第十七話 優しさはどこに 前編
時間が無くて予定の半分
第十七話 優しさはどこに 前編
正気じゃないのはいつものことだ。
袁姫昌とアルマのデートを尾行する一同は、銃を所持しているとみられる男にじりじりと近づいていた。
容疑者を見つけるのは実に簡単で、デート開始一時間くらいの辺りで、そいつは現れた。以後、携帯端末をいじりながら付かず離れずアルマを目で追っている。
レンタルの指揮車両でモニターしている蘇土と藤野美耶子はダンドラ・ウリエルが男の背後に立つのを確認した。
「……待って、あれは銃を持ってないわ」
ダンドラが動こうとしたタイミングで美耶子は言葉を発した。
耳に装着してあるイヤホンは、骨伝導で言葉をはっきりと伝える。
『指示を』と、ウリエルは小さく咳き込むようにしてマイクに囁く。
「歩き方で分かるし、殺気が薄すぎるのよ」
「どこかで情報が漏れたかな。ダンドラ、そいつ職質かけてくれ。藤野さん、ダンドラの代わりに尾行を」
「了解」
『了解』
ダンドラが男に警備業資格証を出して職務質問をかけているが、特に相手は不審な動作は見せていない。何やら文句は言っているようだが、それだけだ。
美耶子がカバーに入ったのを確認して、ダンドラから送られた容疑者の市民IDをチェックする。
ソーサラーズから貰った権限で照会すれば、軽犯罪歴のあるチンピラだ。女連れのアルマに因縁でもつけようとしたのだろう。イケメン税である。
『銃は無いのである。しかし、見られていたら不味かったのではないか?』
「そのための藤野さんだ」
アルマは一部始終を聴いているが、デートを楽しむふりを続けている。だが、二人の顔に笑顔はあまり無い。
姫昌とアルマは当初の予定通り、若者たちが多い三中通りの一画を歩いている。
どこにでもいそうな男を捜すのは難しい。
イジメっ子とやらを適当に締め上げるのが早かったかな、と蘇土は少し後悔した。
それからはしばらくなんてことのない盛り上がらないデートを見ていて、姫昌のストレスは目に見えて明らかだ。
自販機を蹴りつけたり、串焼きの屋台で肉を食べたり、明らかである。
「化けの皮が剥がれちまうな」
『殺気があるわ。急行します』
何か言う前にモニターの中の美耶子が動いた。
カメラを切り替えると美耶子の耳元に仕掛けられたピアスカメラの映像だ。恐ろしく早く移動しているのにほとんど揺れが無い。
人と一度もぶつかることなく、アルマの近くにいた男の元へたどり着く。
「職質を」
『……捕まえたらダメですか』
「許可します」
◆◆◆
恋というのは人を狂わせる。
藤野美耶子にとってそれは言い訳にしか聞こえない。
恋に狂うというが、ストーカーなんていうのは九歳児の世界観のまま大きくなった馬鹿者だ。
九歳というのは世界の中心に自分がいると思っても許される年齢だ。
両親に愛されてもいいし、自分にだけ都合の良いことがあってもいい。人と分かりあってもいいし、仲直りしたっていい。欲しいものを欲しいと言って、それが叶うことだってある。
そういうのは九歳児までだ。
それを過ぎれば、人は否応なしにそれらがひどく難しいことだと気づかされる。
子供同士でも権力闘争はあるし、両親は常に自分のことだけを気にしてくれる訳でもない。気に食わない相手と死ぬまで争うことだってある。どれだけ欲しくても手に入らないものは多すぎて、妥協も必要になる。
大人になるというのはそういうことで、誰でもが完全に九歳児の世界観を捨て切れる訳ではない。男の子供っぽさというのも九歳児のころの感覚が抜けきらない所にある。と、美耶子は思う。
誰だって少しくらい子供のままの部分があって、それは別に悪ではない。
このストーカーというのは九歳児のままだ。
