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「お前は用済み」と追放されたけど、俺のことが大好きな幼馴染も一緒に抜けたせいで元パーティの戦力が崩壊した件  作者: 荒火鬼 勝利


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第248話 魔獣の終焉


「EXスキル――《イグニス・レギス・ソリス》!!」

 空が裂けた。


 封印の間を紅蓮の光が埋め尽くし、天井の上――巨大な紅の球体が生まれる。

 それはまるで太陽そのもの。


 神々の審判にも似た熱量が、魔獣の頭上に降り注いだ。


『ば……馬鹿な……どうして、これほどの魔法を人間ごときが……!』

 魔獣が絶叫する。


 再生した八本の触手を広げ、必死に押し返そうとする。


 だが、太陽は止まらない。


 全てを焼き尽くし、圧倒的な光と熱が触手を呑み込んでいく。


「すごいな……圧倒的じゃないか……」

 ジオードが息を呑む。


「ええ、アウリンのEXスキルイグニス・レギス・ソリスが通常の五十倍の威力になるそうです」

 ユークが短く説明した。


「五十倍!? まさかそこまでとはな」


 テルルが汗を拭いながら首を傾げる。


「じゃが、わしらまで焼けんのはなぜじゃ?」


『防護結界を展開しました。塔のシステムを利用して、熱を遮断しています。完全ではありませんが、あとしばらくは保つでしょう』

 アンの声が響く。


「いつの間にそんなことを!?」

 初耳だったのかユークが驚く。



 その間にも、紅蓮の光は魔獣を舐め続けた。


 肉が焦げ、翼のような触手が溶けていく。


『ぐ……あああああ……! この(わらわ)が……人間などに……!』

 苦悶の叫びが、封印の間に木霊する。


 ――その様子を、アンは冷静に見つめていた。


(まだ、足りません。このままでは外殻だけを焼き、封印されている部分は残ってしまう)

