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「お前は用済み」と追放されたけど、俺のことが大好きな幼馴染も一緒に抜けたせいで元パーティの戦力が崩壊した件  作者: 荒火鬼 勝利


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第227話 再会の抱擁と甘い香り


「セリス!」

「ユークっ……!」


 アークガーディアンから外へ出たユークは、走り寄ってきたセリスと抱き合い、再会を喜び合っていた。


 セリスの体から、ほんのりと甘い香りが漂う。


 しかし、ユークの意識は別のところに向かっていた。


(せ、セリスの胸が……すごい当たってる……!)

 顔を真っ赤にして固まるユーク。


 セリスが全力で抱きしめてくるせいで、柔らかな感触が思いきり押しつけられていたのだ。


(な、なんで防具を着けてないんだ? 戦いが終わったとはいえ、油断しすぎじゃ……)

 そう考えたとき、ふと別の可能性が浮かぶ。


(いや……この香り、アウリンの霊薬か? あれには霊樹の樹液が使われてたはず。……なら鎧を脱いでいるのは、霊薬を体に塗るため……? もしかして、セリスは戦いで傷おったんじゃ……!)

 そう思った瞬間、ユークの胸に不安が広がった。


「ねえ、セリス。もしかして――」

 ユークが声をかけようとした瞬間――


「もう、早いのよ! セリスったら!」

「ま、待って〜、セリスちゃん〜!」

 後ろからアウリンとヴィヴィアンが駆け寄ってきた。


 アウリンは腰に手を当てて文句を言い、ヴィヴィアンは苦笑を浮かべている。


「よかった……二人とも怪我はないんだね」

 ユークは少し安堵したように笑う。


「あー……うん、私たちはね」

「でも、セリスちゃんはちょっと……」


 二人は気まずそうに目をそらした。


(やっぱり……!)

 ユークが息をのんだその瞬間――


「……いたっ」

 セリスが小さく声を漏らした。


「やっぱり怪我してるんじゃないか!」

 ユークは慌てて腕を離し、セリスの様子をのぞき込む。


「だ、大丈夫。ちょっと動かしただけだから……」

 セリスは笑顔を作ってごまかした。


「……アウリン?」

 ユークが仕方なくアウリンに視線を向けると、彼女はため息をつきながら答えた。


「ほらね、言ったでしょ……」

 あきれ顔のアウリンが説明を始める。


「……つまり、セリスはあの火傷の男を倒すために無理をして、そのダメージがまだ残ってるってことか」

 ユークが納得したようにうなずく。


「……もしかして、俺があの時、セリスをたきつけたせいで……」

 アークガーディアン内部での通信を思い出し、ユークは苦しげに呟いた。


「ち、ちがうの! 私が勝手に調子に乗って無茶しちゃっただけだから!」

 セリスが慌てて否定する。


「ユークくん。あの男は本当に強敵だったの。短期決戦を選んだのは、決して間違いじゃないと思うわ」

 ヴィヴィアンがセリスをかばうように言葉を添えた。


「そうそう。それに霊薬をたっぷり塗ったし、レベルアップの回復効果もあるから、すぐに良くなるはずよ」

 アウリンも同調する。


「……そっか。ごめん、俺がいればセリスに無理はさせなかったのに」

 ユークは申し訳なさそうにうつむいた。


「ううん、気にしないで。それよりね、聞いてユーク!」

 セリスはぱっと表情を明るくし、話題を切り替えた。


「私ね、レベルアップして新しいスキルを覚えたの!」


「ほんとに? すごいじゃないか、セリス! どんなスキルなんだ?」

 ユークが興味を示すと、セリスは嬉しそうに胸を張る。


「見たスキルをそのまま真似して、自分のものにできるみたい!」


「それってまえからセリスがやってたことじゃ……」


「ううん。前は真似しても元のスキルより威力が落ちたり、複雑なものは再現しきれなかったの。でも――新しいスキルを使えば精度がぐっと上がって、ほとんど完全に真似できるみたいなの」


