三、世界移動
前回主人公倒れました。
意識を失ったあとまた"何か"に出会った。だが、今度はハッキリと何を言っているのか聞き取れた。「マダダマダキサマニハケンリガナイ。」どう意味なのかは理解できなかった。次の瞬間世界が光に包まれ輝は目を覚ました。そこは病室だった、意識が朦朧とするなか実家にいるはずの母親が目の前で泣き崩れて輝に何か言っていた。どうやら、たまたま様子を見にきた姉に助けられたらしい。ただ、ハッキリしない意識が続き30分程度でまた、眠りに落ちた。ふと目を覚ますと。そこは昼の病室だった今度は鮮明に意識を持っていた。しかし、異様な雰囲気をすぐさま感じた。そこでは一切の後はせず、まるで世界に一人きりのようだった。病院を歩き回るも人っ子ひとり見当たらない。そうしてたどり着いた屋上で青空をながめて夢の中の"何か"の言葉を考えていた。「まだ権利がない...ねえ」あれの存在が何であるかもわからないのに、言ってることの意味もわからない。輝は全部自分が作り出した妄想を夢として見ていたものと解釈することにした。「さてこの静かな"夢"からも覚めるか。」そう思い目を閉じたとき自分が宙に浮いていることに気づいた。なんと屋上から飛び降りていた。「ハッ?」目を開けると恐ろしい勢いで迫り来る地面に恐怖を感じる暇もなく激突した。「グシャツッッ!!!」痛みはなかったしかし、またも自分の意思とは違った行動に違和感を覚えた。
「また、ここか」"何か"がいた夢の世界に3回目のご招待だ、さすがに落ち着いていた。
?「やっと権利を得てきたか。」
瞬間、輝が持っていた冷静さはどこかに飛んで言った。それもそのはず、今まで聞き取れなかったりカタコトような男の声で意味不明なことが聞こえていたのに、今度はよりハッキリとしかも、女の子の声で話しかけられたからだ。
輝「うわぁっ!誰だお前!?」
女子高校生の平均身長くらいで黒いローブに身を包み、杖を持った女の子に情けない声で叫んだ。
女の子「騒ぐな。貴様は条件を満たした今までとは違った生活を送れる世界に送ってやる...ブッw!」
状況を把握出来ていない輝にはその急な笑いは恐怖でしかなかったし、彼女のギャグセンスはもっと理解できなかった。
女の子「すまんすまん。危うく腹筋が崩壊するところだったw。フフッ...送る2回言っちゃったwこれオヤジギャグってやつwww」
女の子「ゴホンッ!えー話を戻して。説明めんどいな...まぁ君は別の世界で暮らしてもらう」
輝「ハッ?えっ?なんてっ?」
本当に意味がわからなかった。
輝「この世界とお前は俺の夢じゃないのかよ!?」
女の子「なにを言っておる?この世界は我の領域で貴様をここに呼んでいただけだが?」
輝「じゃーここどこ?お前誰!?俺を帰してくれ!!」
女の子「本当に帰りたいのか?」
輝「...ぇ?。」
女の子「はぁー。説明しなきゃだめなのぉーめんどいよぉ☆キ☆サ☆マ☆。」
キョトンとした輝を見てさすがに話す気になった。
女の子「ここがどこで、我が誰かはどうでもいい。我は貴様が"死にたい"と望んだから叶えてやっただけだ。」
女の子「しかも、貴様が見てたアニメとか漫画みたいに別の世界に送ってあげるんだぜ!我ったらアフターケアパーフェクト!!!テヘッ☆」
輝「え?俺の望みを叶えた?俺はそんなこと頼んでねぇよ!いや、思いはしたけどパチンコに負けてブルーになってただけで本気では...。」
女の子「動機とか願いの強さとかはどうでもいいのだ、貴様がそれを望んだには変わりない。それにあのとき貴様、本気だったぞ?笑」
輝は今の状況を徐々に把握していき自分が死んだ?原因がパチンコだなんて浮かばれなさすぎる...でも自業自得か。なんて思っていたとき、ふと気づいた。
輝「もしかして...俺が自分の思ったことと違って手首切ったり、屋上から飛び降りたのって..。」
女の子「我がやったようん。」
信じがたい現状を把握し、怒りやよくわからない感情が込み上げてきた。でも最後に残ったのは自分の人生がこんなくだらないカタチで終わったのだという絶望だった。
輝「死んだと思って助かったのもつかの間今度は本当に死んだのか...。何もない人生だった。ハッ.ハハハ...。」
悲しい笑いがこみ上げる。
女の子「いやいやちゃんと2回死んでるし、人生これからよ?貴様くん。」
輝「それってどういぅ」
女の子「一度目は肉体を殺し、二度目は精神世界で貴様くんの精神を殺した。...精神2回言っちゃったw彼の腹筋は大丈夫かのぉw」
輝「肉体?精神?」
女の子「ゴホンッ!そう人を構成してる部品としての肉体と精神。そして貴様くんは今"魂"。この3つで人はできている。んぁーと別世界に移動させるには肉体・精神の情報が詰まった魂のみが必要なのだぞ。」
輝「俺は死んで...厳密には死んだのではなく魂という情報体になったと?」
女の子「まぁそんなかんじ」
テキトーである。
女の子「さぁ!そろそろ転送する。こころの準備はいいか?...良し!いいな!じゃーいっくぞー!!」
輝「ちょっと待て!さっきから送るってなんだ?どこに?それに"人生これからって"?」
女の子「貴様くんハテナ多すぎぃー。さっきから別の世界に送ってあげるって言ってるじゃん!そこで二度目の人生を...ふっ今度こそ上手くやれよ。じゃーいっくぞー!」
輝「待って!待って!」
女の子「待たん!いっくぞー!」
輝「お願い待って!!」
女の子「今更何をためらう?さっきの、貴様への我の問い。"帰りたいのか?"貴様は答えられなかっただろう?貴様は気づいているのだろう、このままあの世界にいても自分を変えれずただくだらん人生を送ることを。」
輝「ック!」
女の子「ならここで変えてみせろよ!ここから変わってみせろ!人間!!」
彼女からの怒声に輝は動かされた。輝には人生でここまで怒ってくれる人がいなかったのだ。普通の家庭に育ち、親の愛深きゆえにに甘やかされた彼は怒りに飢えていた。
輝「せっかくもらったチャンスだしな」
小声でささやく。
輝「決めたぜ。行くよ俺!」
女の子「フッ。遅いぞ貴様くん。その道をゆけ!良い人生を!見守ってるぞ。」
彼女が微笑み指し示した方に光の道が現れた。
輝「なんか色々世話になったな。原因はあんたな気がするが...なんていうか...その...あ.ありがとう!」
ありがとうなんて本気で言ったのは何年ぶりだっただろうか照れ臭さはあったがそれよりも彼女に対しての感謝が上回ったのだろう。
女の子「あぁそれと肉体と精神の情報がいるって言ったが、肉体はほぼいちからじゃからかんばれよ」
輝「へ?うわぁぁぁ!!」
重要な注意事項を移動直前に伝えられた。
輝「先に言えよばかぁぁ!!」
光に包まれていくなか'ありがとう"なんて言うんじゃなかっと後悔しながら輝のいや名も無き彼の人生が始まる。
誤字あると思います。