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大崎玄蕃と名を変え生き延びた武田勝頼の末裔の咆哮  作者: 吉良山猫
第4章小田原城編
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天下人

三好義興は黄疸を起こして死んだと言われています。家督を譲る譲ってないは確証がないのでここでは譲ってないを採用します。

帝との謁見を済ませた武田勝頼は、京の都での役目は終わった為、帰路につこうとしていた。


しかし、松永久秀より、久秀自身が京の名所を案内致すので、奥方と一緒に是非観光して言って欲しいと嘆願された為、出発を1日遅らせて観光する事となった。


松永久秀は、ほっとした表情で汗を拭い先頭に立ち案内を始める。


まずは清水寺に始まり、銀閣寺、金閣寺と廻る日程だ。


清水寺、銀閣寺とも味があり素晴らしい。葵は終始目をキラキラ輝かせていた。


武田勝頼は、まあ葵が喜んでくれたのならこの観光も無駄では無かったなと笑みを浮かべる。


そして最後の金閣寺に着いた際、松永久秀は懇意にしている茶人が是非、勝頼殿に茶をたてたいと待っている事を告げる。


武田勝頼がその場に臨むと、質素だがそれは粗末では無い出で立ちの男が茶をたてていた。


その傍らには、その男より一回り若いが似た顔をした青年が鎮座していた。


武田勝頼は勧められるがままに茶をいただく。その男が出した茶は爽やかさの中に深みがある…そう、美味いのだ。


しかし、勝頼はある事に気付く…そう、手に持つ茶器は令和の世での国宝、天目茶碗である。


武田勝頼は、ああこれはとようやく事の次第を理解した。


そして…「結構なお手前でした、三好長慶殿」と言った。


ほう…何故手前が三好長慶と思うのだと、茶人は尋ねる。


天目茶碗を使われて、気付かない方がおかしいと勝頼は答えた。


三好長慶は、天目茶碗の価値を理解している武田勝頼に驚いた。


「いかにも儂は三好長慶じゃ。身分を偽って会ったことには謝罪しよう」


「して私にいかなる御用ですか?」


三好長慶は、今噂の武田勝頼に会って見たかったこと、三好家のこと、勝頼に頼みたい事を話した。


三好長慶の言う話によると、嫡男三好義興は有能であり、跡取りとして期待してるのだが、最近になり、三好義興の周りで不審死が起きていたり、三好義興自身が賊に襲われるなど命を狙われている事を察知しているらしい。


しかし、犯人は一向に尻尾を出さず、警戒はしているが鼬ごっことなっており心中穏やかでは無い事を語った。


武田勝頼は、考え過ぎではないのか?と答えるのだが、ここに証拠があると膳を持ってこさせる。


三好長慶の話によると、この膳を食べ続けていた三好義興の影武者が、黄疸の症状を起こして死亡したとのこと。


勝頼は葵を呼ぶと、葵はいつになく真面目な顔で答える。鴆毒であると…風魔葵は食いしん坊だが、そのおかげで嗅覚に優れており、僅かな毒でも見抜けるのだ。


葵からの鴆毒との報告に、勝頼は成る程、これは命を狙われているなと理解した。


三好長慶は、それを理解した武田勝頼に、三好義興の命を守る為に、暫く息子を勝頼の元で匿ってほしいと話す。


勝頼はそれに対して条件を出す。あることを承諾するならこの話を受けようと…


三好長慶は、天目茶碗でも何でもくれてやる。だから何でも条件を飲むので息子を救って欲しいと頭を下げる。


やれやれ天下人に頭を下げられては目も当てられないと勝頼は条件を伝える。


人員的には無理難題だが、未来を知る勝頼からしたら救いの一手である。


それは、このやりとりを含め、これからの事を全て三好長慶が書面に残すこと、三好家の大切な家宝は全て三好義興に譲ると書面に残す事、人材を連れて行く事だ。


足利義輝の猶子の武田勝頼に、三好義興がついて行くのは理由になる…しかし人材とは誰だ?と三好長慶は勝頼に尋ねる。


それは三好実休だと、勝頼は告げる。史実を知る者ならばその理由はわかると思うが三好長慶はそれを知らない。


しかし、将来を期待する我が子の為ならば、軍団が弱化してでも弟の三好実休を三好義興につける事を承諾した。


こうして、三好義興と三好実休は武田勝頼一行に加わる事になった。


武田勝頼は、万が一三好長慶に何かあった際に、三好義興を支える人材が必要と考え、どうせ三好義興を救うなら、数年後に史実では討ち死にする三好実休も救う事にしたのだった。



三好義興が長生きをすれば、三好家の未来は変わるかもしれません。

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