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「お前は用済み」と追放されたけど、俺のことが大好きな幼馴染も一緒に抜けたせいで元パーティの戦力が崩壊した件  作者: 荒火鬼 勝利


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第224話 セリスの本気


【アークガーディアン内部】


「みんなは……無事なのかな……」

 ユークは焦燥を胸に、暗い通路を駆け抜けていった。


「あの三人は強い、並大抵の相手には負けん。きっと大丈夫なはずじゃ!」

 テルルが励ますように声をかける。


「うん……そうだよね……」

 ユークが頷いた瞬間、前方の通路の壁面が不自然に光った。


 黒い鋼鉄の壁に埋め込まれた古代の魔法紋様——アークガーディアンの制御盤だった。


「あれは……! アン、あれを調べられるか?」

 ユークが指差す。


『はい! あれはアークガーディアンの制御システムの一部です!』

 アンは光の粒子となって飛び出し、制御盤に触れる。


 次の瞬間、壁面に淡い映像が浮かび上がった。


 そこに映っていたのは——ディアンと戦うセリスの姿だった。


「セリスっ!?」

 ユークの目が見開かれる。セリスは防御に徹し、ほとんど反撃しようとしていない。


「どうやら相当な強敵のようじゃな……」

 テルルが真剣な顔で呟く。


「……いや、違う。あの動き……戦い方に違和感がある」

 息を呑み、拳を強く握りしめる。


「なぬ!? どういう事じゃ!」

 テルルが目を丸くする。


「セリスは攻撃のチャンスを何度も捨ててる、そう感じるんだ」

 ユークの声が震える。


「俺たちの命が惜しければ反撃するな、とかいわれてるのかもしれない……」


「むう……じゃが、ここにおるワシらではどうすることも……」

 テルルが唸る。


『外にマスターの言葉を伝えればいいんですね?』

 アンが言った。


「出来るのか!?」

 ユークが驚いて彼女を見る。


『はい! そんな長い時間じゃ無ければ大丈夫だと思います!』

 アンが笑みを浮かべる。


「わかった、早くやってくれ!」


『分かりました!』

 アンは制御盤に両手を添え、目を閉じる。


 そのあいだにも外の状況は変化していた。


 ディアンの腕が異形化し、強烈な一撃を受けたセリスが吹き飛ばされる。


「セリスっ!?」

 彼女は地面に着地したものの、すぐに立ち上がれず、鎧の一部が僅かに歪んでいる。


「アン! まだなのか!?」


『もう少し……もう少しです……』

 アンが焦った声を漏らす。


『——できました! マスター、今です!』


「よしっ! セリス! 俺は無事だ! 好きにやれっ!」

 ユークの叫びが制御盤を通じて外へと響いた。


 映像の中で、セリスが一瞬こちらを向く。


 その瞬間、映像が途切れた。


「っ!? セリスが! どうなったんだ!?」

 ユークが焦る。


『落ち着いてくださいマスター! あのコハクって精霊に通信を遮断されました。でも、声は確実に届いたはずです!』

 アンの声が響く。


「そっか……よかった……」

 ユークは胸をなで下ろした。セリスなら、必ず気づいてくれたはずだ。


「とにかく、先を急ごう。テルル」


「うむ!」


 ユークたちはさらに奥、アークガーディアンのコアを目指して走り出した。



【アークガーディアン外部】


「おいおい、てめぇの相手は俺だろうが!」

 異形の腕を振りかざし、ディアンがセリスへと迫る。


 そのとき——


『セリス! 俺は無事だ! 好きにやれっ!』

 ユークの声が聞こえた瞬間、彼女の動きが変わった。


「はああっ!」

 魔槍が閃き、ディアンの攻撃を紙一重でかわす。


 すれ違いざま、彼の腕を鋭く斬り裂いた。


「がああああああああっ!!!」

 ディアンが悲鳴を上げる。


「て、めぇ……!」

 裂かれた肉が一瞬で再生し、ディアンは苦悶の声を上げながらも再び剣を構えた。


「ユークが無事なら、もう我慢する必要なんてない!」

 振り返り、ディアン越しにアウリンとヴィヴィアンの窮地を見たセリスは、ある決意をきめる。


「ユークが戻ってきた時に、誰一人だって欠けさせない。だからっ! EXスキル——《ブーステッドギア》!」

 彼女の身体が青い光を放つ鎧に包まれ、 セリスの身体能力が一気に跳ね上がった。


「ふんっ、そんなスキル程度で! さあ、来いよ! 今度こそ——」

 だが、セリスはそのまま彼の横をすり抜けていった。


「なにっ!?」

 ディアンの瞳が驚愕に染まる。


 セリスが向かった先には、今にも最後の盾の壁を破壊されそうになっているアウリンの姿があった。


「ヴィヴィアン! もう持たないわ!」

 アウリンを守る複数の盾が、完全に消えかけていた。


「ごめんなさい、アウリンちゃん! もう《インヴィンシブルシールド》は打ち止めなの……!」

