ミヤのれんあいかん 2 〜ZOURIMUSHI LOVE〜
途中オタクですけど、大丈夫です、次には見た目美形が出てきます。あんしん?してください。
エッチなこと自体全然興味ないのかっていうと、生理現象なんだし、ないわけではない。
胸は大きいし、本人の意思とは別物で女性ホルモンは人並み以上にある感じがする。
月経周期の関係で、時期的に欲求不満かな?これ?て思う事はある。
でもだからって生身の男の人と汗だくになってくっつくのとか気持ち悪くてマジメに考えたくもない、ってな感覚で。寝る前ちょっとあそこをこするくらいで十分解消できる。
私もしかしてアンチセクシャルなのかな?
・・・不健康な生活すぎる?
こんな性格だから、男に産まれた方が絶対楽だったと常々思う。
私が同じスペックで男なら、間違いなく林君より先に正規雇用されてたって自信と客観的な研究実績があるし、浮気の心配もない。今頃「浮気さえしないなら、亭主元気で留守がいい」系の女の子に首尾よく捕まえてもらえてたかもしれない。
いわく、私が”私だけの王子様”になれてたかもなのに。
それならレールに載った人生、楽だったのにな〜。
”私だけの王子様”とか言ってても。
寝る前こするとき、ハーレクインとかレディースコミックとかじゃ全然ノれないんだけどね、私。
サイエンスドキュメンタリーなんかにちょいと出てくる野生動物の交尾映像とかで異様にドキドキッとするときもあるので、全然淡白ってわけでもないけど。
むしろ。
海藻や菌類が無性生殖で胞子を放出するさまとか、1つの個体がたった独りで新しい無数の生命を生む姿にはむしょーにドキドキする。
ミステリアスで、魔法っぽくて、なんかある意味興奮するし。
”ミクロの世界に宇宙を感じる”的気分が分かる。
私はこういう系オタクだ。
有性生殖なら、断然ゾウリムシが素敵。
ゾウリムシは、辺りが平和なときは独りで細胞分裂して増えるのだが、環境が悪化すると相手を見つけて有性生殖する。
無性生殖だと、一度DNAに傷がついてしまうとそれがずっと遺伝してしまい、環境悪化に適応できずに絶滅してしまう。
種の絶滅を回避しなきゃレベルの危機的状況で、ゾウリムシふたりが運命の出会いをすると、そのとき初めて、お互いがO型とE型、つまり有性生殖可能な”異性”であることに気づくのだ!
平和なときは側にいても意識しない関係なのに!
いやんもう、これこそ求めてた”私だけの王子様”じゃない?
ゾウリムシ同士がくっついて遺伝情報交換する接合のさまなんて、切実に生を追い求めてる感じがして純粋に美しい。
一方でなんともエロティックだ。
12歳で初潮を迎えた頃がちょうど初めて理科の教科書でそれを知ったときで、なんかすごい【危機的状況下での恋】にミラクルを感じてときめき悶えたものだ。
大人になった今も、いやらしさの欠片もない感じがかえってなんかえっちな感じがして、何度目にしても感動するしドキドキする。
泣かせ系恋愛映画なんかより、ゾウリムシの接合の方が純愛っぽいとか。
・・・”生”への飢餓感が、お互いがいないと生き続けられない!みたいな狂気的純愛っぽくてなんかイイとか。
-----とんでもなくアブノーマルすぎる自覚はあるので、ひとに言った事はないが。
純愛とか、林君が軽く口走ってたときは興味ないと思ってたんだけど。
もしかして恋愛興味ないっぽいのは、いつも通り考えすぎてて一周回ってるだけで、実は純愛に興味あるのかな、私?
書きながら思ったが、もしかして私は性的欲求と恋愛を分けて考え過ぎなのかな?
