表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「お前は用済み」と追放されたけど、俺のことが大好きな幼馴染も一緒に抜けたせいで元パーティの戦力が崩壊した件  作者: 荒火鬼 勝利


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

241/254

第238話 最大最強の魔法


「いくわよっ!! EXスキル、《イグニス・レギス・ソリス》!!」


 アウリンの絶叫とともに、三十秒のチャージを終え、二倍の威力となった《イグニス・レギス・ソリス》が発動した。彼女の最強の魔法だ。


 魔獣の頭上に出現したそれは、もはやただの炎ではない。


 まるで灼熱の太陽を呼び出したかのような、巨大な熱塊だった。


『その程度の炎で、この妾を焼けるとでも?』

 魔獣は小馬鹿にしたように笑い、背から生えた四本の触手を操って炎塊にぶつけるように防御する。


 灼熱の炎と、暗赤色の触手が正面からぶつかり合う。


 爆風が巻き起こり、ユークたちの身体を容赦なく押し流した。


「すごい! このままならっ!」

 ユークが叫ぶ。


『くくっ。大した威力だが、これでは足りぬなぁ!』

 だが、その希望を砕くように、魔獣は凶悪な笑みを浮かべ、触手にさらに魔力を集中させた。


 押し返され、炎の塊が少しずつ小さくなっていく。


 ユークたちの表情に絶望が広がる中、アウリンは汗と煤にまみれた顔で、静かに笑みを浮かべた。


「馬鹿ね……。この魔法は、相手が強ければ強いほど威力が増すのよ!」


『な、に……?』

 魔獣が驚愕の表情を浮かべる。


「あなたがその触手に込めている魔力――その力全部、私の炎に利用させてもらうわ!」

 アウリンは指を差し、勝ち誇ったように笑った。


 レベル50に到達した時、彼女のEXスキル《イグニス・レギス・ソリス》には新たな効果が加わっていた。


 魔法を防がれて拮抗した場合、相手の魔力を利用することで、炎の威力を上昇させる――そんな隠された能力だ。


『馬鹿なっ!? 妾の魔力を、利用するだと!?』

 魔獣の顔に、初めて焦りの色が浮かんだ。


 触手に込めた力が、逆に炎へと吸い上げられていく。

 炎塊の輝きが増し、触手では押さえきれず、炎はさらに巨大化した。


 キシキシと音を立て、触手が焼け爛れる。暗赤色の皮膚も、焦げて黒く変色していく。


「いけるっ! いけるわっ!」

 アウリンが拳を握りしめ、声を上げた。


「このまま押し切れ!」

 ユークが叫ぶ。


「いっけぇぇぇぇぇぇ!!!」

 セリスとヴィヴィアンも声を重ねた。


『このままでは……っ!』

 魔獣は触手で炎を押し返すことを諦める。


 次の瞬間、小さな太陽のような炎塊が魔獣を飲み込み、最後に残った触手も力なく崩れ落ちた。


 ――勝った。


 全員が、そう思った。


 だが。


『グオオオオオオオオオオッ!!!』

 魔獣の全身が赤く発光し、爆発的な魔力が全方位に放出される。


 炎の塊は、その衝撃に相殺され、霧散した。


『はぁっ……はぁっ……はぁっ……』

 魔獣が息も絶え絶えに呼吸する。


 その肌は焼けただれ、触手の先端は焼失し、片目は潰れていた。


「くっ!」

 アウリンが悔しげに唇を噛む。


「まだだ! 今ならアイツは弱ってる! たたみかけるんだ!」

 ユークが叫ぶ。


『……効いたぞ』

 魔獣は片方の目でユークたちを睨んだ。


『まさか妾の魔力が利用されるとはな……ふふ』

 何が可笑しいのか、魔獣の口元がゆがむ。


「何がおかしい!」

 ユークが怒鳴る。


『惜しかったな、と思うてな』

 魔獣は嗤った。声には痛みではなく、愉悦が滲んでいる。


「どういう意味よ!」

 ヴィヴィアンが叫んだ。


『本来、封印は外からでなければ破れぬ。だが、一度でも裂け目ができれば――内側から壊せるようになるのだ』


「……なに? 何を言っているの……?」

 アウリンの顔から血の気が引いていく。


