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「お前は用済み」と追放されたけど、俺のことが大好きな幼馴染も一緒に抜けたせいで元パーティの戦力が崩壊した件  作者: 荒火鬼 勝利


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第230話 ジョブ無し


【影の塔 四十九階 ボス部屋の扉の前】


 黒の大地を抜けた先。

 広間の中心に、赤いローブの男が一人立っていた。


 静まり返った空間の中、

 その姿はまるで空気そのものを支配しているかのような異様な存在感を放っている。


「……あれは、信奉者か」

 ユークが小さくつぶやいた。


 男はゆっくりと顔を上げる。銀糸のような髪が揺れ、赤い瞳が薄闇の中で光を宿した。


「あれだけの数の“落し子”を滅するとは……」

 静かな声が響く。


「酷いものですね。あの数を揃えるのには苦労したのですよ?」

 その一言には、奇妙なほどの悲しみがこもっていた。


 ユークは小さく息をつき、仲間たちを見回す。


『降参しろ! もうお前に勝ち目はない!』

 ユークがアークガーディアンの中から呼びかけた。


「話をするなら、直接会って話したらどうですか? それとも、私など直接話す価値すらないと?」

 ローブの男が両手を広げて返す。


『何を言ってるんだ!』

 ユークが怒鳴る。


「そんなモノに閉じこもって、私に勝ったつもりでいるのですか? 本当に塔の最奥へ進む覚悟があるのなら、ご自身の足でこの地を踏んでから語るべきでしょう?」


「アン、外への音声を止めてくれ」

 ユークが指示すると、仲間たちへ振り返った。


「……直接話そう。セリス、ついてきてくれ」

 ユークの言葉に、セリスは黙ってうなずき、彼のそばに歩み寄る。


「待って! 危険よ! わざわざ行く必要なんてないわ!」

 アウリンが叫んだ。


「私も反対よ! ユーク君、どうして相手の言う通りにするの?」

 ヴィヴィアンも声を上げる。


「……なぜ、話そうと思ったのじゃ?」

 黙っていたテルルがユークを見上げた。


「アイツ……あまりにも落ち着きすぎてる。ラルヴァを全滅させたのに何とも思っていない。

 ――その理由を、直接確かめたいんだ」

 ユークの表情には、迷いのない決意が宿っていた


「……いいじゃろう。ワシも護衛としてついて行こう。

 お前はワシらが全力で守る。その代わり、少しでも危険と判断したら

 ――迷わず戻れ。よいな?」


「……分かった」

 テルルの厳しい眼差しに、ユークは重々しくうなずいた。


「師匠!?」

「おじいちゃん!?」

 アウリンとヴィヴィアンが抗議の声を上げる。


「行かせてやれ、二人とも!

 男にはやらねばならんこともあるんじゃ!」

 テルルが腕を組み、堂々と声を張った。


「……ごめん、行かせてくれ。二人とも」

 ユークが申し訳なさそうに視線を向ける。


「はぁ……仕方ないわね」

 アウリンが深く息を吐いた。


「え!? アウリンちゃん!?」

 ヴィヴィアンが驚く。


「いいわ、行ってきなさい!」

 アウリンは悪戯っぽくウインクすると、ユークに向かって軽く指をさした。


「ありがとう……! アン、俺たちを外に出してくれ!」

『分かりました、今開けますね!』


 アークガーディアンのハッチが開き、階段がせり出す。

 ユーク、セリス、テルルの三人は淡い光の中を降り、静かに男の前へと進んだ。


 背後では、巨体のガーディアンが無言のまま彼らを見守っている。


 互いの距離が十メートルほどになったとき、男が再び口を開いた。


「まさか本当に降りてくるとは……少し驚きましたよ」

 ローブの男が笑みを浮かべる。


「そっちこそ、顔を隠したまま話すのは失礼じゃないですか?」

 ユークが真剣な表情で言う。


「おっと、これは失礼」

 男はローブのフードを取った。


――露わになったその顔を見て、ユークたちは息を呑んだ。


「「魔族!?」」

 銀髪に炎のような赤い瞳――それはテルルと同じ特徴だった。


『違うわ! 聞いてユーク!

 その男、誘拐事件の時にヘリオ博士と一緒にいた!

