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「お前は用済み」と追放されたけど、俺のことが大好きな幼馴染も一緒に抜けたせいで元パーティの戦力が崩壊した件  作者: 荒火鬼 勝利


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第225話 限界を超える力


【アークガーディアン外部】


「お前ぇぇぇぇええええええええっ!」

 ディアンが怒号を上げ、爆ぜるように地を蹴る。


 脈動する筋繊維が皮膚を突き破り、手に握られた剣は筋肉の奥に埋もれてしまっていた。


「俺を……無視するんじゃねぇぇえええ!!!」

 目にも止まらぬ速さでセリスを捕え、全力で斬りつけるディアン。


 だが、セリスはそんなディアンの攻撃を軽やかに避ける。


「避けた!?」

 驚き、上を見るディアン。


 セリスは跳躍すると同時に、魔槍を繰り出していた。


 無数の突きが嵐のように放たれ、ディアンの急所を的確に捉える。


「がああああああああっ……!!!」

 ディアンの動きが一瞬止まる。だが、脈打つ筋繊維がすぐに傷を再生させた。


「……これでもダメ。ならっ!」

 セリスが空中で大きく槍を構えた。


「『スラストランス』!!」

 その構えから放たれるのは神速の突き。


 その一撃は、再生力をも凌駕する速度でディアンの胸に突き刺さった。


「ぐ、ぐぅあぁあああああああああああああああああ!!!」

 絶叫が広間を震わせる。


 魔槍は、胸の奥に埋め込まれた「魔の宝玉」をも貫き、砕く。


「よしっ!」

 セリスは笑顔で着地する。


 砕け散った魔石から黒い霧が噴き出し、ディアンの全身が激しく痙攣した。


「お、俺の力が……!?」

 肥大化していた腕は急速に萎み、顔に苦痛と恐怖が浮かぶ。


 再生は止まり、ディアンは崩れ落ちるように石畳へと沈んだ。


「……終わったわね」

 アウリンが小さく息を吐く。


 だが――。


 まだ、ディアンの目は死んではいなかった。


「もう人間に戻れなくなっても構わねぇ! てめぇを倒せさえすればなあああああっ!!!」

 ディアンの絶叫が響く。


 偶然近くにあった信奉者の死体から、触手がはい出てディアンに巻き付き、まるで筋肉の束が重なり合うように盛り上がっていく。


「ははははははは!!!」

 触手は、部屋中に転がる信奉者たちの死体からも飛び出していき、次々と彼の身体へと吸い込まれていく。


 それは――肉体を魔獣の眷属へと変える禁忌の力。


 ディアンの体格はさらに膨張し、額からは牙のような角が生える。


 全身は黒い筋肉に覆われ、彼はもう、人の姿をしていなかった。


「セリス、避けてっ!」

 ヴィヴィアンが叫ぶ。だが、セリスは一歩も引くことは無い。


「逃げない……私は、ユークの居場所を守るって決めたから! 《ビーストソウル》!!」


 魔力の光がセリスの身体を包み、彼女の肉体が悲鳴を上げる。


「セリス! そんな使い方したら、体がもたないわ!」

 アウリンの声が震える。


「知ってる! でも今は、それでもいい!」

 歯を食いしばって痛みを耐え、筋肉の怪物となったディアンを睨む。


「はああああああああ!!!」

 セリスの姿が残像となり、次々とディアンの腕、脚、胴を切り裂いていく。


「……すごい……」

 ヴィヴィアンが息を呑んだ。


「あの巨体を、圧倒してる……!」

 アウリンが呆然と二人の戦いを見つめている。

 

