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大崎玄蕃と名を変え生き延びた武田勝頼の末裔の咆哮  作者: 吉良山猫
第4章小田原城編
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山科言継

勝頼の敵は地味にいます。

京の都で名声を高めている武田勝頼に関してよく思っていない公家がいた。


名門で力のある山科言継である。


彼は朝廷を守ってきた自負があった。そして今川義元や寿桂尼とは昵懇の仲であり、武田勝頼の悪口や悪名は嫌と言うほど聞いていた。


どうやって成り上がったかは知らないが、田舎大名で生まれも良くないと噂される武田勝頼などには反吐がでた。


武田勝頼のような下人とは自分達は住む世界が違うのである。


しかも憎き武田勝頼は自身が副業にしている医療や薬学についても手を伸ばしている。許せないのは当然であると考えていた。


直ぐにでも失脚させたいのだが、自身とも仲の良い近衛家や三好家とも武田勝頼は仲良くしている為、直接は手を出せないでいた。


しかし彼は今川義元からの情報と側近からの献策により武田勝頼に嫌がらせを企む。


それは奥方のみの茶会を開いて、風魔葵を呼び出し恥をかかせることだ!


今川義元よりの情報により、風魔葵が箱根の山奥の出身の田舎者なのはしっている。


そして山科言継は著名な奥方達を自らの屋敷に集めての茶会を開催した。


風魔葵は、お茶会など意味がわからないものに参加したくなかったが…招待状を無碍にできなかった。


風魔葵は嫌々ながらもお茶会に出向いた。その肌の美しさはまるで雪ん子であると称賛された。


しかし、山科言継の手が掛かった者がまるで狸のような娘だなと呟くと…周囲の言葉は葵への悪口に変わった。


葵は悔しくて涙を浮かべたが耐えるしかなかった…


奥方達の悪口は葵に降り注ぐ…しかし健気なことに葵は勝頼の為に必死に耐えていた…


女の悪口は最低である…あることないことを罵る…


それに耐えられなくなった葵が爆発しそうになった時であった。


襖が勢い良く開き3名の男がその場に入ってきた。


それは関白近衛前久、将軍足利義輝、そして武田勝頼である。


近衛前久が面白い催しをしていると聞いたので顔を出したと呟くと、山科言継派は青ざめる。


足利義輝は我が猶子の妻に逢いに来たというと周囲が黙る。


しかし、失言をした者がいた。大柄の自信過剰の公家の妻である。


田舎者の狸女の夫が偉そうに!


それを聞き逃す武田勝頼ではなく威圧を放った。スキル毘沙門である。


「私の愛する妻の事を悪く言った者がいるようだが前に出よ!」


武田勝頼の怒りと迫力に誰も答える者はいない…それどころか驚き粗相をする者達が多かった。


武田勝頼は言った。私の事を悪く言うならまだ許す。しかし愛する妻である葵の悪口を言う者は生かしてはおかないと。


武田勝頼にとって風魔葵は愛する妻だ。それを傷つける者がいるならば、全てを敵に回しても皆殺しにするつもりであった。


山科言継は、武田勝頼と風魔葵…そして勝頼の葵への愛を見誤っていたのである。


怒りに震える武田勝頼を足利義輝が連れ出し、近衛前久がその場を収めたのであった。


逆に言えばよく収まったと言うべきか…葵を悪く言った女子の首が後日三条河原にあったとかなかったとか…

愛する人を傷つける者を許すほど心が広くない者もいるようです。

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