セカンドプロローグ 月光の許…
プロローグふたつあるのってこの作品だけだと思う。
深夜、夜の帳を照らす月の光を浴び、物語は動き出す……。
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「はいもしもし。……はい、そうっすか……。分かりました、準備します。ええ、バレないようにします
よ、……じゃあ、そうゆうことで、」
男は受話器を置き、電話を切った。そして腕を横に交差して伸ばしながら窓の方に歩いた。
男は窓から降る月光に眼を細める。
「……フッ、こりゃあ酒の肴にぴったりだな。……さてと、明日から頑張りますか」
そう言って男は、右手に持ったワインの酒瓶を一揆に呷った。
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「なにやってんのよ」
声を掛けられた彼は、窓から自分を見ている2人の女に向かって声を上げた。
「色男が天井登ってお月見してんだよ。どうだ、なかなか絵になるだろ?」
「ああ、きっと人気になるだろうな、見た瞬間眼が腐るってな」
ショートカットの女がそう言うと、隣のポニーテールの女も、確かに、と相槌を打った。
「美的センス無さすぎだろ、お前ら」
彼はそう言って呆れ、また月に眼を戻す。女達も開け放たれた窓から身を乗り出し、月を見上げる。
「全く、憎たらしい程、光りやがって」
そう言って彼は瞳を閉じた。
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男は鋭い瞳で月を見上げた。
「……チッ」
破裂音、破裂音、破裂音、
男は突然、腰のホルスターに吊るしていたピストル型の銃を抜き、届かぬはずの月に向かって発砲した。
「…………」
男はしばらく月光を浴びると、踵を返し、殻薬莢を蹴りながら暗闇に身を投げた。
数日後、月に隕石も落ちて無いのに巨大なクレータが出来たらしく、世界中の天文学者達が大騒ぎをしたとか……。
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「彼らに連絡はしましたか?」
禍々しい装飾が施された玉座に座っている男は、そばに控えていた男に声を掛けた。
「はい、あと3日程で実行されるでしょう」
「うむ、よろしいです」
男は玉座から立ち上がり、赤い絨毯の上を歩き出した。
「これでまた一つ、駒が進んだ」
そう言って男はほくそ笑んだ。
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そのころ、4人の子供達は月に見守られ、スヤスヤと寝息をたてていた。
月はまるで彼らを祝福するかのように、優しく、それでいて妖しい輝きを強くした……。
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