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「お前は用済み」と追放されたけど、俺のことが大好きな幼馴染も一緒に抜けたせいで元パーティの戦力が崩壊した件  作者: 荒火鬼 勝利


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第243話 決死の勝利


 テルルが静かに口を開いた。


「以前――ヘリオ博士が持っていた古代魔導具(アーティファクト)を覚えておるか?」


「えっと……何だっけ? それ……」

 ユークが申し訳なさそうに問い返す。


「ほら! ヘリオ博士の手下がモンスターに変身していたでしょ? それをするために使われたのが彼が持っていた古代魔導具(アーティファクト)――『神の絵筆』なのよ!」

 アウリンが腰に手を当て、少し呆れたように説明する。


「あー……。そうだったっけ。ゴメン……」

 困ったように頭をかくユーク。


「……話を戻すぞ。その古代魔導具(アーティファクト)“神の絵筆”は魂に情報を書き込み、ジョブやスキルを改変できる強力な代物じゃ」

 テルルの表情が、いつになく険しくなる。


「ヘリオ博士はそれを使い、部下たちの魂に召喚魔法を書き込み、人間をモンスターへと変えていた」

 その声には、強い嫌悪がにじんでいた。


「ええ、そうね……あいつらにはずいぶん苦戦したわ」

 アウリンが深く息を吐き、静かにうなずく。


「うむ。あの技術が権力者の手に渡れば、何が起きるか分からん。だからワシが回収した。しかし、ただ封印しておくだけでは勿体ないと思っての……他の使い道を試しておったのじゃ」


「試してた……って、まさか……」

 ユークが眉をひそめる。


「そう。自分の魂に実際に書き込んでみたんじゃ」


「えぇ……」

 危険なことを当然のように言うテルルに、ユークは頭を抱えたくなった。


「実験の結果――再使用時間が必要なスキルのクールタイムを無視して、発動することに成功した」


 ユークとアウリンは言葉を失った。


「ま、待って……それって、さっきおじいちゃんが使ってたEXスキル(ソウルイーター)のこと!?」

 ヴィヴィアンが一歩前に出て問い詰める。


「そうじゃ。実際に使ってみたが、使用感に変わりは無かった。効果も特に弱まった様子はない」

 テルルは淡々と語る。


「じゃがな……スキルのクールタイムは、本来“必要だから”あるものじゃ。無理に使えば、魂に大きな負荷がかかる。恐らく次の再使用までの時間は、本来の何倍にもなるじゃろう。下手をすれば――一生使えなくなるかもしれん」


