイモ農家を薩摩の国に移住させることも約束したのだった。


その後、細かい話を詰めた後、宴となった。勝頼はいも焼酎を提供し、船に積んでいた琉球で手に入れた食材の一部を振る舞った。


こうして武田家と島津家の者達は打ち解け固い結束が生まれたのである。


葵は綺麗な着物に着替え、島津家の者達に酒を注いで回ったのだが、皆が葵のその肌の白さと美しさに見惚れ溜め息をついたと言う。


その後、美味そうにご馳走をたらふく食べていたのだが、お酌の御礼にと後日島津家の者達から贈り物が届いたと言う。


勝頼が馬子にも衣装か…と独り言を漏らしたのを聞き逃す葵ではなく、耳を引っ張られたのはご愛敬だ。

未来への投資は大切ですよね。

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