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「お前は用済み」と追放されたけど、俺のことが大好きな幼馴染も一緒に抜けたせいで元パーティの戦力が崩壊した件  作者: 荒火鬼 勝利


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第208話 霊樹の洞窟


 霊樹にあいた大洞(おおうろ)の最奥。


 琥珀のゴーレムに守られた先の穴の中にユークたちは足を踏み入れた。


 そこは、背の高いヴィヴィアンが頭をぶつけかねないほどの狭さで、全員が一列になって移動しなければならなかった。


「一旦入る順番を決めよう」

 穴の中を確認し、その狭さを認識したユークが声をかける。


「中で隊列を入れ替えるのは難しそうだし、その方がいいかもしれないわね」

 アウリンが同意して頷く。


「私は最後尾でいいわ。この狭さだと、いざという時に私の動きが制限されちゃうから」

 兜を取ったヴィヴィアンが(ほほ)に手を当てて首を傾げた。


「ならワシはその次じゃな。アレ(モンスター召喚)を使うなら、戦闘であまり役に立てんし」

 テルルが声を上げる。


「なら先頭は私だねっ!」

 セリスが元気よく手を振りながら発言した。


「セリスの次はアウリンにお願いしてもいいかな?」

 リーダーとして全体を把握しやすい位置にいたいユークは、アウリンに視線を送った。


「わかったわ。アズリアさんはどうしますか?」

 アウリンが了承し、監視役であるアズリアに問いかける。


「すまないがヴィヴィアンの前にいれて貰ってもいいか?」

 アズリアが申し訳なさそうに言う。


「ええ、構いませんよ」

 ヴィヴィアンがにっこりと笑い頷く。


「よし 順番は決まった! さっそく進もう!」


 ユークの号令で、セリスから順番に大洞(おおうろ)の洞窟へと入っていった。



「綺麗……」

 先頭を行くセリスが目を輝かせて呟く。


 穴の中は一面に薄く光る苔が生えており、そのぼんやりとした光が、真っ暗な洞窟の輪郭を幻想的に照らしていた。


一行はいつまでもその光景を見ていたいような気持ちに駆られてしまう。


「《ライト》」

 ユークが軽く詠唱し、魔法の光で洞窟を 明るく照らす。


「あっ!」

 セリスが残念そうに声を上げる。


「ごめん。でもいまは先を急がないといけないから」

 ユークは申し訳なさそうに言った。


「ううん。行こうっ」

 セリスはしょんぼりとした声で返事をしたあと、先へと進む。


 霊樹の洞窟は、案の定別れ道がいくつもあり、テルルが召喚した銀色の虫の案内が頼りだった。


「この先に敵じゃ!」

 偵察用のモンスターから情報を受け取ったテルルが警告をだす。


「分かった!」

 セリスが警戒しながらじりじりと曲がりくねった洞窟を前進していく。


「うわっ! きもっ!」

 アウリンが思わず叫ぶ。


 現れたのは巨大な芋虫のようなモンスター。


 頭の部分に巨大な、胴体の部分にはその半分ほどのトゲがびっしりと生えている。


「ジャイアントワーム、粘性のある糸を吐いてくるモンスターじゃ!」

 テルルが即座に解説を入れる。


 ジャイアントワームが白い粘液のようなものをはき出した。


「っ! 糸を吐いてきたわ!」

 アウリンが驚き、警告する。


「大丈夫! このくらいなら!」

 セリスが軽く笑い、吐かれた糸を防ごうと槍を大きく動かした瞬間。


「……あっ」

 狭い洞窟に槍の先が引っかかってしまう。セリスは顔を青くし、ダラダラと汗をかいた。


「えっ! ちょっ!?」

 アウリンはそんなセリスに驚き、声を上げる。


(そっか……そういえばこんな狭いところで戦かった経験は無かったかも……)