 だが、ディアンも吠える。


「ウオオオオオオオッ!!!」

 全身の触手が暴走し、嵐のようにセリスへと襲いかかった。


「うあっ……!」

 斬撃がセリスの身体を裂き、鮮血が散る。


 それでも、彼女は止まらない。


「ユーク……あなたが信じてくれたから……私は、負けない!」


 槍が閃く。

 その光が、すべてを貫いた。


 ディアンの動きが止まり、黒い肉体が音もなく崩れ落ちていく。


 セリスは膝をつき、息を吐き出した。

 そして、静かに倒れ込む。


「セリスっ!」

 アウリンが駆け寄り、抱き上げる。


「しっかりして!」

 ヴィヴィアンも隣に膝をつく。


 セリスの身体は熱を帯びていたが、呼吸はあった。

 アウリンは安堵の息をつく。


「大丈夫……少し無理をしただけ。体の反動ね。しばらく休めば戻るわ」


「よかった……」

 ヴィヴィアンの目に涙が浮かぶ。


 アウリンはセリスの頬にそっと手を当て、微笑んだ。


「ユーク……あとは、あなたの番よ」


 そう呟き、彼女は視線をアークガーディアンの巨大な内部へと向けた。

 その奥では、まだユークたちの戦いが続いているのだ。



【アークガーディアン内部】


「あれが……こいつのコアか」

 ユークたちは物陰に身を潜め、通路の奥を見つめていた。


 そこには広々とした空間が広がり、中央には巨大な球体が安置されている。

 その周囲を、複数の警備ゴーレムが守るように配置されていた。


「ものものしい警備じゃな……」

 テルルが小声で感想を漏らす。


「だけど、あのコアを破壊するだけなら、そこまで難しくはないさ」

 ユークが魔法陣を描こうと、集中し始めたその時――


「ま、待ってください、マスター!」

 アンが慌ててユークの動きを制した。


「アン?」

 ユークが不思議そうに振り返る。


「私に……考えがあります」

 アンは少し悩むように言葉を選びながら続けた。


「考え?」


「はい。今回、このアークガーディアンを敵に使われてしまったように、あの精霊を自由にしておくと、マスターたちの不利になってしまいます」

 アンの声には、いつになく真剣な響きがあった。


「だから――今ここで、あの精霊を倒してしまいませんか?」


 その提案に、ユークは息をのむ。


「……できるの?」

 ユークが静かに問いかける。


「はい。うまくやれば、ですけど」

 アンはまっすぐにユークを見つめ、力強く答えた。


「ついでに、このアークガーディアンも……私たちのものにしちゃいましょう!」

ふっと笑みを浮かべるアン。


「……いいだろう。やってみようか!」


 ユークは短く息を吐き、静かに頷くのだった。


◆◆◆


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ユーク(LV.50)

性別:男

ジョブ:強化術士

スキル:リインフォース(パーティーメンバー全員の全能力を10%アップ)

EXスキル:≪リミット・ブレイカー≫

EXスキル2:≪思考分割≫

備考:アンの提案を受け、アークガーディアンのコア破壊から「精霊コハクの撃破とアークガーディアンの奪取」へと目的を変更。未来の脅威を取り除くための、合理的な判断だと考えている。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

セリス(LV.47)→(LV.50)

性別:女

ジョブ:槍術士

スキル:槍の才(槍の基本技術を習得し、槍の才能をわずかに向上させる)

EXスキル:≪タクティカルサイト≫

EXスキル2:≪ブーステッドギア≫

EXスキル3:≪スキル・ラーニング≫

備考:全員でユークを迎えるために多少の無理をしたが、決して後悔はしていない。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

アウリン(LV.48)→(LV.50)

性別:女

ジョブ:炎術士

スキル:炎威力上昇(炎熱系魔法の威力をわずかに向上させる)

EXスキル:≪イグニス・レギス・ソリス≫

EXスキル2:≪コンセントレイション≫

備考:倒れたセリスの服を脱がせ、全身に霊薬を塗り込んだ。時間が経てば、後遺症もなく回復できるだろう。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ヴィヴィアン(LV.47)→(LV.50)

性別:女

ジョブ:騎士

スキル:騎士の才(剣と盾の才能を向上させる)

EXスキル:≪ドミネイトアーマー≫

EXスキル2:≪インヴィンシブルシールド≫

備考:全て破壊されてしまった『インヴィンシブルシールド』の回復中。自分で消せば短いクールタイムで済むが、破壊されてしまうと一枚回復するのにも結構な時間がかかる。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

テルル(LV.44)

性別:男(女)

ジョブ:氷術士

スキル:≪アイスアロー≫(使用不能)

EXスキル:大鎌の才(大鎌の基本技術を習得する)

EXスキル2:≪ソウルイーター≫

備考:ザコ相手に『ソウルイーター』を使用してしまい、現在はクールタイム中。アンにそのことを告げたところ、ひどくガッカリされてしまった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

アン(LV.1)

性別:女(精霊)

ジョブ:霊樹の管理精霊(若芽の腕輪に宿る)

スキル:霊樹の加護(ユークの全能力をわずかに向上させる)

備考:敵の精霊であるコハクの存在を脅威だと感じ、ここで倒すための作戦をずっと考えていた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ディアン(LV.??)

性別:男

ジョブ:剣士

スキル:剣の才(剣の基本??術を習得し、剣の才??をわずかに向上させる?

EXスキル:≪エアスラッシュ≫

EXスキル:≪ビーストソウル≫

備考:砕けてもなお効果を発揮する特別な魔の宝玉の力により、周囲の魔の宝玉を取り込み強大な力を得た。しかし、その代償として人としての意識を失い、他の信奉者と同じ存在となってしまった。それでも、自己強化スキルを二重に重ねたセリスには及ばなかった。

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