四話
トウィルのドラゴンバスター駐屯地。
「大人しくしてろよ、レブ!」
駐屯地にドラウンのレブを預ける。さすがに街中を連れてはあるけない。
「おー、レブ君久しぶり!」
トウィル駐在のドラゴンバスター、ネストが俺よりもまずレブに声をかけてきた。
「ついでにランドルも久しぶりだね」
こいつの質は理解しているつもりだが、ついでに、はやはり腹が立つ。
「お前なあ、別にいいんだけどよ。あいつは大丈夫か?」
ネストはとぼけた様な顔をしてポンと手を打った。
「エディカちゃん、じゃなくてドリー君のことだね」
「ああ」
グレイスは気性が荒い。エディカはドリーと信頼関係を築いている。だから、こなせてはいなくとも乗ることはできているのだ。
「大丈夫だよ。ドリー君なんて大人しいもんさ。念のために口輪もしてあるし、仮にもここはトウィルだからね」
トウィルのドラゴンバスター部隊はシナッドよりも大きい。万が一、暴れだしても、対処できる、ということだ。だからこそ。
「ランドルは心配性だなあ。そんなことは僕がいる限り、させないさ」
ネストは笑ってみせた。
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駐屯地、門前。エディカが出てくる。
「おせえぞ」
「すみません。ドリーのこととかもあったので」
まあ、理解している。別に責めるつもりで言ったわけではないのだが、少し本気に受け取ったようだ。
「じゃあ、行くか」
「どこにです?」
「トウィルだぜ? 飯だよ」
エディカはキョトンとした表情をした。
「ご飯ですか?」
「そうだよ」
「任務とかじゃなくて?」
「ああ」
エディカは俺に失礼だとか考えてないのか、盛大にため息をついた。
「つまり、サボりってわけですか」
「俺はサボりじゃねえよ。お前のお目つけ役なんだから、お前の傍にいれば仕事してるだろうよ」
「なんですか! その屁理屈はっ!」
「サボりはお前だけ、ってわけだ」
「ひどいですよお!」
この真面目人間に対して、過ぎた意地悪はいけないな。なにごとも本気にしようとする。
「そんなに気にするなよ。どうせ隊長たちも、直にこっちにくるよ。俺達は一足先に、トウィルの食文化を楽しむだけだ」
「むー?」
まだ納得がいっていないようだ。これ以上何かを言うのも面倒なので適当にはぐらかし、歩きだす。
「おう、行くぞ。今日だけはおごってやるよ」
「本当ですか!?」
どうやら、何かを考えることよりも、食欲がエディカの中で勝ったようだった。