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「お前は用済み」と追放されたけど、俺のことが大好きな幼馴染も一緒に抜けたせいで元パーティの戦力が崩壊した件  作者: 荒火鬼 勝利


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第228話 燃える街、灯る希望


 アークガーディアンとディアンとの激戦を終えたユークたちは、四十階層のボス部屋で小休憩を取っていた。


 セリスは鎧を外し、アウリンに霊薬を塗ってもらいながら体を横たえている。

 ヴィヴィアンは静かに盾を再構成し、再展開までの時間を待っていた。


 その穏やかな一時の中で、ユークはふと問いかけた。


「なあ、アン。今って外の様子を見たりはできないのか?」


『……ごめんなさい、マスター。影の塔からでは、外の様子を見ることが出来ないんです』


「そうか……」

 ユークは小さくつぶやく。


「……無事だといいけどな」

 誰に聞かせるでもないその言葉は、塔の冷たい空気に溶けて消えた。


 だがユークは知らない。

 その頃、外の街が――まさに滅びの淵にあったことを。


 ◆◆◆


 ――灼けるような熱気が空を焦がしていた。


 アズリアは剣を振るいながら、前線で叫ぶ。


「押し返せ! 魔法使いは詠唱を急げ!」


 東門の防衛線は崩壊寸前だった。


――数時間前。


地鳴りと共に、《賢者の塔》から無数のモンスターの群れが押し寄せる。それは、一階から三十階までのあらゆる階層のモンスターが一堂に現れる、異常事態だった。


 防衛陣は奮戦し、一時は押し返したものの、圧倒的な物量に押されていく。


 アズリアは指揮を執りつつ、前線で奮闘していた。爆炎が上がり、雷光が走り、叫び声と崩れる街角の音が響く。それは、絶望的な消耗戦だった。


 東門が突破されそうになる。ここを守っていたのは低レベルの探索者が多かったためだ。


 探索者たちが無理だと判断し、次々と戦場から逃げ出していく。


「逃げるな! 戦えー!」


 アズリアが部下たちを鼓舞して必死に防衛線を維持しようとするが、とても間に合わない。


 木と鉄で組まれたバリケードは砕け、そこから無数のモンスターが雪崩れ込んでくる。


 空気は血と焦げた臭いで満ち、逃げ惑う者の悲鳴が重なった。


 目の前に立ちはだかるのは、琥珀色の巨体――三メートルを超えるゴーレム。


 その背後では、小型の魔物たちが肉の波のように押し寄せていた。


 ギルドガードの隊長が剣を構え、渾身の一撃を放つ。

 だが刃は表面を弾かれ、逆に弾き飛ばされて壁に叩きつけられた。


「もう……だめだ……」


 誰かの絶望が、前線全体に広がる。


 アズリアは歯を食いしばった。

 足は震え、視界がかすむ。それでも立ち上がる。


 ――ここで退けば、街が終わる。


 そのときだった。


 轟音とともに、前線を駆け抜ける風が起こった。

 魔物の群れの中に、赤い閃光が走る。


「な……んだ、あれ……?」


 次の瞬間、モンスターたちの列が静かに二つに裂かれた。


 風のように現れたのは、赤髪の剣士と老練な剣士、そしておどおどしたメイド姿の女性。


「ジオード殿下!?」

 アズリアの目が見開かれる。


 メイドの女性――シリカが軽くウインクを返し、ジオードは冷静に剣を構えた。


「まさかユークたちが塔に突入していたとはな……」


「坊っちゃん、今から追いつくのは骨ですな」

 柔和な笑みを浮かべる老剣士――ジルバが言う。


「だが急がねば。妹を――アウリンを、見捨てるわけにはいかない!」


 ジオードの声は静かで、決して揺るぐことはない。


「――(じい)。やれ」


「やれやれ……老骨にはこたえますな」

 ジルバは苦笑しながら一歩前へ出る。


 剣を抜いた瞬間、空気が凍りつく。


「EXスキル――《|ディメンション・スラッシュ《次元斬》》」


 音が消えた。


 東門から出現していた数百の魔物が、次の瞬間、何の前触れもなく上下に分かれる。


 悲鳴を上げる間もなく、全てが崩れ落ちた。


 風が吹き抜けた後、残ったのは沈黙と、積み重なる魔物の残骸だけ。


「行くぞ、(じい)。シリカ」

 ジオードは静かに告げ、剣を鞘に収める。


「了解です、坊っちゃん」

「ま、待ってください〜!」


 三人は振り返ることなく、《賢者の塔》の闇へと走り去っていった。


 アズリアはその背中を呆然と見送り、次の瞬間、息を吸い込んで叫んだ。


「――今がチャンスだ! 防衛陣を立て直せ!」


 瓦礫の上で剣を掲げる彼女の声が、戦場に再び力を与える。


 崩れかけた防衛線が、もう一度立ち上がった。


 やがて、静まり返った東門の空を見上げながら、アズリアは小さくつぶやく。


「あれが剣聖か……」


 後に語られることになる――。

 ジルバの放った『ディメンション・スラッシュ』は、東門だけでなく、《賢者の塔》の他の三つの門までも貫き、四方の脅威を同時に断ち切っていたと。


 その一閃は、まさに“奇跡”と呼ぶにふさわしいものだった。


 ◆◆◆


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

アズリア(LV.30)

性別:女

ジョブ:剣士

スキル:剣の才(剣の才能をわずかに向上させる)

EXスキル:≪ストライクエッジ≫

備考:助かったのは確かだが、ジルバの『ディメンション・スラッシュ』の威力に思わず恐怖を感じてしまった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ジオード(LV.??)

性別:男

ジョブ:剣聖

スキル:??

備考:避難民の護衛をしていたルチルに話を聞きに行き、ユークたちの事を知った。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ジルバ(LV.??)

性別:男

ジョブ:剣士

スキル:剣の才(剣の基本技術を習得し、剣の才能をわずかに向上させる)

EXスキル:|ディメンション・スラッシュ《次元斬》

備考:ディメンション・スラッシュは自由に斬りたい物を切ることが出来る強力なEXスキルだ、反面一度使用したらしばらく使用できなくなる。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

シリカ(LV.??)

性別:女

ジョブ:??

スキル:??

備考:ユークたちの家に朝行った時にあった張り紙が無くなっており、代わりに馬車が置かれていた。ジオードからとても怒られた。

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