もっとリンクしてるのが普通なのかな・・・。
・・・・・・・・・。
これは教育環境にもよるのかもしれない。
-----私にとって、今までずっと”男”は、研究(学生時代は、勉強)での敵もしくはライバルであって、甘える相手じゃなかった。
【女は男の3倍努力しなきゃ認められない】
【自分に自信を持てる女になるには、主婦なんてダメ】
【仕事は一生続けなさい】
【続ける価値のある仕事をしなさい】
幼稚園くらいから、世界的研究者である両親に数千回言われてきた言葉。
そんな私が恋愛至上主義になんかなれるわけない。
-----例えば林くんは、私の周りには珍しく誠実なタイプかもしれない。
地味で童貞っぽいのもイケメンチャラ男よりずっと好みだ。
先述の「私だけ好き」レベルじゃなさそうだけど、結構好かれているとは思う。
人間社会的な意味での”私だけの王子様”に寄っかかるつもりで損得考えるなら、林君くらいいい物件はない。
定期購読雑誌の構成を変えて女子力をアップし、ぜひとも捕まえておくべきだ。
でも、私にとって林君は”男に産まれたから”(就職も決まりそうだしこれから先無駄な悩みもなさそうで)”うらやましい”存在であれ、”捕まえたい”存在ではないのだ。
理論じゃ無理。
会社での仕事とか、恋愛とか、結婚とか、出産、育児とかを普通にこなす人達。
果てにはヨメシュウトメ戦争や介護問題で戦う人たち。
親兄弟と離れ、閉ざされた場所で研究に没頭した学生時代の私には、異世界ファンタジーレベルで別の世界の人たちみたいな気がした。
論文を書くしか、同じ人間社会に生きる存在として並ぶすべがない。
1本じゃ価値が足りない、何本も何本も。
【価値のある仕事をしなさい】
言霊にせかされる。
----足りない。
もっと頑張る。私ならいける。
頑張る。
頑張る。
学生時代、めちゃめちゃ努力した。
しかも研究自体も楽しかった。
でも、正規就職には結びつかなかった。
私は生き物として劣性な上に、社会の一員として仕事もできないんじゃないだろうか。
がむしゃらだった数年の後、疑問が生まれる。
そんなことない。
まだもっと頑張れる。
まだ始めたばかりだ。名を挙げるには時間が必要なんだから。
何度も疑問を感じ、何度も持ち直した。
でも、頑張る。
頑張れる性格と能力はあるはずだ。
でも。
でもそんなことしてたら、いつ結婚とか恋愛とかすればいいの?
出産可能年齢のうちに仕事一人前になれるの?
(あれ?私、結婚とか恋愛したかったっけ?別に興味なかったけど)
歳を取ると、興味なかった事さえしていないことに焦る。
----数年もがいて結論が出た事。
【違う世界に連れていってくれるのは、”王子さま”ではなく自分の腕と努力しつづける信念だけなのだ】
出産可能年齢とか気にして脇目、振ってられない。
男がなんだ。
(とにかく次の研究費とって、林君を抜いて正規職員の座をゲットするのよ!!!!!!)
いろいろ吹っ切れて、今に至る。
-----------------------と、
すんごいぐるぐる思い出して考えたが、その間、時間にして5分弱。
どんだけ考え過ぎタイプなの、私。
おしゃべり楽しかった。
ミドリムシクッキー美味しかった。栄養満点だし。
アゴーの恋愛は応援するけど、自分には研究しかないって、もう吹っ切れ終わったことだし。
気合い入った。
「いい気分転換になった〜。ありがと。じゃ、いっちょ頑張るわ」
「よかったです」
スマホと財布だけポケットに入れて、また白衣を羽織る。
夏だけど、夜は肌寒い。白衣は防寒着にもちょうどいい。
「もう遅いし、駅まで送るよ」
身支度したアゴーを送って、高層階エレベータの前までくる。
下行きのボタンを押そうとした、その瞬間だった。
ピカッ!!!
---------ゴゴゴゴゴゴゴッッッ!!!!
エレベータの方を向いていた私たちに、正面からのものすごい光とともに、衝撃波みたいなショックが襲った。
今晩はこれで終わりです。
今週はずっと仕事がこんでるのでもしかしたらいいとこで間あいちゃったらすいません。
早く姫と王子様に会いたいんでがんばります(^^)/