優しい袁姫昌欲しくて、手に入らないからダダをこねている。手に入らないのは自分のせいではない。アルマが悪い。だから害さねばならない。害するための力が無いから引き金を引くだけで敵を倒せる銃が欲しい。
手に入れたから撃つ。
ここで少しでも大人の部分があれば、撃った後のことを考えてためらうものだ。だが、ヤツは撃った。
美耶子は愚かな男のことを思う。
自分とそんなに変わらない愚かさだけれど、本質は少し違う。
暴力を手段とするのはいいが、やるなら簡単にやってはいけない。破滅するなら痛みを得なくてはいけない。
暴力は愛しているから行使するのだ。理解し、理解させるために使わねばならない。
正気ではないと人は言うだろう。医師だって真面目な顔でこっちの発言をカルテに書き込むが、こちらのことなど理解しようとしちゃあいない。
九歳児は理解されて当然と思っている。理解されていて、苦しみも、愛も、何もかも理解されて当然だと思い、自分の醜さは人に映らないと思っている。
他人のことを理解する能力が無いのではない。自分のことで頭がいっぱいで、そこに気づけないから誰にも理解されない。でも、それでいい。そのまま大きくなってしまったのだから、もうダメだ。痛みの重さを理解できないなら、死ぬべきだ。
暴力はその重さを理解して行使する。
今はその時で、彼を少しだけ大人にしてやれる好機でもある。
だから、美耶子はその男の子に笑いかけた。相手は九歳児だ。
◆
「あなた、ストーカーなんでしょう?」
美耶子は笑みを浮かべて男に言った。
相手が息を呑む音が聞こえて、睨みつける目に力が宿る。
「姫昌ちゃんはあなたのことなんて好きじゃあないわ。あなたは何もしなくても人に好かれるような特別な人じゃないの。分かる?」
ごく普通の少年だった。服装はちょっとダサいけれど、美耶子の目にはそう映っていて、きっと他の誰もがどこにでもいそうな子供だと思うだろう。
「お前に何が」
「分からないけど、銃を持つんならちゃんと撃ちなさい。それは人を撃つためのものよ。使うと決めたら使わないといけないわ。やると決めてやらなかったら、言い訳しかできない大人になるから」
少年は銃を取り出す。
美耶子は腰に下げていた警棒を抜いた。
腰を落として、両手で銃を構える少年の姿は素人にしては頑張ったと言える様であった。
プラズマピストル。
ハイテク銃の中でも操作性に関してはアナログな部分で構成するプロ用の古いタイプだ。
「そう、それでいいわ。使うならちゃんと使いなさい」
耳のイヤホンから蘇土の怒鳴り声が聞こえた。うるさいので外してポケットにしまう。
少年と美耶子には距離が無い。どちらも互いの一撃が届く。
「ほ、ほんとに撃つぞ」
周囲からは銃に気づいた人々の悲鳴。
「いいのよ。欲しいものを手に入れるために使う暴力は、どんな綺麗事より真実味があるわ」
そうだ、それでいい。
力とはそういうものだ。その手にあれば行使するべきだ。そして、痛みを知らねばならない。
少年は美耶子の変わらぬ笑みに滝のような汗を流していた。彼は子供のまま大きくなってしまった少年だ。だからこそ、この大人がそこらにいる説教の得意なおばさんには見えない。
「私はね、欲しいものがあるの。ううん、取り戻したいものかな。そのために力が欲しくて銃を手に取ったこともあるわ。だから分かるのよ、撃つべき時は撃たなきゃいけない」
噛み付くべき時に噛まなければ、後は負け犬だ。
互いの視線が交差して、少年は引き金を引こうとして、やけに手が熱いことに気づいた。
「いい子ね。殺そうとして引き金を引けたんだから、もう子供じゃないわ」
いかなる魔技か。
瞬時に振るわれた警棒は、少年の両手の手首から先を切断していた。
刃物ですらない棒で、手を切り取る。人の領域を超えた超常の技である。
