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「お前は用済み」と追放されたけど、俺のことが大好きな幼馴染も一緒に抜けたせいで元パーティの戦力が崩壊した件  作者: 荒火鬼 勝利


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第239話 全滅


『さあ――今度は貴様らが焼かれる番だ』


 魔獣の全身が脈動し、六本の触手が一斉に構えを取った。


「くそっ、みんな避けろ!」

 ユークが叫ぶと同時に、触手が凄まじい速度で襲いかかる。


「っ、速い!?」

 セリスがオーラブレードを横薙ぎに振り、二本の触手を切り裂いた。


 だが触手に浅い傷がついたものの、その勢いを止めるには至らない。


 わずかに勢いが減じた触手が、セリスの腹部を強く打ち据える。


「かひゅっ……!」

 セリスは呻き声を上げ、血を吐きながら壁に叩きつけられた。


「セリス!」

 ユークがその名を叫ぶが、彼の背後からも三本の触手が迫っていた。


「《ストーンウォール》!」

 急いで出現させた石壁は一瞬で粉砕され、残りの触手がユークの身体を絡め取る。


『ようやく捕まえたぞ!』

 魔獣の冷たい声が響いた。次の瞬間、ユークの身体に激痛が走る。


 締め付けはまるで骨を砕くかのような強さだった。


「ぐあああああッ!」

 悲鳴が空間を震わせる。


「ユーク君!」

 ヴィヴィアンが触手を避けながら駆け寄るが、魔獣はその動きを逃さない。


『貴様の順番はまだだ! おとなしくしているがいい!』

 複数の触手が彼女を地面に叩きつけた。


「きゃああああっ!!!」

 地面にヒビが走り、ヴィヴィアンは力なく倒れ伏す。


「ヴィヴィアン! くそ、離せ!」

 ユークが必死に抗うが、拘束はさらに強まっていく。


「ユーク!」

 アウリンが立ち上がり、ユークに向かって突進した。


『じゃまだ! おとなしくしていろ!』

 触手がアウリンを捕らえ、その身体を絡め取る。


『さあ、まずは貴様の魂を奪ってやろう。なにより深く苦しみ、なにより深く絶望して死んでいくがいい! それがお前の魂をより美味に変える!』

 魔獣が勝ち誇るように笑い、ユークの右足に触手を絡ませた。


 強烈な締め付けが走る。


「ああああああああッ!!!」

 右脚の骨が砕け、ユークは絶叫した。


『あははははは! 良い声だ! これが聞きたかったのだ、妾は!』

 魔獣は愉快そうに笑い声を上げる。


「あ……」

 ユークの意識が遠のき、抗う力が完全に抜けていった。

 視界が暗闇に包まれる。


(……終わった)


