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大崎玄蕃と名を変え生き延びた武田勝頼の末裔の咆哮  作者: 吉良山猫
第4章小田原城編
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敵味方の確定

上方の敵と味方がはっきりします。

京の都に滞在している武田勝頼に、甲斐国から父武田信玄より贈り物が届いた。


小田原城の戦い後、息子に武田家の当主として恥ずかしくない兜を被らせたいと考えていた信玄は、自身の諏訪法性の兜とほぼ同様の形の兜を急ぎ造らせたのだ。


武田勝頼用の兜は、信玄の物より鬼面の部分が大きく、鬼と言うよりも琉球のシーサーの様になっていた。


武田勝頼はありがたく受け取り、南蛮具足を身体に着用し、新諏訪法性の兜を被り、ビロードのマントを身に纏う姿が戦場での正装になったのだった。


そんな勝頼の屋敷には毎晩、人目を忍んで近衛前久と足利義輝が訪れていた。


朝廷のトップの関白と征夷大将軍が、こうも簡単に毎晩来ても良いのかと勝頼は呆れるのだが…


当の本人達は、近衛前久は、仲人である自分は父も当然であろうと言い切り、足利義輝は、猶子となったからには余も父であろうと居直る。


筋が通っているだけにタチが悪いと思うのだが、満面の笑みの2人の前に勝頼はぐうの音も出ないのであった。


この高貴な両名は、武田勝頼に心底期待しているのと、勝頼から振舞われる珍しい食事や美味い酒の虜になっているのも理由であった。


特に好むのが、醤油とデザートと呼ばれる甘味、そして勝頼が献上品に入れない葡萄酒、紅茶と呼ばれる南蛮のお茶であった。


これを毎日味わう為ならば、小田原や江戸に下向しても良いと本気で思う程であった。


毎晩酒を酌み交わし語り合う中で、勝頼は足利義輝は絶対に死なせる訳にはいかないと決心する。


高貴な方々なのだが、共に酒を酌み交わす時間が楽しかったからだ。高貴な両名にとってもこれだけ腹を割って話せる相手は今までいなかった為、余計に絆が強固な物となった。


そんな中で、近衛前久が武田勝頼に忠告をする。安芸の毛利元就が此度の官位や将軍の猶子になった勝頼の事を良く思っていなく排除しようと目論んでいるとの話であった。


毛利元就とは中国地方に君臨する大大名で、戦国時代一の謀将であり、暗殺や謀略を得意とする悪魔の如き恐ろしい相手である。


そんな危険人物に目をつけられるとはと流石の勝頼も目眩がした…


足利義輝も、表向きは穏和な表情で腰が低いが、奴の眼は狂気の眼をしており濁り切っておるので注意せよと言い切った。


今回の上洛において人数の制限がある為、風魔衆は妻である葵以外同行しておらず、護衛は加藤段蔵の甲賀衆、伊賀衆のみであった。


まあ彼らがいるおかげでこうして3名で密談ができているのだが…毛利元就には気を付けなくてはならないと言う認識を強めざるを得ない。


小田原に戻ってしまえば暫くは関わらなくても良いので一息つけるのだが…


目立つのは危険と紙一重だと認識せざるを得ない…


足利義輝より、管領家の細川氏や畠山氏、有力大名の六角氏や朝倉氏からも良く思われていないと付け加えられた。


近衛前久からは、五摂家の一条家や九条家、本願寺や比叡山などの仏教勢力から良く思われていないと伝えられた。


逆に二条家やどう言うわけかわからないが高野山からは好意を持たれているとの事であった。


二条家は近衛前久と仲が良いのでわかるが…高野山に関しては何も手出ししていないことが功を奏したのであろうか?


上手くいけば根来衆を味方に出来るかもしれないと勝頼は考えた。


畿内で言えば敵だらけなのだが、武田勝頼の強みは、帝が誰よりも彼を認めて信頼を勝ち取っている事であった。


勝頼は帝を今まで以上に大切にしなくてはならないと心に誓う。


そんな中で武田勝頼をどう思っているが不明だったのが三好長慶であったが、敵の敵は味方で、勝頼が松永久秀と仲が良い事、自身の敵を敵としていることで勝頼には敵意を持つことはなく、仲良くしようと考えている様なのが救いであった。


しかし、これで上方の敵味方がはっきりしたのであった…



出る杭は打たれる…わかりますが、それは力がない場合です。

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