落下者ならば、第三世界線人という生まれながらの超人の住む世界の出身者が似たことをやる。だが、彼らの肉体はあまりにもスペックが高く、特別な技能に対する謎の生体器官も備えている。
美耶子は特別ではない。ただの人間で、それを為し得たのだ。
「お、おれの手ぇ」
「手当はしてあげるから、安心なさい」
軽く、なんでもないような動作で振るわれた次の一撃は、少年の頭に当たってその意識だけを刈り取った。
用意してあったメディカルキットで少年の止血を開始する。
蘇土たちが駆け寄って来る気配を感じて、どう言い訳しようかな、と考えた。
「あら、そこにいたの」
こちらを見る人だかりの中に見知った顔を見つけた。
憎悪に爛々と輝く燃える瞳。怒りと憎しみは原初の炎だ。
しばし見つめあって、彼は人ごみに消えた。その直前、口だけが動いていて、ニホン語で言ったそれを読み取ることが出来た。
◆◆◆
「こういうの本当はダメなんだけどなあ」
高野はそうは言ったが承諾して、袁姫昌の保護を約束した。
落下管理センターは外からの防備に関してはとんでもなく強い。
バイトとして雇ったアンジェリカと姫昌を入れ替えるのは簡単で、車の中に待たせてあったアンジェリカは『変身のスクロール』を使用して姫昌の姿になり、アルマと共にデートへ向かう。当の姫昌はそのままセンターで事が終わるまで過ごすというものだ。
姫昌は流されるまま、という状況だったがこのちょっとした冒険に心躍るものがあった。
センターは考えていた通りの風変わりな場所で、この街でもなかなか見かけない種族が一堂に会している。
遊んでいるのか学んでいるのか、何もかも無くしてしまったもの特有のやけっぱちな陽気さが漂っていた。
「うふふ、姫昌様ったら」
良い出会い、という意味ならこの方に出会えたのは実にいいことなのだろう。
バイトが休みであったユーリスは高野に紹介されて姫昌と談笑している所だ。
姫昌からすれば、こんな所に自身よりも遥かに格上の本物の御令嬢がいるというのが驚きだった。
高級官僚の娘という立場上、様々なパーティにも顔を出すことがある。が、本物のお姫様と会うのは初めてのことだ。
姫様の服装は涼しげなワンピースで、夏場にはもってこいの様だ。そんなに高価なものではないが、彼女が着ればそれだけで良いものに見える。しなやかな手は水仕事で少し荒れていた。
「ユーリス様こそ、こんな私のためにお時間を割いて頂いて」
気品に溢れる姫君が二人、ファストフード自販機前のテーブルで話し込んでいる。
「いいえ、わたくしこそアンジェリカがいなくて時間を持て余していましたの。リョウさんとルーミーちゃんがこられたらお勉強のお時間なのですけど」
「お勉強」
「ええ、実は……」
ユーリスは一般常識資格取得のために勉強をしていること、さらにバイト先でのいろいろなどを語った。
ファンタジー系と呼ばれる人々のことは知っていたが、ユーリスのように気品溢れる人がそのようなことになっているというのは、想像の埒外でもあった。
「大変なのですね、どこも」
「あなたも、何か事情があるのでしょうね。けれど、蘇土さんは頼りになるでしょう? あんなに大きいんですもの。熊と同じくらい大きいひと」
ユーリスの故郷では熊は特別な動物だ。
山の神であり、人を襲う悪神であり、強さの象徴である。熊を狩った狩人は勇者とされ、領主によって祝される。もちろん、その後は食べ、最も良い毛皮は狩人のものとなる。
「……私にはよく分かりません」
ユーリスは曖昧に微笑んだ。
姫昌はどうしていいか分からない。
「姫昌様は、普段は何を?」
「私塾でのお勉強と、ダンスの教室に、それから礼儀作法も」
「ダンス、こちらの世界のダンスというと、あの激しいカクカクした動きのひっぷほっぷだとかぶれいくだとか」
「いえ、そういうのではなくて、きっとユーリス様もご存じの」