 正面の攻撃を必死に受け止めながら、ヴィヴィアンが悲痛な声を上げる。


「そんなっ!」

 最後の盾が破壊され、アウリンが絶望に目をつぶる。


 だが次の瞬間、青い閃光が風のように駆け抜けた。


「……え?」

 アウリンが恐る恐る目を開ける。


「大丈夫? アウリン、ヴィヴィアン」


「セリス!?」

 そこには、関節を正確に破壊されて膝をつく複数のエンシェントゴーレムと、笑顔を浮かべるセリスの姿があった。


「安心して。あとは任せて。——他の奴らも今、動けなくするから!」

 そう言い放つと、セリスは再び駆け出した。


「てめぇ……ガキ! 俺を無視すんじゃねえっ!」

 怒号を上げたディアンが憎悪の表情で斬りつけるが、セリスは軽やかにいなして距離を取る。


 そして弧を描くように飛びまわり、周囲のゴーレムたちの関節部を次々と粉砕していく。


「……なるほど。倒しても次が作られるなら、最初から“動けなくする”方が早いって考えたのね……」

 アウリンが感心したようにセリスを見つめる。


「そんなこと……やれるものなの……?」

 ヴィヴィアンが驚きの声を漏らす。


「やれるのよ。——あれが、セリスの本気なんだわ……!」

 アウリンが息をのむ。その視線の先で、セリスはひとり、戦場を駆け抜けていた。


◆◆◆


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ユーク(LV.50)

性別:男

ジョブ:強化術士

スキル:リインフォース(パーティーメンバー全員の全能力を10%アップ)

EXスキル:≪リミット・ブレイカー≫

EXスキル2:≪思考分割≫

備考:セリスの危機に焦りを感じながらも、通信がつながったことで冷静さを取り戻す。「好きにやれ」と信頼の言葉を送り、彼女を託した今は、アークガーディアンのコアを突破する決意を新たにした。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

セリス(LV.47)

性別:女

ジョブ:槍術士

スキル:槍の才(槍の基本技術を習得し、槍の才能をわずかに向上させる)

EXスキル:≪タクティカルサイト≫

EXスキル2:≪ブーステッドギア≫

備考:ユークの安否を気にして本来の力を出せずにいたが、「好きにやれ」という一言で迷いが消える。仲間を守るため、全力で戦い抜く覚悟を決めた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

アウリン(LV.48)

性別:女

ジョブ:炎術士

スキル:炎威力上昇(炎熱系魔法の威力をわずかに向上させる)

EXスキル:≪イグニス・レギス・ソリス≫

EXスキル2:≪コンセントレイション≫

備考:防御を破られた瞬間、死を覚悟するが、セリスの圧倒的な力で救われる。その姿に驚きと感謝を覚え、再び戦う決意を強くした。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ヴィヴィアン(LV.47)

性別:女

ジョブ:騎士

スキル:騎士の才(剣と盾の才能を向上させる)

EXスキル:≪ドミネイトアーマー≫

EXスキル2:≪インヴィンシブルシールド≫

備考:EXスキルインヴィンシブルシールドが限界を迎え、アウリンを守れないと思った瞬間、セリスに救われて安堵する。しかし、自分の未熟さを痛感して落ち込んでいる。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

テルル(LV.44)

性別:男(女)

ジョブ:氷術士

スキル:≪アイスアロー≫(使用不能)

EXスキル:大鎌の才(大鎌の基本技術を習得する)

EXスキル2:≪ソウルイーター≫

備考:仲間の戦いを気にかけつつも、三人の実力を信じている。その信頼をユークに伝え、彼の不安を支えようとしている。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

アン(LV.1)

性別:女(精霊)

ジョブ:霊樹の管理精霊(若芽の腕輪に宿る)

スキル:霊樹の加護(ユークの全能力をわずかに向上させる)

備考:仲間たちの危機を救うという使命を果たし、役に立てたことを素直に喜んでいる。小さな存在ながら、自分の力を誇りに感じている。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ディアン(LV.??)

性別:男

ジョブ:剣士

スキル:剣の才(剣の基本??術を習得し、剣の才??をわずかに向上させる?

EXスキル:≪エアスラッシュ≫

EXスキル:≪ビーストソウル≫

備考:攻撃をいなされ、自分を無視する形で仲間を救うセリスの姿に、プライドを打ち砕かれ、怒りは次第に狂気へと変わりつつある。

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