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大崎玄蕃と名を変え生き延びた武田勝頼の末裔の咆哮  作者: 吉良山猫
第4章小田原城編
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帝の信頼

正親町天皇視点での武田勝頼と帝の謁見です。

武田勝頼は、遂に御所にて帝にお目通りが叶う日が来た。


武田勝頼は銭2万貫、三方五つに山にした甲州金、領国産の最上級の塩、壺に入った蜂蜜、新巻鮭、清酒、芋焼酎、ぶどう酒、羽毛布団、絹織物、太刀10振、瑠璃製品、領国産焼き物、茶器、干し芋、干し柿、干しぶどう、沢庵、味噌漬、味噌、醤油、酢、水飴、カステラ、金平糖を献上品として納めた。


常人から見ても、驚きを隠せない量の献上品だが、相手は帝だ。この時代では日々の生活にも困窮しており、毛利氏や本願寺などの献金により何とか儀式などの予定も立てられるようになったと聞いている…


しかし、令和の時代でも日本国の平和を祈ってくださっている天皇陛下だ。自分達が良い物を食べ、帝が生活に困窮しているのを見逃せなかったのだ。


だからこれ程の献上品となった。惜しいとは全く思わない。


何故ならば、帝がこの国の行く末を案じており、民の暮らしの心配や日の本の国の乱れを嘆いていたのを知っていたからである。


現に帝は、帝と言いながら何もできない自身を常に嘆かれていた。


毛利氏や本願寺など献金をしてくれる者達はいたが、奴等は見返りの為に金を出す。


全国の大名や有力者達もそうだ。朝廷が利用されたり、官位が売買されていることにも心を痛めていた。


しかし、自身には何の力も無い…何が帝だ…何が朝廷だと涙していたのだ。


しかし、希望の光が現れた。そう、武田勝頼だ。


かの者は、幼き頃から自身は四男と言う立場にありながらも自身が工面した金を朝廷に献上し続けた。


探らせたところ、自身は粗末な服を着て贅沢はせずに土塗れになり働き、商人の様に商売を行い、自身は下賤なもの以外食べぬ様な熊や猪などを狩りをして蕎麦や芋などと食べていると聞こえてきたのである。


地方の大名達や寺は、自分達が金を貯め込み贅沢な着物を着て威張り散らしていると言うのになんたる健気なことか…


きっと収入の殆どを朝廷に献上してきたに違いないと…


少し思い込みと語弊もあるが、名門とは言え田舎の大名の四男坊が普通に考えれば、その様な金を用意出来る筈もない為、帝の考えも理解できる。


そんな中で、その武田勝頼が家督を継ぎ窮地に陥った時には、勅令で戦を止めて勝頼を救おうとした程である。


しかし、そんな中でかの者は戦に勝ち抜き領土を拡大したのである。


歓喜した帝は、今までのことも考え、御礼と祝いの意味も兼ねて官位を与えたのであった。


その武田勝頼が、今日自身に謁見する為に遥々相模からやって来たと言うのだ。


心が踊らない筈はなかった。しかしこの献上品の多さと見事さ、本当に大丈夫であろうか?


朕の為に無理をしているのは誰が見てもわかる…健気な奴め。朕もその想いに応えねばと考えていた。


そんな中で、関白より日の本以外での自由を認めて欲しい勝頼の旨を聞いた。


認めぬ訳は無かろうに、しかも最上級の塩を定期的に献上する為とは見上げた尊皇の意思よ。


武田勝頼が挨拶に来たが、実に見事な挨拶に作法…本当に関東の田舎より出てきたのかと帝は驚いた。


側近達より、帝たる者おいそれと言葉を掛けてはならぬと念を押されていたが、勝頼の願いに関しては自身で声を掛けようと決めていた。


そして「日の本以外での全ての事に関し其方の好きにする事を認める」と日の本内以外の事に関して、武田勝頼が日の本に不利益を与えることはないと判断した上で、帝としてその権限を許したのであった。


武田勝頼は感激のあまり涙を流しておったが…かの者ならば安心だと久々に晴れやかな気持ちになる帝なのであった。

海外における自由を帝から特別に認められました。普通に考えれば島国と言うこともあり、相模から海外侵攻は不可能に近いですからね。

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