「ああ、やはりこちらにもあったのですね。テレビではいつもそういうのばかりで、空恐ろしいと思っていましたわ」
姫昌は後になって知ることだが、ユーリスは姫昌を笑わせようとわざとこのようなことを言っていた。
「ですけど、私には難しくて」
「わたくし、故郷ではシオン師より舞踏の印可状を頂いておりますの。よかったら、この世界のステップを教えて下さらない?」
姫昌は戸惑うが、ユーリスはいささか強引に彼女を立たせて中庭のバスケットコート近くへ促した。
以前にアンジェリカに凹まされた亜人達はいつものようにバスケットボールに興じていて、そこから少し離れた倉庫前の喫煙所では喫煙者が肩身を狭くして紫煙を吹き出していた。
「さ、基本のところから、姫昌様、お願いします」
「え、は、はい、では、このように」
三拍子のリズム。
くるくると廻るワルツである。
姫昌はお世辞にも上手とは言い難い。しかし、ユーリスにはどういうものか拍子と動きだけで分かった。
「あら、こうですわね。わたくしの故郷にも似たものがありましたわ」
故郷で命を狙われる発端となったのは、皇孫誕生祭のことである。
ダンスパーティーで辺境貴族の田舎踊りと呼ばれたことに立腹したユーリスは、二年の月日を血の滲む修練に費やしてた。
「相手がいなのが寂しいですわね。姫昌様、お願いできますか?」
「あ、でも、私は」
「さ、手をお取りになって」
強引に手を取って、くるくると。
当代随一の天才と称されたシオン師より印可を頂くほどの腕前となったユーリスは、二年後のパーティーで皇孫に舞踏を見せつけ、彼女が恋慕しているという相手と一曲を踊りきるという見せ場まで浚った。
不敬とされて、皇帝陛下直々に帝都から所払いを受ける始末である。
「うふふ、姫昌様、足元は見ないで」
「でも、ステップが」
「いいのですよ。綺麗に踊ったって、誰も見ておりませんわ。形だけ、形からでいいのです」
「でも、それでは」
「では、もう少し早くステップを」
姫昌はもう足元が分からない。けれど、ユーリスは実に楽しそうで、ステップも何もめちゃくちゃになったのに笑ってしまった。
「あははは、ユーリス様、なんなのですか、もう」
「ステップなんて、後で覚えればいいではありませんか。だって、この方が楽しいでしょう?」
「はい、こっちの方が、とても」
「でしょう」
ユーリスと姫昌は手を離して、どちらともなくスカートの裾をつまんで礼をした。
「あんたたち、なーにしてんのよ」
と、やって来たのは仕事を終えて帰ってきた良太郎だ。
「リョウさん、こちらは袁姫昌様。本日は事情があってセンターにいらしてるの。それと、あれは遊びじゃなくてダンスの練習です」
「いや、遊んでたじゃないのよ。つーかダンスって、社交よね。ステップしたりフラフープ一時間したりするもんじゃないの?」
「楽しくないと続きませんわ。だから、楽しくしてみましたの」
良太郎は幾分か呆れ顔で、二人を交互に見た。そして、姫昌を見つめて少し固まる。
「あ、ご紹介に預かりました私は袁姫昌と申します」
「ん、ええと、アタシは松戸良太郎っいいます。よ、よろしく。ええと、落下者じゃないのよね」
姫昌はまじまじと見てくる良太郎に対して、なんだかいたたまれなくなった。こんな太っている醜い自分に対して、なんて素敵な人だろう。なんだか、見られたくない。卑屈な気持ちが頭をもたげる。
「はい、フォーシエット市には父の仕事の関係で。シンティナの出身です」
「そ、そうなんだ。アタシは、こないだこっちに落ちてきたばっかりで、あ、ちょっと息きれてるし、お水持ってくるわ」
言うが早いか良太郎は自販機に走っていってしまった。
「あら、珍しい。リョウさんは女の人には厳しいというのに」
「えっと、その私が太ってるから」
「そういうことであんな風になる方ではありませんよ。もしかして」