 彼女はユークの腕輪に宿りながら、塔のメインシステムに意識を接続した。


『――せっかくなので、完全な勝利を目指しましょうか』


 若芽の腕輪が緑に発光する。


「な、何だ……!?」

 ユークが驚愕に目を見張った。


 次の瞬間、影の塔のシステムが作動し、魔獣の本体から魂を強制的に送り込む。


 封印陣の残滓が砕け散り、空間全体を覆っていた光の紋が反転した。


『はは……ははははははは!!』

 魔獣の口角が吊り上がる。


「なっ!?」

「一体どうしたっていうの!?」

 セリスとアウリンが叫ぶ。


 全身から流れ出た闇色の魔力が地を這うように広がっていく。


 赤黒い皮膚は硬質な甲殻へ変わり、禍々しい紅の結晶が全身を貫いて隆起する。


 頭部からは枝のように分かれた角が幾重にも伸び、覇者の冠のような姿となった。


 その背から十本の触手が生え、溶岩のように赤く脈動している。


 全ての封印が、今、完全に解けた。


 それはもはや“生物”ではなく、“災厄”そのものだった。


「そんな……これでもまだダメだっていうの……!?」

 ヴィヴィアンが鎧の口元を押さえ、声を震わせる。


『これが……(わらわ)の完全なる姿だ。――愚かな人間どもよ。もはやこんな熱など、(わらわ)を滅ぼせるものではない!』

 狂気じみた笑い声が響く。


「くっ!」

「……もうひとふんばり、するとしましょうか」

 ジオードが歯を食いしばり、ジルバがゆっくりと立ち上がる。


『いえ、待ってください』

 アンが制止の声を上げた。


 魔獣は十本の触手を振り上げ、燃え盛る紅蓮の太陽に向けて闇の奔流を放つ。


 だが――光は揺らがない。


 紅の太陽はなお空にあり、ゆっくりと、しかし確実に降下していく。

 その表面が波打ち、無数の魔力の粒子が暴風のように散った。


『ば、馬鹿な……! これでもまだ足りないというのか……!?』

 叫びは悲鳴へと変わる。


『マスター! 転移陣の準備が出来ました! 離脱して下さい!』

 アンの声が響く。


 足元に光の魔法陣が広がり、仲間たちの体を包み込んだ。


「全員――脱出するぞ!」

 ユークが叫び、仲間たちは互いに肩を支え合いながら光に包まれていく。


 ユークは最後まで振り返らず、崩れゆく魔獣を見据えた。


「これが――お前が見下していた、人間の力だ!」

 彼の声が残響となり、転移の光に呑まれていった。


 ――そして、彼らの姿が完全に消えた空間で。


 残されたのは、炎に包まれた巨大な魔獣だけ。


 闇の奔流が弾け、触手が次々と溶け落ちる。


 甲殻は砕け、結晶が割れ、赤い双眸が焼かれていく。


『こんな……こんな力……! 人の手にあるはずが――ッ!』

 紅蓮の光が全てを覆い尽くした。


 炎が肉を、骨を、魂を焼く。


 黒い影が形を保てず、空気の中で崩れ落ちていく。


『存在が……力が……消える……? なぜ……(わらわ)は……』

 次の瞬間、魔獣の姿は完全に崩壊し、残滓すら残さず焼き尽くされた。


 封印の間に残ったのは静寂だけ。


 崩れた壁に差し込む光が、わずかに舞う灰を照らしている。


 やがて、塔の外、街の上空に光の柱が立ち上がった。


 暴走していたモンスターたちの瞳から赤い光がすっと消えていく。

 動きが止まり、やがて正気を取り戻した。


 ――そのころ。


 塔から脱出したユークたちは、人気のない街外れの倉庫エリアに転移していた。


 ユーク、アウリン、セリス、ヴィヴィアン、テルル、ジオード、ジルバ。


 階下で休んでいたシリカも駆け寄り、皆の無事を確かめ合う。


「……やったわね、ユーク」

 アウリンが微笑む。


 頬には涙の跡が残っていたが、その目は誇らしげだった。


「ああ。俺たちの力で、終わらせたんだ」

 風が吹き抜け、二人の髪を揺らす。


 互いの視線が重なり、わずかに笑う。


 そのとき、遠くで街の歓声が上がった。


 結界が晴れ、空を覆っていた暗雲が散っていく。


 塔が沈黙する中、彼らの鼓動だけが静かに響いていた。


◆◆◆


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ユーク(LV.50)→(LV.75)

性別:男

ジョブ:強化術士

スキル:リインフォース(パーティーメンバー全員の全能力を10%アップ)

EXスキル:≪リミット・ブレイカー≫

EXスキル2:≪思考分割≫

備考:『リミット・ブレイカー』は《《全能力》》を五倍にする。アウリンの『コンセントレイション』の「二倍」効果にも五倍が適用され、十倍に増幅。これにより、『イグニス・レギス・ソリス』の最終的な威力は、通常威力の五十倍にまで達した。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

セリス(LV.50)→(LV.68)

性別:女

ジョブ:槍術士

スキル:槍の才(槍の基本技術を習得し、槍の才能をわずかに向上させる)

EXスキル:≪タクティカルサイト≫

EXスキル2:≪ブーステッドギア≫

EXスキル3:≪スキル・ラーニング≫

備考:今回の戦いで、自身の力不足を痛感。強大な敵との差を埋めるため、より一層の鍛錬を心に誓っている。

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アウリン(LV.50)→(LV.75)

性別:女

ジョブ:炎術士

スキル:炎威力上昇(炎熱系魔法の威力をわずかに向上させる)

EXスキル:≪イグニス・レギス・ソリス≫

EXスキル2:≪コンセントレイション≫

備考:魔獣討伐の偉業を達成したことで、今後起こるであろう周囲の過剰な期待や面倒な事態をどう処理するか、既に頭を悩ませている。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ヴィヴィアン(LV.50)→(LV.67)

性別:女

ジョブ:騎士

スキル:騎士の才(剣と盾の才能を向上させる)

EXスキル:≪ドミネイトアーマー≫

EXスキル2:≪インヴィンシブルシールド≫

備考:魔獣の火球を防いだ代償として、愛用の盾が大きく変形。修理しなければ盾として再使用するのは困難な状態である。

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テルル(LV.44)→(LV.70)

性別:男(女)

ジョブ:氷術士

スキル:≪アイスアロー≫(使用不能)

EXスキル:大鎌の才(大鎌の基本技術を習得する)

EXスキル2:≪ソウルイーター≫

備考:大量の経験値を獲得した結果、テルル自身と、ユーク、アウリンが無理やり短縮したEXスキルのクールタイムが正常値にリセットされた。これで「一生使えなくなる」という最悪の事態は回避できたようだ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

アン(LV.2)→(LV.10)

性別:女(精霊)

ジョブ:霊樹の管理精霊(若芽の腕輪に宿る)

スキル:霊樹の加護(ユークの全能力をわずかに向上させる)

備考:影の塔のシステムを掌握したことで、管理精霊としての階級が何段階も上がったようだ。

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ジオード(LV.90)→(LV.100)

性別:男

ジョブ:剣聖

スキル:剣術の真髄(すべての剣の基本技術を習得し、剣技の威力を大きく向上させる)

EXスキル:≪オーラブレイド≫

EXスキル2:≪ビーストソウル≫

EXスキル3:≪ディバインアーマー≫

備考:恐らく現人類の中で、最高レベルに到達した。

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ジルバ(LV.82)→(LV.92)

性別:男

ジョブ:剣士

スキル:剣の才(剣の基本技術を習得し、剣の才能をわずかに向上させる)

EXスキル:≪|ディメンション・スラッシュ《次元斬》≫

EXスキル2:≪鬼神モード≫

備考:『鬼神モード』による重度の筋肉痛に襲われていたが、大量の経験値獲得の影響か、転移後に調子が回復した。

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ルベライト(LV.100)→(LV.120)

性別:女

種族:魔獣

備考:封印が完全に解かれたことで、その魂ごと完全に消滅した。

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