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キラッキラおひめさま、あらわる

(じ、地震っ?!)


 激しい衝撃波は、タワーの真ん中、、つまり目の前のエレベータを中心に上から下へと駈け降り、周辺へ円形に広がったように感じた。


 ゴゴゴゴ!!


「きゃぁっ!!」


 アゴーが悲鳴を上げて倒れそうになる。

 それでなくともタワービルの最上階だ、揺れは大きくなる。

 足下がめちゃくちゃに揺れる。


 視界の端で、全面ガラス張りの窓一面に、花火のような、流星群のような光が流れる。

 というか、エレベータの扉の向こうが、ものすごい光を発している。


(えっ、、どういうことっ?地震じゃないの?、、、まさか隕石落下?!)


 混乱する。


 とにかく2人で支え合いながら、頭をかばってしゃがみ込む。


 ゴゴゴゴゴゴゴ 

     ゴゴゴゴゴゴゴッッッ!!!!


 揺れは続いている。

(お、落ち着かなきゃ、 ビルの耐震はちゃんとしてるはず、、 

 う、うわっ)


 ---------ゴウンッッッ!!!!


 一段と大きな衝撃がくる!!!


(いまっ、、衝撃エレベータからこなかった?)


 地震か隕石直撃でエレベータが故障したのか?

 それとも一体?


(とにかく揺れが収まったら、非常階段で逃げ、、、)

(てか、歪んでて途中のドア開かないかも?)

(ハンマーかなにか取ってきて、、、)


 アゴーの両手が震えながら、私の両腕を強く握っている痛みを遠くで感じる。

 私は冷静にならなきゃと頭を働かせた。


 -------と、そのとき。

 急に揺れが収まった。


 シューン。


 揺れによる歪みを感じさせない滑らかな動きで、エレベータのドアが真ん中から割れて両側に開く。


(えっ!!!)


 エレベーターの中から、真っ白と真っ黒な人たちが、現れた。


「ふぇっ??!」


 センターで、かったるそうに腕組みして無表情に小首かしげつつ仁王立ちしているのは、真っ白な肌でほぼ真っ白なプラチナロングヘアのお姫様(仮)、だった。


 真っ黒なゴスロリワンピに真っ黒ヘッドドレスを着けているので、肌と髪の白さがとんでもなく際立って人間離れして見える。

 ゴシックなアンティークドールみたいな国籍不明な超絶美形である。


(え、、、アルビノ?)

(ていうか、アルビノよりなにより、異常に美人だっ!!!わけわかんないレベルにきれいな娘だあああ!!)


 彼女の後ろには、数人の、こちらも無表情で美形な長身の男性たちが付き従っている。

 普通に立っているのだが、なぜか一瞬で”付き従っている”、そう思えた。


 後ろの彼らは髪も肌も、服も真っ白だ。

 真夏なのに袖が異様に長く手がほとんど隠れるようなデザインの、だぼだぼした感じの服を着ている。

 肌や髪には厚みや質感があるので、グレーっぽかったりベージュぽかったり、真っ白といっても透けるような真っ白ではないが、少なくとも普通の白人とかではない。


(------美形アルビノの集団?)

(え、なんで非常事態の今部外者っぽい外国人がたくさん?なんでよりにもよって今?)


「お、ちょうど2人いるな。確保しておくか」


 無言の緊張感をあっさり破って、お姫様(仮)が、口を開いた。


(えっ日本語?)

(いやいや ってカクホってなに?)


「・・・あの、だ、大丈夫でしたか?」

 困惑しながらも立ち上がり、日本語が通じるならまずは安否確認しなきゃ、と声を絞り出す。

 一応私はここの職員だし。


「姫、成功ですね!」

 私の問いかけを無視して、お姫様(確定)に取り巻き(確定)が嬉しげに話しかける。

「よくやった。ホメテツカワす」


「えっ?」

(故障じゃなかったのかな、、それともこんなときに別の話?)

(ていうか何なの。この異常事態に落ち着いているなんて。)

 すごい違和感を感じる。

 かといって、武装している訳でもないこの人たちがテロ犯でさっきのは爆発だったとかいうのもあり得ないと思う。


 判断に困って一瞬固まった私たちの方に、ぷぃん、ぷぃん、というやけに軽い感じの足音とともにお姫様が近づいてきた。


 元々ドアの前でボタンを押そうとしていたから、近くにいる。

 それが今、普通知らない人には近づかないよねってレベルに歩み寄られた。

 顔が、ぎょっとするほど近い。

「・・・・・・!」

 きゅっとアゴーが私の腕を握る力が強くなる。一歩後ろに下がるのが分かった。


 顔を、覗き込まれる。

 -----相手の瞳が、透明すぎて、怖い。

 とんでもなく長いプラチナまつげ。

 ハリウッド女優の中でも特に大きいレベルのでっかい目が2つ。

 ぐりんっと見開いて、威圧するように、見定めるように、至近距離から見つめてくる。

 気圧されて、目がそらせない。

 ごく、息をのむ。


 ・・・と。

 見つめる瞳の色は赤じゃなかった。

 ごく薄いグレーのような、ガラスみたいな透明だ。


(・・・・・え?そんな可能性ってあるの?)

 また一瞬固まってどこかに行ってしまった。

 が、科学的興味の方が勝って戻ってきた。


 アルビノかと思ったけど、それなら血液の色が透けて赤い瞳のはずだ。

(白い個体だが目が赤くないのは、目の青いホワイトタイガーとかみたいな、白変種ってこと?)

(白変種って、ニンゲンにもあるの!?知らない!!)


 戻ってきたついでに、じろじろぶしつけな視線を向けてくる相手に、こちらもじろじろ見てやる。

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 レーシィなフリフリ真っ黒ワンピとヘッドドレスに十字架チョーカー、ギットギトに黒ロリさんだ。

(あれれ?でもピアスだけ真っピンクな丸っこいハート?)

(これだけ黒ロリばっちし決めてて、何故にピアスだけ甘ロリ?)

 状況的にも人員構成的にも違和感しかないこの状況だが、彼女の着こなしにも違和感を覚える。

(てか女子力皆無の癖にサブカル系は分かっちゃう私って何よ?!いやいや幼なじみの女子が元MALICE MIZERのMana様ファンだからさんざん聞かされて知ってるのだよ!)

 マイペースとかじゃなく、ただもう必死というかもう。

 考え時間、しめて30秒。


 怯えてすっかり私の背中にくっついているアゴーを守るような気分で、私にしては緊張しながらもそれを隠しつつ。

 正面からお姫様をみつめて、口調は礼儀正しく話しかけてみた。


「失礼ですが、今は夜中で、しかも何らかの災害か事故の直後です。部外者の方が勝手に立ち歩かれると危険です。もしかして、撮影でいらっしゃっているのでしょうか?」

 こんなキラッキラの人たちは部外者に決まっている。

 いくらなんでも学内にいたら世間に疎い私だって知っているはずだ。

「ん?サツエイ?」

「私はここの研究室の者です。エレベータは二次被害の危険があるので、非常階段まで誘導しますので・・・」


 話しかけている途中で、後ろからお付きの者がお姫様にこそっと耳打ちする。

「姫、翻訳の間違いでは。サツエイ、でなくセツゴウではないですか?」


(・・・は?)


「・・あ〜。そう、それ。 接合にきたよ」


(・・・はあああああああああっ???)

きゅぴるーん!!!

姫(確定)の衣装はMoi meme Moitieモワ・メーム・モワティエをもっとゴッテリした印象です。

お付きの者たちはアリスアウアアのホワイト一色のライン買い的な。

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