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大崎玄蕃と名を変え生き延びた武田勝頼の末裔の咆哮  作者: 吉良山猫
第4章小田原城編
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風魔葵とくし

誤字脱字いつもありがとうございます。

武田勝頼は政務を終え、上泉信綱と京の町を歩いていると、何者かが言い争っているのが聞こえた。


両人が其方に目をやると、いつもの軽装に身を包んだ風魔葵と網丸が商人と言い争っていたのだ。


勝頼が額に手を当て「あれは葵だな…」と呟くと、じと目で勝頼を見る上泉信綱も「ええ葵様ですな…」と溜め息を吐く。


武田勝頼と上泉信綱は、茶屋に身を隠しそのやり取りを見守ることとした。


聞いていると、風魔葵と網丸が店内の美しい蝶の絵が浮かぶくしを眺めていたところ店主より、小汚い小娘と狸が店内を見ていると商売の邪魔だとどなりつけたらしい。


勝頼が愛刀の雷切に手をかけようとするが、上泉信綱が「勝頼様、京の都での揉め事は皆様方に迷惑がかかりますぞ。自重なされよ」


勝頼はその言葉に、近衛前久達の顔を浮かべ雷切から手を離す。


因みに、武田勝頼は家臣達からは勝頼様と呼ばれている。理由はお館様と呼ばれるのは勝頼にはまだむず痒かったからである。


店主は、大体ここはお前の様な一文も持っていなそうな卑しい田舎者が来る所ではないわ。と葵に怒鳴っている。


私の葵にお前だと?勝頼はこめかみ辺りに血管を浮かべるが、上泉信綱が首を左右に振る。


葵は無礼な、お金ならあります。と言い返すと、ならば今すぐ見せてみろと商人は怒鳴り返す。


葵は懐中を探るが、今の手持ちは銅銭3枚しか持っていなかった。


商人はどや顔になり勝ち誇った顔で葵を追い返す。ほら見たことか、さっさと出て行けと…


葵は目に涙を溜めながらプンスカプンスカ怒りながらすごすごと店を後にする…


それを見ていた武田勝頼は、怒りを抑えながらもその店に入っていく。


武田勝頼の出で立ちは、有力大名のそれとは違い、黒や紺を主体とした何処にでもいそうな武士の出で立ちであった。


勝頼は政務の際には着替えるが、普段街中を歩く際には目立たない格好をしていた。


勝頼は肉食を幼い頃からしていた為、まだ成長期だが、背丈は170センチ位はある。


勝頼が店内に入って行くと店主は一瞬ギョッとするが、顔を見れば恐ろしい顔つきであるがまだ若い。


しかも出で立ちからみて大したことは無さそうだったので軽くあしらう対応をした。


武田勝頼は、先程何か揉めていた様だが何かあったのか?とさり気なく尋ねる。


商人は面倒くさいと思いながら吐き捨てる様に答える。


ああ、小汚い金も持たない小娘がうろついていたので商売の邪魔になるから追い払ったと悪気もなく吐き捨てる。


武田勝頼はならばどの様な者ならば商売を致すのだ?と尋ねると…


何だこいつは偉そうにと思いながらも、別に大名や公家の方々とは言いませんが、それなりに金を持っている者以外はうちは相手にしないと言い張った。


成る程、してそのくしが欲しいのだが?と勝頼は商人に話すと…


馬鹿を言っちゃいけねえ、おたくみたいな一介の侍相手に手が出るような品はうちにはありませんと言う。


これに対しては武田勝頼が怒る前に上泉信綱が切れた。


「無礼者!このお方をどなたと心得る。武田家当主にして、朝廷より官位を賜り、将軍足利義輝公の猶子となられておる武田勝頼公であらされるぞ」


その名を聞いた商人はまさかと思いながら真っ青になった。


「更には、先程追い返した姫は勝頼様の奥方にあらされるぞ。この無礼者が!」


ひぇええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ


商人は腰を抜かした。そして武田勝頼はくしを懐中に入れ代金を置くと、小さい声で囁く。


だけは助けてやる。次はないと心得よ。


後日、その商人の店にそれ以来一切の客が来ることはなくなり、店は潰れたらしい…


屋敷に帰った勝頼は葵を呼び出す「葵、いつも側にいてくれてありがとう。愛している」


そしてあのくしを渡したのだった。葵は感激してしばし泣いていたが、なんの偶然か、欲しかったくしを勝頼から送られて勝頼から抱きしめられたので最後は笑顔になったのだった。

人を見かけで判断してはいけません。

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