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「お前は用済み」と追放されたけど、俺のことが大好きな幼馴染も一緒に抜けたせいで元パーティの戦力が崩壊した件  作者: 荒火鬼 勝利


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第250話 エピローグ 前編


 魔獣を倒してから数日。


 ユークは、まだ瓦礫が目立つ街で、復興作業に力を貸していた。


「おう、ありがとうな兄ちゃん!」

 肩に力の入った男が、崩れた壁を持ち上げながら笑顔で礼を言う。


「いえ……自分にできることくらいは」

 ユークは顔に煤をつけたまま、少し照れたように返す。


「だいぶ片付いてきましたね」

 周囲を見回すと、崩れた家の壁などがまだ目に入る。


「ハッハッハ! 完全に戻るのは先だろうがな!」

 男は豪快に笑い、腕を組んだ。


「……本当に大変ですよね。被害がここまで広がってるのを見ると……」

 ユークは胸の奥が重くなるのを感じながらつぶやいた。


「ああ! でもよ、剣聖さまがガツンと片付けてくださったからよ! 気持ちよく再建できるってもんだ!」

 男は力こぶを見せて答える。


 その無邪気な笑顔を見て、ユークはなにか言いかける。

 けれど、言葉が喉の奥で止まり、視線が揺れただけだった。


「ユーク!」

 瓦礫の間を抜けて、青い髪を揺らしながらアウリンが走ってくる。


「あ、アウリン」

 彼女を見つけた瞬間、ユークの強張っていた肩が少しゆるんだ。


「朝からお疲れさま。はい、これ」

 アウリンがタオルと水筒を差し出す。


「ありがとう」

 ユークは受け取り、一息つきながら水を口に含んだ。


「どうしたの?」

 柔らかい声が降りてきて、ユークは顔を上げる。

 そこには、セリスが静かに立っていた。


 以前ユークがさらわれた出来事以来、セリスは復興作業の間、護衛として傍を離れようとしなかったのだ。


 必要ないと言っても、首を横に振るだけだった。


「時間よ。殿下ももう準備を済ませてるはず」

 アウリンが少し気を引き締めた声で促す。


 三人は街中を歩き出した。

 壊れた建物の隙間には、小さな屋台がいくつも並んでいる。


 売られているのは『剣聖クッキー』や『剣聖の包み焼き』。

 どれもジオードをモチーフにした品だ。


「たくましいわね……この街の人たち。こんな時でも笑えるなんて」

 アウリンは屋台から漂う温かい匂いに目を細めた。


「……そうだね」

 ユークはアウリンの横顔を見ながら、小さくうなずく。


 そのとき、


「…………」

 セリスがじっと包み焼きを見つめていた。


 視線が商品に吸い寄せられ、喉がわずかに動く。


 それを見たユークは、自然と足が屋台へ向かっていた。


「すみません、包み焼き三つください!」

 受け取って戻ると、セリスの表情がぱっと明るくなる。


 喜びを隠そうとしながらも、唇の端が上がってしまう。


 三人で食べながら歩く。

 薄い生地に甘辛い肉が挟まれた包み焼きは、温かくて、疲れた体にすっと染みていった。


 やがてギルドに着くと、ヴィヴィアン、幼い姿に戻ったテルル、ギルドガードのアズリアが待っていた。


「おお、来たかユーク! 殿下たちも中で待っておる!」

 テルルが大きく手を振る。


 案内されて奥の部屋へ入ると、ジオード、ジルバ、そしてシリカが静かに茶を飲んでいた。


「ユークか。久しぶりだな」

 ジオードは疲れを隠し切れない顔で微笑む。


「その後、調子はどうだ? ずっと気になっていたんだ」

 気遣いのこもった視線に、ユークは姿勢を正した。


「はい。俺のジョブも、アウリンのスキルも、沢山レベルが上がったおかげか、一日休んだら普通に戻ってて――」

 ユークが詳しく説明する。


「そうか。それはよかった」

 その声には、ホッとしたような感情がにじんでいた。


「ところで、その人が……?」

 ユークが視線を向けた男は、静かに立っていた。


「ああ。紹介しよう。新たに俺の配下となったゾイサイだ」

 ゾイサイは礼儀正しく頭を下げる。


「彼が、お前たちのステータスを確認してくれる」

 ゾイサイの目に光が走り、素早くステータスを書き出す。


 ユークたちが紙をのぞき込むと――思わず息を呑んだ。


「すごい! 二十くらい上がってるわよ、ユーク!」

「私も! 七十近くになってる!」

 アウリンとセリスが驚きの声をあげる。


 その背後で、ヴィヴィアンとテルルが無言で目を丸くしていた。


「ジオードさん、これ……」

 想像以上の上り幅に、驚きながらジオードを見るユーク。


「あれだけ強力なモンスターを倒したのだから。当然だ。ただ――」