 誰もが絶望に沈みそうになった、その時――。


 地面に倒れていたヴィヴィアンの視界の端に、小さな箱型の魔道具が映る。


「あれって、まさか……」


 それは激しい衝撃で道具袋からこぼれ落ちた、“転移封じの天蓋”。


 かつてヘリオ博士討伐の報酬として受け取り、エウレ博士に渡していたはずの魔道具だった。


 これは影の塔突入前、エウレの屋敷で他の魔道具と共に持ってきていたものだ。


「お願い……っ!」

 複数の触手で地面に押さえつけられながらも、ヴィヴィアンは“転移封じの天蓋”に向かって必死に手を伸ばす。


 その指先が、かろうじてソレに触れた。


「――っ、発動!!」


 声にならないような、魂の叫び。


 チリン、と銀の鈴のようなか細い音が響いた。


 次の瞬間、銀色の光が地面から噴き出し、ユークたちを包み込むように直径五メートルほどのドームを形成する。


『な、なんだ!?』

 魔獣が驚愕の声を上げ、ユークを捕らえていた触手を反射的に引き戻した。


 ドームが展開された瞬間、外と内を貫いていた触手が切断され、内側にあった触手だけが残る。


 拘束から解放されたユークは力尽きたように崩れ落ちた。

 セリスもアウリンも、ドームの中に転がり込むように倒れている。


『貴様ら、一体何を……!』

 魔獣は激昂し、触手をドームに叩きつけた。


 だが触れた途端、触手の先が消失する。


『ぐあああああああ!!! なんだこれは!?』


「……助かった」

 セリスは身体を庇いながら、小さく息を吐いた。


「すごい……魔獣の攻撃が通らないなんて……」

 ヴィヴィアンは青ざめた顔でドームの表面を見つめる。


 外では、魔獣の怒声と罵声が止むことなく響いていた。


(……これで、攻撃は防げた。けど――)


 ヴィヴィアンの表情には安堵ではなく、深い絶望が浮かんでいた。


 インヴィンシブルシールドの残りはあとわずか。


 ユークとアウリンのEXスキルも使い切っている。


 なにより、セリスは傷つき、ユークとアウリンも重症で荒い息を吐いていた。


 もう逆転の手は残されていない――そう思いかけた、その時。


「……すまん。身体が動かず、ただ見ていることしかできなかった。――状況は理解しておる。手はまだある、ヴィヴィアンや、ワシを手伝ってはくれんか?」


 魔獣のオーラに当てられ、動けずにいたテルルが、静かに声を発した。


 その迷いのない力強い声が、絶望の淵に沈んでいたヴィヴィアンの瞳に、再び光を戻すのだった。


◆◆◆


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ユーク(LV.50)

性別:男

ジョブ:強化術士

スキル:リインフォース(パーティーメンバー全員の全能力を10%アップ)

EXスキル:≪リミット・ブレイカー≫

EXスキル2:≪思考分割≫

備考:重症。意識を失い荒く息を吐いている。この傷では生きているのも不思議なくらいだ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

セリス(LV.50)

性別:女

ジョブ:槍術士

スキル:槍の才(槍の基本技術を習得し、槍の才能をわずかに向上させる)

EXスキル:≪タクティカルサイト≫

EXスキル2:≪ブーステッドギア≫

EXスキル3:≪スキル・ラーニング≫

備考:骨が何本か折れているが、意識はある。壁に叩きつけられていたが、自力で戻ってきた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

アウリン(LV.50)

性別:女

ジョブ:炎術士

スキル:炎威力上昇(炎熱系魔法の威力をわずかに向上させる)

EXスキル:≪イグニス・レギス・ソリス≫

EXスキル2:≪コンセントレイション≫

備考:ユークほどでは無いものの重症。意識を失っている。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ヴィヴィアン(LV.50)

性別:女

ジョブ:騎士

スキル:騎士の才(剣と盾の才能を向上させる)

EXスキル:≪ドミネイトアーマー≫

EXスキル2:≪インヴィンシブルシールド≫

備考:鎧のおかげでダメージは少ないが、仲間たちを守れず落ち込んでいる。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

テルル(LV.44)

性別:男(女)

ジョブ:氷術士

スキル:≪アイスアロー≫(使用不能)

EXスキル:大鎌の才(大鎌の基本技術を習得する)

EXスキル2:≪ソウルイーター≫

備考:魔獣のオーラに当てられて体が動けなくなっていたが、“転移封じの天蓋”のおかげで魔獣の魔力が遮断され、動けるようになった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

アン(LV.2)

性別:女(精霊)

ジョブ:霊樹の管理精霊(若芽の腕輪に宿る)

スキル:霊樹の加護(ユークの全能力をわずかに向上させる)

備考:現在必死でユークの命を繋いでいる。彼女がいなければユークの命は無かっただろう。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ルベライト(LV.80)

性別:女

種族:魔獣

備考:《賢者の塔》に封印されている本体とは違い、影の塔と一緒に魔力で複製したコピーであった為に、“転移封じの天蓋”の魔法を魔力に分解する効果をもろに受けてしまった。

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