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「お前は用済み」と追放されたけど、俺のことが大好きな幼馴染も一緒に抜けたせいで元パーティの戦力が崩壊した件  作者: 荒火鬼 勝利


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第247話 最後の一秒


 「――《リミット・ブレイカー》!」

 蒼白い光が爆ぜ、ユークとアウリンの全身を瞬く間に覆っていく。


 次の瞬間――


「《コンセントレイション》!」

 アウリンの叫びが響く。


 彼女から放たれる魔力が、凄まじい勢いで増大していく。


 その濃密な魔力は、まるで空間すら歪ませているようにも見えた。


 カウントが始まる――残り三十秒。


「……っ、すごい……! 身体から力が溢れてくるわっ……!」

 アウリンの声が震える。


 全身を駆けめぐるエネルギーが、彼女の魔力の根源を呼び覚ましていたのだ。


「これが……ユークの、限界を超える力(リミット・ブレイカー)なのね!」

 アウリンはユークの傍で、歓喜に目を輝かせた。



 その力の奔流を遠くから見つめながら、魔獣が低く音を漏らす。

 その瞳には、わずかな警戒と焦りが宿っていた。


『この(わらわ)が……脅威を感じているだと?』

 封印による石化が僅かに残る脚を忌々しそうに睨みつけ、魔獣は八本の触手を天井に突き上げた。


 そして――両腕が紅く脈動し、無数の火球がその掌に生まれる。


『いいだろう。ならばその希望――滅ぼし尽くしてくれよう!』


 赤黒い火球が一斉に放たれた。

 隕石の雨のように、空を裂いて降り注ぐ。


「来るぞ! 全員構えろ!」


 ジオードが前に出て叫ぶ。

 火球の光が彼の真っ赤な髪を照らした。


 ――残り二十秒。


「炎が! もう防ぎきれない!」

 セリスの声が悲鳴のように響く。


 そんな時、ヴィヴィアンが前へ踏み出した。


「全部私の所に誘導するわ! 魔法の炎であれば、どれだけ強力でもこの盾で防いでみせる!」

 僅かに回復したインヴィンシブルシールドを使い、火球を誘導して自身へと集中させる。


「くっ! うううううっ!!!」

 彼女の盾が赤く焼け、腕が震えても、その足は一歩も引かずに耐え続けた。


 テルルが跳び回り、大鎌を振るう。


 「こい! いくらでも相手してやるわい!」

 一閃し、複数の触手を弾き飛ばす。


 ――だが。


「ぐぬっ……! ワシの鎌が耐えられんか!」

 金属が砕ける音。テルルが後退し、セリスがその隙を埋める。


 「『オーラブレード』!!」

 光の刃が伸び、複数本の触手をまとめて薙ぎ払った。


「ぐうううっ! しまった!」

 しかし、触手の影に隠れた火球をくらってしまい、大爆発を起こす。熱波が彼女の髪を焼き、腕の皮膚が裂ける。


「くっ……これ以上は……!」


「俺が前に出る! 下がれ!」

 ジオードが踏み込んだ。


 光の刃が炎を割き、爆風が吹き荒れる。


「《ビーストソウル》!!」

 獣の咆哮のような魔力が彼の全身を駆け抜け、筋肉が膨張し、鎧がきしむ。


 迫る触手を斬り払い、火球を両断する。

 

 彼の身体はすでに限界に近づいていたが、眼光はまだ死んでいなかった。


 ――残り十秒。


 魔獣が咆哮する。


 『いいだろう! ならば、これを止められるものなら止めてみるがいい!!』

 八本の触手が一斉に震え、やがて一本に収束していく。


「まずい……アイツ、全部を一本に束ねてる……っ!」

 セリスが叫んだ。


 ジオードは迷わず吠える。


「ビーストソウル――オーバードライブ(限界解放)ッ!」


 全身から光が弾け、野獣のような咆哮が空間を震わせた。

 