「なるほど……それは本当にすごいな!」

 ユークが素直に感心する。


「アウリンたちは? 何か変化あった?」


「私は既存スキルの強化だけね」

 アウリンが肩をすくめる。


「私はインヴィンシブルシールドの枚数と強度が上がったけど……そのぶん、全損した盾の回復に時間がかかるようになっちゃって」

 ヴィヴィアンが苦笑いを浮かべた。


「全損!? そんなに激戦だったのか……」


「いいえ、エンシェントゴーレムたちが暴走したのよ」

 アウリンが淡々と答える。


「なっ……!?」

 ユークの顔が固まった。


 すると、沈黙していたアンが、おずおずと声を上げる。


『ごめんなさい、マスター。アークガーディアンの中にいた時から分かっていたのに……黙っていました』

 申し訳なさそうにうつむくアン。


「なんでそんな大事なことを黙ってたんだ!」

 ユークが珍しく声を荒らげた。


『ごめんなさい……でも、あの精霊を倒さないと止められなかったから。マスターを焦らせちゃいけないと思って……』

 涙をこらえるように言うアン。


「そんな……」


「待って、ユーク」

 アウリンが静かに制止した。


「もう終わったことよ。それに――アンもユークを思ってのことだったんでしょ?」


 その言葉に、アンは何度も小さくうなずいた。


「……分かった。黙っていたことは許す。でも、もう二度と同じことはしないでくれ」

 ユークの真剣な声に、アンは今にも泣きそうな顔で頷いた。


「さて……これからどうする? 戦いが終わった今、こいつをここに放置するわけにもいかないしな」

 ユークがアークガーディアンを見上げる。


『いえ、マスター! アークガーディアンは四十一階に持っていきましょう!』

 アンが勢いよく言った。


「できるのか、そんなこと?」


『はい! あの精霊から能力の一部を奪いました。この子だけなら一緒に運べます!』

 胸を張るアンに、ユークは少し笑みを返した。


「そうか……それなら助かる。セリスの体調が整ったら、アークガーディアンと一緒に次の階へ行こう」


 ユークの提案に、仲間たちは力強くうなずいた。


◆◆◆


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ユーク(LV.50)

性別:男

ジョブ:強化術士

スキル:リインフォース(パーティーメンバー全員の全能力を10%アップ)

EXスキル:≪リミット・ブレイカー≫

EXスキル2:≪思考分割≫

備考:この後、ちゃんと『思考分割』についても仲間たちに説明した。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

セリス(LV.50)

性別:女

ジョブ:槍術士

スキル:槍の才(槍の基本技術を習得し、槍の才能をわずかに向上させる)

EXスキル:≪タクティカルサイト≫

EXスキル2:≪ブーステッドギア≫

EXスキル3:≪スキル・ラーニング≫

備考:セリスの自力での模倣には限界があったが、新たに覚えたEXスキルによって模倣の精度が大きく向上した。

 実際、疑似『ビーストソウル』などは本来のものより負担が大きく、完全な再現には至っていない。スキルを使用してから再度観察する必要があるため、疑似『ビーストソウル』の負担は依然として重いままである。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

アウリン(LV.50)

性別:女

ジョブ:炎術士

スキル:炎威力上昇(炎熱系魔法の威力をわずかに向上させる)

EXスキル:≪イグニス・レギス・ソリス≫

EXスキル2:≪コンセントレイション≫

備考:レベルアップにより、『イグニス・レギス・ソリス』に新たな特殊効果が付与された。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ヴィヴィアン(LV.50)

性別:女

ジョブ:騎士

スキル:騎士の才(剣と盾の才能を向上させる)

EXスキル:≪ドミネイトアーマー≫

EXスキル2:≪インヴィンシブルシールド≫

備考:レベルアップにより、生成可能な盾の数が30枚から50枚に増加し、耐久力や防御性能も大幅に向上した。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

テルル(LV.44)

性別:男(女)

ジョブ:氷術士

スキル:≪アイスアロー≫(使用不能)

EXスキル:大鎌の才(大鎌の基本技術を習得する)

EXスキル2:≪ソウルイーター≫

備考:話すタイミングを逃してしまった為、ずっと黙っていた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

アン(LV.2)

性別:女(精霊)

ジョブ:霊樹の管理精霊(若芽の腕輪に宿る)

スキル:霊樹の加護(ユークの全能力をわずかに向上させる)

備考:良かれと思ってやった。怒られることは覚悟していたが、それでも叱られた瞬間、思わず泣きそうになってしまった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


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