「あの、なんですか」
「いえ、なんでもないのです。お勉強の時間なのですけれど、今日くらいは休んでも大丈夫でしょう」
「あの、その、お邪魔でしたら」
「それはありません。さ、休憩にして、次は何をしようかしら」
走っていった良太郎は顔が赤かった。
ユーリスもアンジェリカもルーミーだって顔かたちは美しい部類に入る。だが、彼は一度だってこちらにそういう眼差しを向けたことはない。
貴族というヤツは退廃的な恋に興じることがままある。肉体的な特徴、一般的には醜いとされるものを好む人もいて、ほとんどは『貴族的』ということにこだわる強がりみたいなものだが、そこそこの割合で本物である人もいる。
「何をしようかしら」
ユーリスはにやりとした笑みをうっすらと浮かべて、もう一度繰り返した。
馬に蹴られるのは邪魔をする者だけだ。
人の恋路に助力すれば、馬だって蹴りはしない。
ユーリスは人の恋路に助力したがる迷惑者である。
◆◆
ソーサラーズとローニンズと中央管理塔の都市警備機構所属軍警の間で犯人の身柄の取り合いがあった。
銃所持犯と、銃の入手ルートの摘発は点数が高いのだ。
当初の契約に従ってソーサラーズのサクヤに引き渡すことにしたが、蘇土はこの件でローニンズと軍警に恨みを買うことになった。
美耶子といえば、U剣道の本部道場師範の腕前を見せつけたことになる。
ただの棒きれで人の両手首を綺麗に切断し得る。まさに魔の為せる業である。
ソーサラーズの鑑識官は違法な武装によるものと疑ったが、ログを渡すことで黙らせた。
報酬を手渡したのは現場近くのオープンカフェで、サクヤからの小切手をすぐさま現金化して皆に均等に分けている。
テーブルに万札をカードよろしく配っている姿はヤクザにしか見えないのか、他の客はこちらから目を逸らしている。
「藤野さんの取り分はこんだけ。いいですか」
「あら、こんなに。ありがとうございます」
「どうして、斬りました?」
続けた蘇土に、一同の囲むテーブルに異様な沈黙が降りた。
「銃を出させるのが手っ取り早いでしょう。だから、少し口先で煽ったのですよ」
「何事もなく一瞬で気絶させられるのに?」
「本音を言えば、納得します?」
「内容によりますよ」
美耶子は酷薄な笑みを浮かべた。
アルマは息を呑み、ダンドラとアンジェリカは目を逸らす。蘇土は、目を逸らさない。
「近距離で撃たれるという経験が欲しかったんですよ。これで、だいたい分かりました」
「そうですか、次からはやめて下さい」
「ええ、分かっています」
睨み合う二人。
蘇土の爬虫類じみた瞳に対して、美耶子は嫣然と微笑んでいた。
「それじゃあ、報酬はこれで配分終わり。みんなお疲れ様でした」
「お疲れ様でした」と、皆が声を揃える。
契約書にもサインをして、これで仕事は終わりだ。
「俺とアルマはお嬢様を迎えに行くんでここで解散だ。アンジェリカはセンターまで送っていくよ」
「蘇土さん、私も乗せていってもらえますか」
美耶子は悪びれもせずに言う。しかし、殺気が雲散霧消の今では普通の会話だ。
「いいですけど、どうして?」
「お嬢様という人に会っておきたかったんです」
「悪いことはしませんか」
「しませんよ」
断る理由は特に無い。けれど、嫌な予感はした。
この時点で、アンジェリカだけが美耶子の姿を真に捉えていた。
細作、暗殺者、そのようなことをしていたアンジェリカだけが、美耶子の武芸者としての姿の裏に隠された狂気に気づいていた。
とりあえず、年内にておいへびは終わらせる予定。
月光魔術団が完結していたということを十年以上経って知った。
最近、ガキのころに読んでた本が読みたい病にかかっている。
古本でどっかセットでないかとか探してみたら電子書籍で買える。
福袋で散財する予定なのにどうしたらいいのだろうか。