 その瞬間、触手が合わさって出来た巨大な攻城槍が勢いよく放たれる。


 空気が裂け、音を置き去りにして迫る巨大な槍。


「《オーラブレード》!!!」

 ジオードは光の剣を生み出し、正面から迎え撃つ。


 「おおおおおおっッ!!」

 巨槍と光剣が衝突した瞬間、凄まじい轟音が場を支配した。


 衝撃波が広がり、床石が粉砕される。


 巨大な攻城槍と光の剣(オーラブレード)が、互いの存在を否定するように打ち合い、周囲に衝撃波を撒き散らした。


 激しいせめぎ合いの末、攻城槍は先端から崩壊し始め、やがて粉々に砕け散る。


 しかし、オーラブレードもまた、限界を超えた負荷に耐えきれず、眩い光を放ちながら一瞬で霧散してしまった。


「ハアッ、ハアッ、ハアッ……!」

 武器を失ったジオードは、荒い息を繰り返しながらその場に膝をついた。


「くそっ……体が動かん……っ!」

 全身の筋肉が鉛のように重く、指一本動かすこともできない。


「だが、ヤツの切り札は打ち破ったぞ。これで――」

 ジオードが顔を上げて笑顔を浮かべようとしたその時。


 彼の目が大きく見開かれる。



 ――残り三秒。


 煙の向こうで、魔獣の口がゆっくりと開かれていた。


 『これが……妾の、本当の“切り札”だ……!』

 魔獣の魔力がその口腔に収束していく。


「まずい、ヴィヴィアン! お前の盾で――!」

 ジオードが叫んだその瞬間。


 盾を構えるヴィヴィアンを大きく避けるように、一条の閃光が走る。


「ユークたちを、直接狙うつもりか……っ! まずいっ! 避けろ!!」

 大きく湾曲した光線がユークとアウリンに迫る。


 ――だが、ユークたちは避けようとする素振りすら見せなかった。


 なぜなら、頼りになる仲間が、目覚めたことを知っていたから。


「……少し、寝過ごしてしまったようですな」

 老剣士が二人の前に立つ。


「《鬼神モード》――!」

 ジルバが血に濡れた衣を翻し、鬼のような形相で剣を振り抜いた。


 わずか数秒の奇跡。

 その一撃が、放たれた紅光を真っ二つに引き裂く。


「なんとか……持ちました、か……」

 穏やかな笑みを浮かべながら、ジルバが片膝をつく。


 だがその一閃が、最後の一秒を稼いだ。


 ――残り一秒。


「アウリン!」

 ユークの声が響く。

 アウリンが目を開いた。紅蓮の光が瞳を満たす。


「EXスキル――《イグニス・レギス・ソリス》!!」

 空が裂け、封印の間を紅蓮の光が埋め尽くす。


 それはまるで太陽そのもの。神々の審判にも似た熱量が、魔獣の頭上に降り注ごうとしていた。


◆◆◆


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ユーク(LV.50)

性別:男

ジョブ:強化術士

スキル:リインフォース(パーティーメンバー全員の全能力を10%アップ)

EXスキル:≪リミット・ブレイカー≫

EXスキル2:≪思考分割≫

備考:最後までアウリンとの同調に精神を集中していたため、戦闘には参加できなかった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

セリス(LV.50)

性別:女

ジョブ:槍術士

スキル:槍の才(槍の基本技術を習得し、槍の才能をわずかに向上させる)

EXスキル:≪タクティカルサイト≫

EXスキル2:≪ブーステッドギア≫

EXスキル3:≪スキル・ラーニング≫

備考:触手を束ねた巨大な槍を見た時は、正直もうダメだと戦意を失いかけた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

アウリン(LV.50)

性別:女

ジョブ:炎術士

スキル:炎威力上昇(炎熱系魔法の威力をわずかに向上させる)

EXスキル:≪イグニス・レギス・ソリス≫

EXスキル2:≪コンセントレイション≫

備考:EXスキル発動直後、ユークと胸を合わせてぴったりと抱き合い、指を絡ませているのを仲間たちに見られ、恥ずかしさのあまり慌てて離れた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ヴィヴィアン(LV.50)

性別:女

ジョブ:騎士

スキル:騎士の才(剣と盾の才能を向上させる)

EXスキル:≪ドミネイトアーマー≫

EXスキル2:≪インヴィンシブルシールド≫

備考:窮地に追い詰められたことで、残りの少ないインヴィンシブルシールドを効率的に使う、新たな防御方法を編み出した。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

テルル(LV.44)(+20)

性別:男(女)

ジョブ:氷術士

スキル:≪アイスアロー≫(使用不能)

EXスキル:大鎌の才(大鎌の基本技術を習得する)

EXスキル2:≪ソウルイーター≫

備考:愛用の死神の大鎌は、切れ味こそ鋭いが、予想以上に脆かったようだ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

アン(LV.2)

性別:女(精霊)

ジョブ:霊樹の管理精霊(若芽の腕輪に宿る)

スキル:霊樹の加護(ユークの全能力をわずかに向上させる)

備考:影の塔のシステムを使い、アウリンのEXスキルによる凄まじい熱がユークたちに届かないよう防護結界を張っている。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ジオード(LV.90)

性別:男

ジョブ:剣聖

スキル:剣術の真髄(すべての剣の基本技術を習得し、剣技の威力を大きく向上させる)

EXスキル:≪オーラブレイド≫

EXスキル2:≪ビーストソウル≫

EXスキル3:≪ディバインアーマー≫

備考:奥義「オーバードライブ」は、一瞬だけ限界を超えた力を得るが、その後、確実に戦闘不能となる究極の切り札である。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ジルバ(LV.82)

性別:男

ジョブ:剣士

スキル:剣の才(剣の基本技術を習得し、剣の才能をわずかに向上させる)

EXスキル:≪|ディメンション・スラッシュ《次元斬》≫

EXスキル2:≪鬼神モード≫

備考:病み上がりですぐに鬼神モードを使ったため、その効果は一瞬しか持続しなかった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ルベライト(LV.100)

性別:女

種族:魔獣

備考:最後の切り札である二つの技を防がれ、現在呆然自失の状態にある。

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