 場の空気が張りつめ、誰も言葉を発せなくなった。


「無論、ジオード殿下たちが勝てば、こんな備えは要らん。だが、もしもの時に備えて……覚悟だけはしておけ」


 テルルの静かな言葉に、ユークたちは無言でうなずいた。



 ◆ ◆ ◆



 そのころ、ジオードたちの戦いは、すでに佳境を迎えていた。


 ジオードの黄金の鎧も、ジルバの鬼神モードで強化された肉体も、すでに無数の傷を負っている。


 だが、魔獣の暗赤色に爛れた皮膚も同様に切り裂かれ、その傷口からは絶えず血が噴き出していた。


「ちぃっ……再生が早すぎる! 止めを刺しきれんか!」

 ジオードが叫び、黄金の光を剣に宿して触手をなぎ払う。


 しかし、断ち切ったはずの一本が、次の瞬間にはもう再生の兆しを見せていた。


「殿下、次の攻撃が来ます!」

「任せた!」


 ジルバの剣が、魔獣の両手から放たれた灼熱の火球を打ち砕く。

 その一瞬の隙を逃さず、ジオードが魔獣の硬質な外骨格を深く切り裂いた。


『ぐぉおおおおおお――ッ! おのれぇええええ!』

 魔獣が咆哮を上げ、六本の触手をドリル状にねじり上げて突進してくる。


「来たな、全力の一撃! これを待っていたのだ。ジルバ、やれるな!」

「お任せ下さい殿下!」


「はぁぁぁぁっ!!」

 ジオードは防御を捨て、最大の力を込めた光の剣を魔獣の頭部めがけて振り下ろした。


「おおおおおおおお!!!」

 同時に、ジルバは触手を正面から受け止めるために、鬼神モードの限界を超えた一撃を魔獣に叩き込む。


 二人の渾身の攻撃が交差し、魔獣の頭部と胴体を同時に切り裂く。


『があああああああああ!!!』

 断末魔の叫びを上げ、魔獣は崩れ落ちた。


 切り裂かれた残骸が周囲に飛び散り、残ったのは膝下だけ――まるで呪われたかのように、灰色の石の塊が残るのみだった。


「……やった、のか?」

 ジオードが息を荒げながら呟き、剣を下ろす。


 黄金の鎧は光を失い、ところどころにひびが走っている。


 その姿を見て、ユークたちも歓声を上げた。


「すごい……本当に倒したわ……!」

 アウリンが胸を押さえ、安堵の息を吐く。


「ふう……これでEXスキルを使わずに済んだな」

 ユークもホッと胸をなで下ろした。


「本当によかった……」

 ヴィヴィアンなどは泣きそうになってしまっている。


 ユークたちの顔に、ようやく笑みが戻る――その瞬間だった。


『マスター! まだ終わってません!』

 アンの焦った声が響いた。



◆◆◆


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ユーク(LV.50)

性別:男

ジョブ:強化術士

スキル:リインフォース(パーティーメンバー全員の全能力を10%アップ)

EXスキル:≪リミット・ブレイカー≫

EXスキル2:≪思考分割≫

備考:テルルの話を聞きながらも、隙をみて援護をしようとも思っていたが、戦いが凄すぎて援護する暇が無かった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

セリス(LV.50)

性別:女

ジョブ:槍術士

スキル:槍の才(槍の基本技術を習得し、槍の才能をわずかに向上させる)

EXスキル:≪タクティカルサイト≫

EXスキル2:≪ブーステッドギア≫

EXスキル3:≪スキル・ラーニング≫

備考:セリスであれば、ジオードたちの戦闘に混ざることも出来たが、ユークの傍を離れたくなかったので加勢にはいかなかった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

アウリン(LV.50)

性別:女

ジョブ:炎術士

スキル:炎威力上昇(炎熱系魔法の威力をわずかに向上させる)

EXスキル:≪イグニス・レギス・ソリス≫

EXスキル2:≪コンセントレイション≫

備考:ジオードやジルバの動きが速すぎて、自分の魔法で巻き込んでしまう危険があったため、援護出来なかった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ヴィヴィアン(LV.50)

性別:女

ジョブ:騎士

スキル:騎士の才(剣と盾の才能を向上させる)

EXスキル:≪ドミネイトアーマー≫

EXスキル2:≪インヴィンシブルシールド≫

備考:流石にあレベルの戦いに参加するのは無理。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

テルル(LV.44)(+20)

性別:男(女)

ジョブ:氷術士

スキル:≪アイスアロー≫(使用不能)

EXスキル:大鎌の才(大鎌の基本技術を習得する)

EXスキル2:≪ソウルイーター≫

備考:ようやく変化した肉体に慣れてきた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

アン(LV.2)

性別:女(精霊)

ジョブ:霊樹の管理精霊(若芽の腕輪に宿る)

スキル:霊樹の加護(ユークの全能力をわずかに向上させる)

備考:ジオードたちが戦っている中、魔獣のことを解析して、あることに気付いた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ジオード(LV.90)

性別:男

ジョブ:剣聖

スキル:剣術の真髄(すべての剣の基本技術を習得し、剣技の威力を大きく向上させる)

EXスキル:≪オーラブレイド≫

EXスキル2:≪ディバインアーマー≫

備考:最大の攻撃こそが最大の隙になると思い、ずっと耐えていた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ジルバ(LV.82)

性別:男

ジョブ:剣士

スキル:剣の才(剣の基本技術を習得し、剣の才能をわずかに向上させる)

EXスキル:≪|ディメンション・スラッシュ《次元斬》≫

EXスキル2:≪鬼神モード≫

備考:限界まで力を使い果たしたため、満身創痍になっている。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ルベライト(LV.80)

性別:女

種族:魔獣

備考:ジオードとジルバの連携によって敗北した。自分より弱い人間に倒されたことは彼女のプライドを大きく傷つけた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


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