一ヶ月後
その日もいつも通り帰ろうと黒井さんが廊下で待っていた。ちなみにクラスの男子達はもう舌うちとかはしてなかった。ただのおむかえか的に思われてるんだろうがまぁそれであってる。友達になったメルト君はあの日からよく昼休みに弁当を食べているけど暇そうだった。
「あー。なんか面白いことないかなぁ。この前みたいな刺激の強いこととかさー」
孤高の魔法使いと会った日、孤高の魔法使いと会ったことをメルト君は覚えてなかったけど何か刺激の強いことがあった、くらいにしか覚えてない。どうやってうまいこと記憶の操作をしたんだろうか。
「刺激の強いことって平和が一番じゃないの?」
「確かに平和なことはいいことだと思うけどやっぱ魔法使いとか非現実なこととかさ。何か起きないかなって」
メルト君は退屈そうに言うが僕は今の平和な時間が一番好きだな。いくら夢の中でネム先生に鍛えてもらっているとはいえやっぱり平和で普通の日常が一番だ。
メルト君と昼休みに話していたこと思い出しながら帰りに歩いていると黒井さんが
「最近何も起きない。いいこと。でも油断ダメ。無村わかった?」
「うん。わかってるよ黒井さん。夜はあまり出かけないようにしてるし。それに」
僕は母さんが心配だ。あの日、最初に襲われた次の日から帰ってきてない。たまに一日帰ってこないことはあった。最初の頃はそれも心配していたがそれが少し続いてくと一日なら母さんは大丈夫だと思っていた。けどこの一ヶ月、帰ってこないどころか音沙汰がない。どうしたんだろうか。
「無村の母親大丈夫。魔法使いでも最強格の魔法使い。歳をくってもそう簡単にやられない」
それならいいんだけど。でも早く帰ってきてほしいかな。心配だし。
僕は黒井さんにいつも通り送ってもらった後、家に入るとやけに眠気がおそってくる。あれ?何でこんな急に眠く、なってき、て。
......起きろグズ
なんか前にもこんな起こされたかしたな。まさかネム先生か?
僕が目をあけるとそこは知らない廃工場みたいな場所だった。
「よう。油断していたな。無村 名雲。油断はダメだぜ。こうやって簡単にさらわれちまうからな」
僕のことを起こした男、背中には細長い剣を背負っており服装は体には胸らへんをおおう装備、腰らへんにも軽い鎧を装備していた。ゲームとかで言うと最初に買う鎧みたいな感じだ。
「僕の名前はギンジ。銀の剣士ギンジだ」
「け、剣士?魔法使いじゃないのか?」
「魔法はからっきしだな。でも僕の師匠は剣の魔法使い。つまりは剣のエキスパートさ。まずは僕で軽いジャブってわけさ」
軽いジャブとか自分で言ってて悲しくないのか?ようは敵の強さを見てこい的なやつでしょ?




