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大崎玄蕃と名を変え生き延びた武田勝頼の末裔の咆哮  作者: 吉良山猫
第4章小田原城編
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出航

京の都編は終了です。

京の都での最後の挨拶や用事を済ませた後、武田勝頼は堺に向かっていた。


加藤段蔵に、足利義輝の護衛と何かあった際にはその身を逃す助けをする様に命じると共に、今回使用した京の屋敷を加藤段蔵と伊賀衆、甲賀衆に任せた。


三好長慶より飯盛山城へ招待されていた為、道中立ち寄ると盛大なもてなしを受けた。


武田勝頼も恩義を感じ、三好長慶へ清酒やいも焼酎、極上の塩、新巻鮭を贈った。


武田勝頼は、去り際に三好長慶に一つだけお願いをした。「ここ数年畿内はまだまだ荒れる気配が致しますが、三好殿、これより先どのような事が御座いましても、実の弟達の事を信じて決して手を取り合って下さいと」


「あいわかった」と力強く三好長慶が答える。


三好義興を、守る為に今回の話になった為、大名として先頭に立ち続けなくてはならない三好長慶は毒殺や暗殺、討ち死にをしない限りは史実より長く生きると勝頼は思っている。


しかし、三好義興と三好実休を連れて行く事により、三好家の戦力が落ちることは明白だった為、勝頼はそれに対しての策を提案して了承されていた。


一つは、今回別行動の雑賀孫市を通じて味方につけた根来衆に三好家を助ける様に依頼した事、もう一つは祖父である武田信虎に客将として三好家の与力になってもらう事だ。


根来衆に関しては、高野山が武田勝頼に好意的だった為、本願寺や比叡山をよく思っていない勝頼が、自国領での真言宗の保護を約束することで味方についてくれる事となった。


傭兵の料金は発生するが、敵対しないだけでも大きな成果であろう。


史実では武田家は、本願寺や比叡山と仲が良いが、それは父武田信玄に限ることであり、相模を拠点としている現当主の武田勝頼とは話が異なる。


一向一揆の恐ろしさや本願寺の坊官の傲慢さ、比叡山の堕落を勝頼は現世でも、前世でも知っている為、武力ある寺社の中では一番まともと言え、自身に好意的な高野山と手を組む事は当然の流れであった。


祖父武田信虎とは、京の都で面会をしており、その際にこの話をしたところ、可愛い孫の為と心より引き受けてくれた。その為、後から合流した兵千を武田信虎に預けて来たのだ。


武田信虎の戦上手と大軍を動かせる指揮力は三好家にとっては大きいだろう。


雑賀衆の勧誘に関しては、以前から武田勝頼と行動を共にしている者達以外は、本願寺との関係が強く引き抜く事は叶わなかった。


そして、三好義興、三好実休を連れ立った武田勝頼は堺に戻って来たのだった。


堺において、武田勝頼は助五郎にある事を頼んだ。南蛮よりとある楽器の数々を取り寄せて欲しいと。


楽器を何に使うかが想像できない助五郎は首を捻るが、武田勝頼の頼みならば何とかせねばと引き受けるのであった。


勝頼は堺の街で補給を済ませ、各者達と合流すると、長いこと心に思い描いていた作戦を遂に実行する事となる。


武田水軍の信濃と甲斐を見た際に、三好義興と三好実休は驚きのあまり固まってしまった。


なんだこの化け物船はと。三好家は阿波の国の出の為、水軍に自信があり、堺で南蛮船や明のジャンク船を見ているが、ここまでの規模の船は見たことも聞いたことも無かったからだ。


これに関しては、南蛮人や明の商人が見ても同じ反応をするとは思うので仕方ないことなのだが…


武田勝頼の進路は、相模ではなく、四国を大回りしてまずは薩摩方面へと向かうのであった。


そして三好義興と三好実休は更に驚く事になる。それは船の速さと練度の高さだ。


都合により、小船の船団も必要な為、牽引しているので最大船速は出せないがそれでも通常の船団より早かった。


そして武田勝頼の目的を聞かされた三好義興と三好実休は更に腰を抜かすほど驚く事になるのだが…


一体この武田勝頼と言う男は何者なのだ?尋常では無いと。


そして武田勝頼は薩摩沖に進路を取るのであった。



遂にあの野望の為に動き出します。

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