1回戦2
こうペアの戦いの解説です。
試合の終了を確認して、かなり工夫してると観客席から見ていたはるは思った。
まず、第一にこうは魔法が得意じゃない。それは絶対魔法量と座標設定が問題であるからである。この欠点をこうはまず自分の体から放つことで座標の問題を改善し、さらに肺活量を増やすことで魔法量を最小限に抑えて威力を出したのだ。
通常、咆哮魔法は魔法量で威力が決まるものである。しかし、もう一つ要素があるとすればそれは肺活量である。特に風の咆哮は魔法量と肺活量の両方が必要になるため、あまり使われない魔法となっている。
第二に、いくら肺活量でカバーできるとはいえ、絶対魔法量の少ないこうにはフルチャージの咆哮は1日一回が限界であるということ。これを考慮した上で初手に使うことで急接近の風といっしょに相手への遠距離の牽制にすることができる。
第三に、こうたちは今回の試合で相手にほぼ手を明かしていないのである。元々あまり全力での戦闘を見ない二人であり、また明かしたといえば、あまり使わないと予想される咆哮と誰でも使える突風の二つのみ。対して二人は、他の人の魔法を観察できるのはかなり今後有利になるはずである。また、得意の近接攻撃もなしであるのだから初見では対処のしようがないのである。
そんなことを考えていると、隣で見ていたゆきなが話しかけて来た。
「魔法量が少ないのに、咆哮魔法使うなんてやっぱりすごいね。」
「あの魔力量で風の咆哮をあそこまで再現するのは確かにすごいけど」
多分、あれは序の口だと思う。何と言っても、こうはまだ得意の体術を組み合わせていないからである。
「さあ、私たちも準備しようか」
と私は言う。
「うん」
と言う短い返事とともに準備をするのであった。
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「はるたちの様子はどうだ?」
俺はけいに聞いて見た。けいはその地獄耳を超える聴力ではるたちの会話を聞いていた。
「予想通り、かなり警戒してるな。お前の体術が出てないのもあるし、俺も戦ってないからな。」
「まあ、そうだろうな。フルチャージの咆哮の使用制限とかはさすがに、バレただろうしな。相手次第だが、次はなんとかなるが三回戦くらいからがきついかもな。」
「そこまでくれば、対策済みの人たちも多いんじゃないか?」
「俺もそう思うが、嫌な予感がする。外れてくれればいいんだが。」
そんなことを思いながら、俺たちは観客席へはる達の試合を見るため急いだのだった。
ちょっと次回予告です。
嫌な予感が当たる回です。
次回もよろしくお願いします。