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「お前は用済み」と追放されたけど、俺のことが大好きな幼馴染も一緒に抜けたせいで元パーティの戦力が崩壊した件  作者: 荒火鬼 勝利


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第240話 黄金の瞳、決意に燃えて


【影の塔 四十九階】


ユーク達を先に行かせてから、どれくらいの時間がたったのだろうか。


「――何度も言っているでしょう? 私を倒すことなど出来ないと!」

セドニーが肉体を再生させながら笑う。その再生速度は、以前よりも格段に速くなっている。


 終わりのない攻防で、ジオードもジルバもシリカも、みな疲れ切っていた。


「はぁ……はぁっ……! もう、いくつ目の鎖か……わかりません……!」

 シリカが荒い息を吐きながら、袖口からのびる鎖を操る。


 メイド服の裂け目から覗く白い肌。その下に隠していた鎖も、もう残りわずかだった。


「シリカ。もう少しだけ持たせろ。あと少しでいい!」

 ジオードの声には、焦りが(にじ)んでいた。


「わかりました……! 《リビングチェーン》! お願い、みんな、力を貸して!」

 もはや無事な鎖はほとんど残っていない。


 それでもシリカは、ジオードの命令に応えるため、全力で鎖を操り続ける。


(じい)! まだか!!」

 ジオードが背後を振り返り、叫ぶ。


「申し訳ありません……! もうそろそろなのですが……」

 老剣士ジルバの声が返るが、それは彼が望んでいた言葉ではなかった。


「しかたない。シリカ、全力を出していい。何とか時間を稼げ」

 ジオードの命令に、シリカは顔を引きつらせながらも頷く。


「……わかりました。でも、これが本当に最後ですよ……!」

 彼女は震える声でスキルを発動した。


「――EXスキル、《インヴィンシブルチェーン》!」


 空間に半透明の鎖が幾重にも走り、セドニーの巨体を絡め取る。


「縛れっ!!」

 鎖が意思を持つように(うごめ)き、セドニーの四肢と胴体を完全に拘束した。


『いまさらこんなもので! この私を縛れると思うな!』

 黒竜の咆哮が洞窟を震わせる。


 彼を縛る鎖を破壊するため、筋肉が爆発的に膨張する。


『ぐぐぐ……はあああああっ!!』

 次の瞬間、外側の鎖が爆ぜた。


 破片が飛び散り、光の粒子となって消える。


「やっぱり無理ですよぉ!!」

 シリカが涙目で叫ぶ。


 セドニーはさらに力を込め、鎖がギシギシと音を立ててきしむ。


 それでもシリカは、歯を食いしばりながら拘束を続けた。


「ひっ……も、もう抑えられませんっ!」

 だが、とうとう限界を迎えた鎖が、次々と千切れ飛んでいく。


「いえ――もう十分です、シリカ」

 静かな声でそう告げたのは、ジルバだった。


(じい)!」

 ジオードが驚きと喜びの入り混じった表情で老剣士を振り返る。


「……参ります」

 柔らかな声のまま、老剣士は微笑んだ。


 ジルバが一歩、地を蹴る。

 その瞬間、老いた足が描いた軌跡が閃光と化した。


 鎖の束が弾ける寸前、ジルバの剣が――空間そのものを切り裂く。


「――EXスキル、《ディメンション・スラッシュ》」

 光の線が走り、世界が一瞬だけ静止した。


「ははははは! 何をしたというのですか! 私に傷一つつけられないとは!」

 セドニーが(あざけ)るように笑う。


「……貴様は何度も言っていたな。魔獣からの魔力供給がある限り、無敵だと」

 ジオードが静かに言葉を返す。


「ええ、その通り。あなた方が、いくら攻撃しようとも無駄なのですよ!」

 セドニーは勝ち誇ったように笑った。


「なら、その繋がりを絶てばどうなると思う?」

 ジオードの声が冷たく響く。


「な……何だと!? まさか――」

 セドニーは何かを探るように両目を閉じ、次の瞬間、息をのんだ。


「そ、そんな……! 魔獣さまとの……繋がりが……っ!」

 見開かれた瞳に、驚愕の色が宿る。


 セドニーと魔獣を繋ぐ魔力のラインは、完全に絶たれていた。


「そんな、どうしてっ……!」

 セドニーは怯え、先ほどまでの威勢が消える。


「あとは俺がやる。二人は休め」

 ジオードはシリカとジルバに背を向け、セドニーへと歩み出した。


「EXスキル――《オーラブレイド》」

 一瞬で空間を満たす黄金の閃光。


「ま、待て! これではっ――」

 セドニーが叫ぶ。


「終わりだ!」

 轟音とともに、巨大な黄金の剣が振り下ろされた。


「ぎっ、ぐああああっ!!!」

 黄金の刃に両断されたセドニーは、再生する暇もなく光の粒子となって消滅した。


「ふう……ようやく、終わったか」

 ジオードは剣を収め、天を見上げる。


(ユーク、アウリン……上から、凄まじい魔力を感じる。これが……“魔獣”なのか――?)

 彼の感知能力が、セドニーを上回る存在の気配をとらえていた。


「シリカ、ジルバ。二人はここで待機していろ。俺は(アウリン)を助けに行く」


「えっ、殿下! お一人でですか!?」

 シリカが慌てて制止する。


「問題などない。俺の可愛い(アウリン)が危機にあるのだ。躊躇(ちゅうちょ)する理由など欠片もありはしない!」

 ジオードは背を向けたまま、五十階のボス部屋へと足を踏み出した。


「しかたがないですな。殿下、私もお付き合いしましょう」

 ジルバがジオードの横に並ぶ。


「……すまん。助かる」

 ジオードがちらりと彼に目を向け、再び前を見据えた。


「待っていろ、アウリン、ユーク。すぐに助けに行くからな!」


 黄金の瞳が、決意の光で燃えていた。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ジオード(LV.??)

性別:男

ジョブ:剣聖

スキル:剣術の真髄(すべての剣の基本技術を習得し、剣技の威力を大きく向上させる)

EXスキル:≪オーラブレイド≫

備考:だいぶ長い時間をセドニーと戦っていたが、疲労している以外のダメージは無い。ユークの元へ援軍に行くために、被弾しないように戦っていたからだ。

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ジルバ(LV.??)

性別:男

ジョブ:剣士

スキル:剣の才(剣の基本技術を習得し、剣の才能をわずかに向上させる)

EXスキル:≪|ディメンション・スラッシュ《次元斬》≫

備考:《賢者の塔》に突入する際に使用した、≪|ディメンション・スラッシュ《次元斬》≫のクールタイムがようやく終わった。ディメンション・スラッシュは多くの実態の無いものを斬ることが出来る反面、人間のような実体のあるものを斬ることは出来ない珍しいスキルだ。

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シリカ(LV.??)

性別:女

ジョブ:鎖術士

スキル:鎖術の才(鎖術の才能を向上させる)

EXスキル:≪リビングチェーン≫

EXスキル2:≪インヴィンシブルチェーン≫

備考:前衛の二人を少しでも休ませる為にセドニーを拘束し続けた結果、もはや武器である鎖は全て使い果たしてしまった。

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セドニー(LV.??)

性別:男

ジョブ:無し

スキル:無し

備考:本懐を果たすことも無く、ジオードに敗れて命を落としてしまった。

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