『妾の精神体が行っていた魂の移動は、お前たちに邪魔された……だが、封印が弱まれば、この状態でも魂を引き寄せることくらいはできる!』

 魔獣の下半身を覆っていた石化の殻が、ひび割れとともに崩れ落ちる。


 鈍い音と共に岩片が砕け、床へ散った。


「封印が……!」

 ユークが絶叫する。


 まだ完全ではない。だが確かに、封印はさらに解けつつあった。


 魔獣の背中が不気味に隆起する。

 暗赤色の皮膚を突き破り、新たな触手が二本、枝のようにねじれながら生えてきた。


「嘘……! 触手が増えた……!」

 セリスの声が震える。


『ふふ……これで六本だ。封印が完全に解ければ、残りの魂全てを引き寄せることが出来る。そして妾は真に目覚めるのだ!』

 魔獣の声が低く響き、空間全体が震える。


「そんな……」

 ヴィヴィアンが息を呑んだ。


 焦げ跡がみるみる修復され、潰れていた目も再生していく。

 皮膚はより黒く、より硬質に変化し、もはや別の存在のようだった。


「くそっ……せっかくのダメージが……!」

 ユークが歯を食いしばる。


『クハハハハハハハハハハハ! 見よ! |わが身に宿る魂が増えた《レベルが上昇した》ことで肉体が治癒したのだ! いままでの苦労が無駄になった気分はどうだ!?』

 魔獣の裂けた口が嗤う。


 その背後で、結晶が赤く輝きを放ち、空間全体を不気味に染め上げた。


『さあ――今度は貴様らが焼かれる番だ』

 魔獣の全身が脈動し、六本の触手が一斉に構えを取る。


 まるで地獄そのものが再び息を吹き返したかのようだ。


 ユークたちの表情に、再び絶望の色が広がっていった。


◆◆◆


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ユーク(LV.50)

性別:男

ジョブ:強化術士

スキル:リインフォース(パーティーメンバー全員の全能力を10%アップ)

EXスキル:≪リミット・ブレイカー≫

EXスキル2:≪思考分割≫

備考:リーダーとして決して膝を折ることは出来ない。その一心だけで前を向いている。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

セリス(LV.50)

性別:女

ジョブ:槍術士

スキル:槍の才(槍の基本技術を習得し、槍の才能をわずかに向上させる)

EXスキル:≪タクティカルサイト≫

EXスキル2:≪ブーステッドギア≫

EXスキル3:≪スキル・ラーニング≫

備考:本能で勝てないと理解している、それでもユークがいる限り、彼女が決して折れることはない。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

アウリン(LV.50)

性別:女

ジョブ:炎術士

スキル:炎威力上昇(炎熱系魔法の威力をわずかに向上させる)

EXスキル:≪イグニス・レギス・ソリス≫

EXスキル2:≪コンセントレイション≫

備考:今、自身が使える最大最強の魔法で倒せずに終わり、茫然自失としている。

――そういえば。昔、霊樹の精霊からリスクはあるが魔法の威力が上がる霊薬を貰っていたことを思い出していた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ヴィヴィアン(LV.50)

性別:女

ジョブ:騎士

スキル:騎士の才(剣と盾の才能を向上させる)

EXスキル:≪ドミネイトアーマー≫

EXスキル2:≪インヴィンシブルシールド≫

備考:まだ使えるインヴィンシブルシールドの数は残り少ない。それでも最後まで仲間を守る決意をしている。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ルベライト(LV.60)→(LV.80)

性別:女

種族:魔獣

備考:原理としてはレベルアップした際の治癒効果と同じ、ただその上昇が桁違いなだけだ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