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大崎玄蕃と名を変え生き延びた武田勝頼の末裔の咆哮  作者: 吉良山猫
第4章小田原城編
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京の都

遂に京の都を武田軍が行軍します。

初めての上洛を果たした武田勝頼達は、京の都に唖然とした。


戦乱の傷痕が残るその街並みは、それぞれが想像していた華やかなものではなかったからだ。


武田勝頼は、京の都が荒廃しているのは予想はしていたが、ここまで酷いとは思っていなかった。


関東は、食料品に余裕がないが、2番隊として後から甲斐や信濃の食糧を輸送してきている武田典厩信繁と兵500が到着した際に考えていた行動を直ぐに行う必要があると勝頼は考える。


それと、食糧の他に、甲州金と武田菱の旗指物を目一杯持ってくるようにも頼んでいた。


金は佐渡では量産に成功しており、その技術を甲斐や他国でも使用し始めている。


勝頼は海外戦略として日本国内とは別に、金貨を製造もしていたが、今回持って来させたのは甲州金であった。


その資金で悪銭を買い占め灰吹法によりまた利益を上げるつもりである。


数日遅れて武田典厩信繁も到着するだろう。


武田勝頼は助五郎より現地で用意させていた馬を使い赤備え騎馬隊ランス部隊での入京である。


赤備えは山県昌景率いる武田騎馬隊最強軍団であり、その名は全国的に轟いている。


ランス部隊は西洋で言う騎士の様ですらあり、日本の隙間だらけの防具では鎧ごと貫通してしまう。


又、槍と違い強度が高いのも利点である。問題となるのは重量だが、赤備えの精鋭は厳しい鍛錬を積む事でそれを自在に振り回している。


通常彼等が狙うのは兜首のみであり、雑兵は赤備えの歩兵槍部隊が相手をする。


兜首の武将や指揮官としては、自分達に狙いを定め高速で突っ込んでくるのだからたちが悪い。


一糸乱れず行軍する赤備えランス部隊の姿は人々に畏怖を与えた。


京の人々からキャーキャーと歓声が聞こえる。それを武田勝頼は渋い顔をして聞いているが、松永久秀はニヤニヤしながら勝頼に話しかける。


「いやー、勝頼殿はモテますな」


武田勝頼はムスッとした顔を崩さない。松永久秀が皮肉を言っているのがわかっていたからだ。


京の人々が話している内容はこうだ。


ヒソヒソキャーあの顔で十代とか偽りに違いないわ…キャー見てあの目つきまるで猛獣のあれじゃない…何でも熊を斬り殺したらしいわ…いやいや鬼を殺したと聞いたぞ…何でも武田の赤備えが通った後は草木も生えないらしいわ…いや、女は犯され男は皆殺しになると聞いたぞ…キャーみるからにケダモノの顔をしているわ…何でも目があった女は手篭めにされるらしいわ…キャーなんと恐ろしい…


違う意味での歓声であり…ある意味悪口とも言う…大体、祖父の武田信虎や父の武田信玄の悪名的なものや、尾ひれがついた噂まで広まっている…何故だ?


松永久秀が「いやあ色男は辛いものですなぁ。某の悪名や顔付きなど勝頼殿の足元にも及びませんのう」


カッカッカッカと松永久秀は心底楽しそうに笑う。


目つきが悪いのは俺のせいではないわ…しかも言っている事であっているのは顔が怖いってだけだろうが。


ほっとけ。と思いながら勝頼は松永久秀・・・・にだけは言われたくないと思った。


そして「いえいえ、何を仰いますか松永殿。某の顔など松永久秀に比べれば赤子のように可愛いものでござる。それにご高名も松永殿に比べれば可愛いものでござる。語弊もあるようですしね」


武田勝頼と松永久秀がこうしたやり取りをしているのを人混みの中で笠を被った武田信虎が眺めていた。


流石は我が孫よ。しかもあの面構えは儂にそっくりじゃ。そしてあの武者ぶりと赤備えの見事なものよ。


武田信虎は、大軍を率いての上洛でないにしろ、武田家の旗をひらめかせ京の街を行軍する武田勝頼と武田騎馬隊に感慨深いものを覚え、その目尻には光るものがあったのだった…


武田勝頼は、京都での滞在先を、助五郎に用意させ急ぎ改修させた、空き家になっていた公家屋敷に定めていた。


多方面より、是非とも我が屋敷にと言う声があったが、気を遣うのと、何より身動きが取りにくくなる為にこの場所にしたのであった。

武田勝頼は公家や僧侶、名門武家などとは出来るだけ関わりたくないと思っています。頑張れ北条氏康。

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