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大崎玄蕃と名を変え生き延びた武田勝頼の末裔の咆哮  作者: 吉良山猫
第4章小田原城編
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美ら海での一時

いつも誤字脱字ありがとうございます。

三好義興と三好実休は美しい琉球の海を眺めながら酒を飲んでいた。琉球名物泡盛である。


「しかし叔父上よ、あの武田勝頼殿はとんでもない化け物だな」


「あの大器は父上以上だと思う」


「確かに兄上を凌ぐやもしれませんなあ」


2人が例え話に出しているのは、世間からは天下人などと言われている三好長慶である。


彼らからしてみれば勝頼は、全てが規格外の存在であった。財力もさるものながらあの大型船は南蛮船よりも巨大で何より速い。


そして彼の東国での活躍もさることながら、京の都に来てからもやる事は想像を超えた物であった。そして此度の琉球王就任。


そして彼自身が剣聖に鍛えられているからか、恐ろしいほど強く隙がない。剣を振るったことがある者ならその恐ろしさはわかることだろう。


刀を構えた勝頼は何倍にも大きく見えるのだ、そして速い。上泉信綱と武田勝頼の打ち合いを見たが、目で追うのが精一杯であった。


しかもあの統率された軍隊…鉄砲隊の正確無比の射撃、あれを知ったら武田家と戦おうなど誰も思わないだろう。


しかも奥方がおかしい…越後の龍の上杉政虎…相模の獅子の北条氏康の娘早川殿に、東国一の忍者軍団風魔衆の頭領の娘葵、そして先先代の琉球王の孫にあたるサーヤ…恐ろしい顔ぶれだ。


三好義興は武田勝頼だけは敵に回すまいと心に誓っていた。武田家から姫を自身の嫁に迎えてより絆を強めるのもありかもしれぬと思った。


三好実休も似たような考えだが、1人の武士として武田勝頼のことを気に入っていた。あの御仁文武両道ながらなんと清々しい男よと。



首里城では葵がむくれてふて寝をしていた。近隣の子供達とサーヤに泳ぎを教えて欲しい。凄い忍なんでしょうとおだてられ気を良くした葵は風魔秘伝のサラシを使った水着を纏い泳ぎを教えたのだが…子供達に大笑いされたのだ。


葵が教えたのは日本伝統の古式永法のしである。通称横泳ぎである。刀を濡らさず長距離を体力の消耗を最小限に抑えて泳げる優れものなのだが、刀を背負わないでの乙女のその姿は子供達から見て間抜け過ぎたのだ。


恥ずかしくなった葵は目に涙を浮かべて、プンスカプンスカ怒りながら寝床に潜ってしまったのである。


サーヤから事情を聞いた勝頼は苦笑いしながらやれやれとため息をつくと…「葵。少し泳ぎに行かないか?サーヤが一緒に泳ぎたいと言っているぞ?」


「…………」返事がない、ただのふて寝のようだ…


「葵姉様ごめんなさい」


「…………」


意外と頑固だなと勝頼は思いながら…「サーヤ、海で泳ぎながら貝や魚を取ろう。その場で美味く料理してやるぞ。後砂糖を使った菓子も出すぞ」


「えっ、勝頼様嬉しい。葵姉様ご馳走ですよ」


布団の中で葵は美味そうな魚介類と甘い菓子を想像してよだれを垂らす…しかし出て行く機を逃していたので今更出て行きづらい…うう、しかし美味い物と菓子は食べたい…絶体絶命の窮地に立たされていた。


勝頼があと一息と考えていると、サーヤがまだ両親が生きてい頃、父親が起きてくれない時に使っていた秘策があると悪戯っぽい笑顔でヒソヒソ囁く。


それを聞いた勝頼はサーっと青ざめた。いや、流石にそれは葵が可哀想だと思ったからである。


子供と言うのは無邪気だから恐ろしい…次の瞬間葵の断末魔の声が辺りに響き渡った。


「きゃああああああるあああああああああああああああああああ!?」


「葵の尻が…尻がああああ」


「葵大丈夫か?」


「二つに割れたああああ」


勝頼はぶっと噴き出す…そうサーヤが、やったのは子供がよく悪戯でやる浣腸である。しかしいくらなんでも尻が二つに割れたって…もともと割れてるし…遠い目


涙目になった葵は布団を飛び出して勝頼に抱きついている。


「こらこらサーヤ、やり過ぎだぞ」


「ごめんなさい、葵姉様」とサーヤがテヘペロしている。ともあれ皆で海に行き美味い物を食べたのだった。


因みに葵が可哀想になったのでクロールを勝頼は指南してあげたのだった。


最後は3人で笑って過ごせたから良かったのかな?…たぶん…




たまにはゆるい回で。

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