 ジオードの表情が引き締まり、部屋の空気が少し張りつめる。


「今の世間では、このレベルは目立ちすぎる。……シリカ、頼む」


「はい、殿下」

 シリカが静かな所作で書類を差し出した。


 紙は少し厚く、公式の紋章が押されている。


「“正式な偽造書類”だ。ゴルド王国でも問題なく通る」


「ありがとうございます……本当に」

 ユークが頭を下げると、ジオードは手のひらを軽く振った。


「気にするな。大したことではない」

 その軽さとは裏腹に、彼の目は優しかった。


「さて……そろそろ塔へ向かおう。確認すべきことがある」

 その言葉で一行は立ち上がる。


 ギルドを出て転移装置へ向かい、光に包まれながら二十一階へ移動した。


「やっと緊張を解けるな……」

 ジオードが背伸びをする。


「殿下。少しだけお姿にお気をつけください」

 シリカが控えめに注意すると、ジオードは苦笑した。


「堅苦しいことは言うな、今くらいは良いだろう」


「やっぱり無理してたんですね……」

 アウリンが心配そうに見つめた。


「まあな。俺はこの街を救った“英雄”さまらしいからな」

 ジオードは少しだけ肩をすくめる。


「すまんな、ユーク。本来ならお前の名も大きく広まるはずなのに」


「いえ、本当に……そんなの、俺には必要ないです」

 ユークは首を振る。


 そして――


 ユークは魔獣を倒してすぐの時のことを思い返していた。


◆◆◆


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ユーク(LV.75)

性別:男

ジョブ:強化術士

スキル:リインフォース(パーティーメンバー全員の全能力を10%アップ)

EXスキル:≪リミット・ブレイカー≫

EXスキル2:≪思考分割≫

備考:ジオードにばかり負担を押し付けてしまい、心苦しく思っている。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

セリス(LV.68)

性別:女

ジョブ:槍術士

スキル:槍の才(槍の基本技術を習得し、槍の才能をわずかに向上させる)

EXスキル:≪タクティカルサイト≫

EXスキル2:≪ブーステッドギア≫

EXスキル3:≪スキル・ラーニング≫

備考:ジオードやジルバからラーニングしたスキルがまだ自分の力量では使いこなせていないと反省し、使いこなせるようになるために日々練習している。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

アウリン(LV.75)

性別:女

ジョブ:炎術士

スキル:炎威力上昇(炎熱系魔法の威力をわずかに向上させる)

EXスキル:≪イグニス・レギス・ソリス≫

EXスキル2:≪コンセントレイション≫

備考:ユークに魔法の威力を強化する霊薬の事を黙っていたことがずっと心のしこりとして残っている。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ヴィヴィアン(LV.67)

性別:女

ジョブ:騎士

スキル:騎士の才(剣と盾の才能を向上させる)

EXスキル:≪ドミネイトアーマー≫

EXスキル2:≪インヴィンシブルシールド≫

備考:一応エウレには鎧を見せてみたが、もう作り直した方が早いと言われてしまい、ゴルド王国に行くまでは予備の盾と代わりの鎧を身に着けている。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

テルル(LV.70)

性別:男(女)

ジョブ:氷術士

スキル:≪アイスアロー≫(使用不能)

EXスキル:大鎌の才(大鎌の基本技術を習得する)

EXスキル2:≪ソウルイーター≫

備考:あの後すぐに大人モードは解除されてしまい、本人はとても残念そうにしていた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

アン(LV.10)

性別:女(精霊)

ジョブ:霊樹の管理精霊(若芽の腕輪に宿る)

スキル:霊樹の加護(ユークの全能力をわずかに向上させる)

備考:現在とある理由からユークの腕輪の中で眠っている。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ジオード(LV.100)

性別:男

ジョブ:剣聖

スキル:剣術の真髄(すべての剣の基本技術を習得し、剣技の威力を大きく向上させる)

EXスキル:≪オーラブレイド≫

EXスキル2:≪ビーストソウル≫

EXスキル3:≪ディバインアーマー≫

備考:街を救った英雄として称えられ、いろんな人と毎日のように会っており、精神的に疲労している。

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