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「お前は用済み」と追放されたけど、俺のことが大好きな幼馴染も一緒に抜けたせいで元パーティの戦力が崩壊した件  作者: 荒火鬼 勝利


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第211話 休息の時間とテルルの成長


 ストームバードとの激闘が終わり、辺りには再び静寂が戻っていた。折れた枝や、巨体が叩きつけられた痕跡が生々しく残っている。


 ユークは深く息を吐き、勝利の余韻よいんひたる間もなく周囲へ視線を巡らせた。


「みんな、大丈夫?」


 ユークが声をかけると、仲間たちは疲れ切った表情を浮かべながらも頷いた。


「どうにかね。でも、しばらくは動きたくないわ」

 アウリンが大きくため息をつき、その場に座り込む。


「ごめんねユーク……私、あまり役に立てなくて」

 セリスが落ち込んだ様子で謝った。


「そんなことないよ。セリスはよくやってくれた。本当にありがとう」


「……うん」

 ユークが優しく頭を撫でると、セリスは小さく頷いた。


 やがて倒した二体のストームバードが光の粒子となり、空気に溶けるように消えていく。


「……あれ? なんだか体が軽い……」

 セリスが不思議そうに手を見つめ、首を傾げた。


「レベルアップよ! よかった、これで傷の治りも早まるわ。ボスに挑むときも万全の状態で戦えそうね!」

 アウリンが嬉しそうに声を上げる。


「っ……! ボスって……」

 ユークが思わず息をのむ。


「ユーク。もう分かってるでしょ? あの精霊が無事なはず、ないってことくらい」

 アウリンが静かに諭すように言った。


「それは……」

 言葉に詰まるユーク。心のどこかで覚悟していた事実が突きつけられる。


「まあまあ、少し休憩にしましょう? もうお昼の時間だし」

 ヴィヴィアンが柔らかく場を収める。


「そうね」

「……うん」


 二人もそれ以上は言い争わず、枝の上で簡単な食事を取ることにした。


「はい、どうぞ召し上がれ」

 ヴィヴィアンが用意してきた食事を一人ひとりに手渡す。


 甘辛く味付けされた肉と野菜をはさんだボリューム満点のサンドイッチ。アウリンの魔法で温め直したスープ。そして色とりどりのジャムにクラッカー。


「済まないな、私までご馳走になって」

 アズリアが大きなサンドイッチを受け取り、少し気後れしながら礼を言う。


「いいのよ。最初から多めに用意してたし、一人だけ質素な保存食を食べられても気持ちよく食べられないもの」

 アウリンが笑顔で返す。


「しかし豪華だな……いつもこんな食事を?」

 サンドイッチにかぶりつきながらアズリアが尋ねた。


「普段はもう少し控えてますよ」

 ユークが美味しそうにほおばりながら答える。


「でも、こんな大変な時くらい美味しいものを食べたいじゃない!」

 アウリンが頬をふくらませて言った。


「おかわりはないのーっ?」

 すでに食べ終えたセリスが指についたタレを舐めながら元気よく尋ねる。


「まだあるわよ。だからガッツかないの、はしたないわよ」

 アウリンが新しいサンドイッチを渡し、セリスが嬉しそうに受け取る。


 その光景を見て微笑んでいたユークの表情が、やがて真剣なものに変わった。


「……もし精霊がおかしくなってたら、少しだけでいい。俺に説得する時間をくれないかな」


 仲間の答えを待つユーク。


「……はぁ。いいわよ。ただし、切り上げるタイミングは私たちが決めるわ」

 アウリンは腰に手を当てて大きく息を吐き、そして小さく笑った。


「それと、説得が無理だったらきちんと倒すこと。約束して」

 指を突きつけて言うアウリン。


「分かった。約束する」

 ユークが頷いた。


 食事が終わる頃、テルルが突然立ち上がる。


「どうしたの? おじ……テルルちゃん。おかわり?」

 ヴィヴィアンが首を傾げて問いかけた。


「実はの、皆に見てもらいたいものがあるんじゃ!」

 そう言って距離を取り、大鎌を出現させたテルルは構えを取る。


 仲間たちは首を傾げながら様子を見守る。


「ゆくぞ! せいっ、やっ、はぁああっ!」

 掛け声とともに大鎌を振るう。


 それは以前の力任せな振りではなかった。重いはずの大鎌が滑らかで洗練された軌道を描き、鋭く風を裂く。


「テルル、急に何を……?」

 ユークとアウリンにはただの素振りにしか見えず、理解できない。


 だが、セリスとヴィヴィアンは違った。


「えっ……!?」

「今の、何……?」


 二人は同時に驚きの声を上げる。


「テルル……今って技術を使ったの?」

 セリスの指摘に、テルルは得意げに胸を張った。


「ふふん! さすがに見破ったか! ワシのレベルが四十になったようでな。その時、知識が流れ込むように大鎌の基礎技術が頭に入ってきたんじゃ!」


 嬉しそうに再び大鎌を振るテルル。


 ジョブスキルは通常、十歳の時に与えられる。その職業に関する経験や知識を一瞬で習得させてくれる力だ。その恩恵をテルルは今、最大限に受けていた。


「すごいわね、テルルちゃん! カッコイイわ~!」

 ヴィヴィアンが手を叩いて喜ぶ。


「そうじゃろう、そうじゃろう! これでワシもセリスたちに負けない戦いができそうじゃぞ!」

 テルルはユークの肩を叩き、満面の笑みを浮かべた。


◆◆◆


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ユーク(LV.44)→(LV.45)

性別:男

ジョブ:強化術士

スキル:リインフォース(パーティーメンバー全員の全能力を10%アップ)

EXスキル:≪リミット・ブレイカー≫

備考:かつて共に戦った霊樹の精霊が困難に直面しているのなら、何か力になりたかった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

セリス(LV.42)→(LV.43)

性別:女

ジョブ:槍術士

スキル:槍の才(槍の基本技術を習得し、槍の才能をわずかに向上させる)

EXスキル:≪タクティカルサイト≫

EXスキル2:≪ブーステッドギア≫

備考:サンドイッチがあまりに美味しく、気づけば三つも食べてしまった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

アウリン(LV.43)→(LV.44)

性別:女

ジョブ:炎術士

スキル:炎威力上昇(炎熱系魔法の威力をわずかに向上させる)

EXスキル:≪イグニス・レギス・ソリス≫

EXスキル2:≪コンセントレイション≫

備考:万が一に備えて色々と用意していたため、もう一食分なら全員に振る舞える。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ヴィヴィアン(LV.42)→(LV.43)

性別:女

ジョブ:騎士

スキル:騎士の才(剣と盾の才能を向上させる)

EXスキル:≪ドミネイトアーマー≫

EXスキル2:≪インヴィンシブルシールド≫

備考:アズリアに合わせてテルルを名前で呼ぶようになったが、今ではその呼び方が自然になっていることに少し恐怖を覚える。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

テルル(LV.37)→(LV.40)

性別:男(女)

ジョブ:氷術士

スキル:≪アイスアロー≫(使用不能)

EXスキル:大鎌の才(大鎌の基本技術を習得する)

EXスキル2:??

備考:レベルアップにより一部スキルが最適化された。ただし近接戦闘の才能が無いにもかかわらずスキルが与えられたため、才能向上の効果は発揮されていない。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

アズリア(LV.30)

性別:女

ジョブ:剣士

スキル:剣の才(剣の才能をわずかに向上させる)

EXスキル:≪ストライクエッジ≫

備考:自分用に持参した食事はギルド製の保存食。安価で味はそこそこ、腹持ちは十分。

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