 その時はそんな目じゃなかったし、髪も白かったわ!』


 アウリンの声がアークガーディアンの中から響く。


 男は笑い出した。


「ふふふ……いい記憶力ですね。

 そう、私は魔族ではありません。――いや、“魔族ではなかった”と言うべきですかね」


「どういうことだ!」

 ユークが睨みつける。


「私は、あなた方が“魔獣”と呼ぶ存在に力を与えられ、魔族となったのですよ」


「なっ……!?」

「魔族に……なった!?」

 ユークたちの表情が一斉に強張る。


「私は世界中の同胞を魔族に変える。

 そして――人間を支配する。それが私の目的です」


「同胞って……信奉者たちのことか!」

 ユークが叫ぶ。


「信奉者? ああ、彼らのことですか。

 彼らはただの駒ですよ」

 男の声が一段と冷たくなる。


「私の“真の同胞”とは、この世界で才能や血筋、そして“ジョブ”という鎖に縛られ、

 存在そのものを否定された者たちのことです!」

 男の声に怒りと悲哀が混じる。 その瞬間、セリスはユークの前に出て身構えた。


「じゃあ、“同胞”って……?」

 ユークが戸惑いながらつぶやく。


「……あなたは、“ジョブ無し”をどう思っていますか?」

 男が唐突に問いかけた。


「へ? ……いや、別に何とも。なあ?」

 ユークがセリスに視線を向ける。


「うん。昔住んでた街に、ジョブをもらえなかった友達もいたけど、普通に遊んでたよ」

 セリスが懐かしむように言った。


「……穢らわしいとか、不信心だとかは思わないのですか?」

 男は静かに顔を伏せた。その表情には、暗い感情が沈んでいるようだった。


「ううん。ジョブなんて、探索者か傭兵にでもならない限り必要ないし……」

 ユークが困惑しながら答える。


「私は傭兵を目指してたから槍術士のジョブがあって良かったけど、その子はお店の子だったし、ジョブがなくても困ってなかったよ」

 セリスが少し明るい口調で続けた。


「ジョブがないからって、仲間外れにする理由はないよ。

 母さんも言ってた。“ジョブは生き方の一つにすぎない”って」

 ユークは故郷の母を思い出しながらつぶやく。


「ユーク、セリス。その考えは立派じゃが、他の者の前では言うでないぞ」

 テルルが真剣な目で忠告した。


「え……なんで?」

「別におかしくないよね?」

 ユークとセリスが不思議そうに首を傾ける。


「ジョブは神から与えられるもの。

 そのジョブを持たぬ者は、神に見放された存在だと信じる者も多い。

 ……そうした者の前で今のような発言をすれば、“神の敵”と見なされ命を狙われることもある」


「――時と場所を選ぶことじゃ」

 テルルの言葉に、二人は小さくうなずいた。


「……もし、あの頃に、あなたのような言葉をかけてくれる友がいれば……何か違っていたのかもしれませんね」

 男の顔に、笑みとも涙ともつかぬ表情が浮かぶ。


「私の名は――セドニー。ただのジョブ無しです」

 その言葉は、悲しい過去と、決して戻れない現在を同時に語っているようだった。


 彼の瞳に浮かんでいた感情の残滓(ざんし)が、一瞬にして消え去る。


「ユーク、下がって!」

 セリスは叫ぶと同時に、行動していた。


 振り抜かれた槍の軌跡が、セドニーの体を上下に両断する。


「セリスっ!?」

 ユークが驚愕の声を上げる。


 しかし、セドニーは倒れながらも微笑(びしょう)を崩さなかった。


「……さすがですね。見事な反応です」


 両断された体が崩れ、床に赤い染みが広がる。

 だが、その手には透明な水晶のようなものが握られていた。


「ですが――もう遅い」


 セドニーは微笑を浮かべたまま、水晶を高く掲げる。


「この中には、かつてあなたたちが戦った――ヘリオ博士の魂が《《入っていました》》」


 テルルの顔が凍りつく。


「ヘリオ……博士、じゃと!?」


「私が魔族として生み出したモンスターは、他者の理想を現実に変える。

 さあ、見せてあげましょう――あの天才が思い描いた“最強の怪物”の姿を!」


 セドニーの身体は溶けるように崩れ、赤黒い霧が立ちのぼる。


 床が震え、空気が重く変わる。


 そして――巨大な影が、ゆっくりと形を取り始めた。


 ユークは思わず後ずさった。

 セリスが槍を構え、テルルが大鎌を出現させる。


「……来る」

 セリスの鋭い眼光は、巨大な影を確かに捉えていた



◆◆◆


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ユーク(LV.50)

性別:男

ジョブ:強化術士

スキル:リインフォース(パーティーメンバー全員の全能力を10%アップ)

EXスキル:≪リミット・ブレイカー≫

EXスキル2:≪思考分割≫

備考:そういえば昔、ジョブ無しの子に、他の子達にはジョブが無いことは秘密にしてねと言われ、黙っていたことを思い出した。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

セリス(LV.50)

性別:女

ジョブ:槍術士

スキル:槍の才(槍の基本技術を習得し、槍の才能をわずかに向上させる)

EXスキル:≪タクティカルサイト≫

EXスキル2:≪ブーステッドギア≫

EXスキル3:≪スキル・ラーニング≫

備考:久々にユークの幼馴染として話すことが出来て嬉しかった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

アウリン(LV.50)

性別:女

ジョブ:炎術士

スキル:炎威力上昇(炎熱系魔法の威力をわずかに向上させる)

EXスキル:≪イグニス・レギス・ソリス≫

EXスキル2:≪コンセントレイション≫

備考:自身の生まれ自体がアレなので、ジョブ無しに関しては特になにも思っていない。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ヴィヴィアン(LV.50)

性別:女

ジョブ:騎士

スキル:騎士の才(剣と盾の才能を向上させる)

EXスキル:≪ドミネイトアーマー≫

EXスキル2:≪インヴィンシブルシールド≫

備考:ジョブ無しについてあまり良く思っていないが、そこまで嫌っているわけでも無い。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

テルル(LV.44)

性別:男(女)

ジョブ:氷術士

スキル:≪アイスアロー≫(使用不能)

EXスキル:大鎌の才(大鎌の基本技術を習得する)

EXスキル2:≪ソウルイーター≫

備考:ジョブ無しどころでは無い、そもそも魔族は人類の敵だ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

アン(LV.2)

性別:女(精霊)

ジョブ:霊樹の管理精霊(若芽の腕輪に宿る)

スキル:霊樹の加護(ユークの全能力をわずかに向上させる)

備考:ユークの為に、常にセドニーを狙撃できるように狙っていた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

セドニー(LV.??)

性別:男

ジョブ:無し

スキル:無し

備考:教主として活動している時は、封印されていた魔獣から与えられた強力な魔道具で武装していた。

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