 ユークが瞬時に思考する。


「きゃっ!」

 セリスは粘性の糸を身体にうけてしまい、拘束されてしまう。


「あっ……」

 咄嗟に魔法を詠唱しようとして固まるアウリン。


 詠唱しようとした魔法はフレイムアロー。使い慣れた魔法だが、こんな閉所で使えば周囲を巻き込むのは明らかだった。


「ストーンウォール!」

 ユークが魔法を唱え、勢いよく下から出現した石壁にジャイアントワームは押し潰される。


 ジャイアントワームは絶命し、あたりに静寂が戻った。


「ユーク……!」

 ホッとした表情でセリスがユークを見る。


「……ごめんなさい、セリス。魔法の選択を間違えたわ」

 アウリンが謝った。


「私も、ちょっと油断してたかも……」

 セリスも申し訳なさそうな表情で反省する。


「いいよ、いいよ。慣れてなかったんだからしょうがないって。アウリンも気にしないで、次から気をつければいいじゃない」

 しょんぼりとしている二人を、明るい口調で慰めるユーク。


「あ、そうだ。テルル、リヤカーの中に予備の槍があったと思うから出してくれない?」

 ユークがリヤカーを引くテルルに呼びかけた。


「ん? ちょっと待て……これか?」

 テルルがゴソゴソとリヤカーを探り、槍を見つけてユークに渡す。


 ユークはそれを受け取り、セリスに差し出した。

「セリス、これを使ってみて」


「これは?」

 ユークが渡したのはセリスが使う魔槍よりも短めの槍。


「予備として買った槍だよ。それならここでも引っかかりづらいんじゃない?」

 その槍は確かにセリスの魔槍よりも短くて、この狭い場所に適しているように見えた。


「ん~。うん、よしっ! これなら、大丈夫そう」

 セリスが渡された槍を振り回して、満足げに頷いた。


 こうして問題を解決したユークたちはさらに洞窟を先に進んだ。


 それから何度もジャイアントワームも出現したが、狭い場所に慣れたセリスの敵ではなく、次々と撃破されていく。


 次の一体を倒し終えた直後、セリスは奇妙な羽音を聞いた。


「何か、他にいる!」

 セリスが叫ぶと、テルルが即座に警告を発した。


「キラーワスプじゃ! 同時に来るぞ、気をつけろ!」


 キラーワスプは人の頭程度の大きさのスズメバチのモンスターだ。鋭い毒針と、獲物を追い立てるような不快な羽音を伴って迫る。


「大丈夫!」

 狭い洞窟でジャイアントワームが糸を吐き、キラーワスプがお尻の針を向けて襲いかかってくる。


 だが、セリスは粘性の糸を器用に槍で絡め取り、その勢いのままにキラーワスプを両断した。


 素早い動きで、必死に糸を吐くジャイアントワームの群れに近づき、あっさりと全滅させて戦闘は終了する。


 その後もジャイアントワームとキラーワスプによる数度の襲撃を受けたが、何体で来ようともセリスは難なく撃破し、一行は洞窟の終点にたどり着く。


「外だっ!」

 セリスが嬉しそうな声をあげる。


 洞窟の外に出たユークたちは、久々に吸う新鮮な空気に、安堵の息を吐いた。


「うわ〜高いわね〜」

 アウリンが下を見て思わず声を震わせる。


 洞窟を出た先は巨大な霊樹の枝の上だった。


「すごい! 葉っぱが大きい!」

 セリスが目を輝かせながら、上を見上げてくるりと回る。


「いつの間にかこんな高さまで来てたのか……」

 ユークが意外そうな表情で呟く。


「ん〜〜っ! ようやく広いところに出たわ〜」

 ヴィヴィアンが大きく伸びをして、息を吐いた。


 ずっと窮屈な思いをしてきたのもあり、大きな開放感を感じていたのだ。


「もう必要無いじゃろうから回収するぞ?」

 テルルは、アズリアに悟られぬよう、偵察用の銀の虫をそっと吸収してレベルを戻した。


「すごいな……こんな高いところから下を見れるなんて……」

 初めての高い場所に、アズリアは恐る恐る下を覗く。ユークたちはその様子を微笑ましそうに眺めるのだった。



◆◆◆


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ユーク(LV.44)

性別:男

ジョブ:強化術士

スキル:リインフォース(パーティーメンバー全員の全能力を10%アップ)

EXスキル:≪リミット・ブレイカー≫

備考:状況を瞬時に判断し、もし一撃で倒せなかった場合も敵を拘束できるストーンウォールを選択した。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

セリス(LV.42)

性別:女

ジョブ:槍術士

スキル:槍の才(槍の基本技術を習得し、槍の才能をわずかに向上させる)

EXスキル:≪タクティカルサイト≫

EXスキル2:≪ブーステッドギア≫

備考:短い槍で閉所戦闘に慣れたおかげで、二度目以降の戦闘でミスすることは無かった。外に出たので、また愛用の魔槍に持ち替えている。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

アウリン(LV.43)

性別:女

ジョブ:炎術士

スキル:炎威力上昇(炎熱系魔法の威力をわずかに向上させる)

EXスキル:≪イグニス・レギス・ソリス≫

EXスキル2:≪コンセントレイション≫

備考:咄嗟に使い慣れたフレイムアローを詠唱しかけたが、狭い洞窟で使えば仲間を巻き込むと気づき固まった。閉所での魔法の選択にもっと注意を払う必要がある。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ヴィヴィアン(LV.42)

性別:女

ジョブ:騎士

スキル:騎士の才(剣と盾の才能を向上させる)

EXスキル:≪ドミネイトアーマー≫

EXスキル2:≪インヴィンシブルシールド≫

備考:頻繁にヘルムの上が天井に当たるのはストレスだった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

テルル(LV.35)→(LV.37)

性別:男(女)

ジョブ:氷術士

スキル:≪アイスアロー≫(使用不能)

EXスキル:氷威力上昇

備考:武器の大鎌は刃部分は霊体で洞窟内でも扱えるが、柄の部分は実体があるし意外に長さもあるので、やはり狭い場所では戦いたくない。

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アズリア(LV.30)

性別:女

ジョブ:剣士

スキル:剣の才(剣の才能をわずかに向上させる)

EXスキル:≪ストライクエッジ≫

備考:先頭のセリスとユークの即応性に感嘆した。もし自分が先頭だったら、ジャイアントワームとキラーワスプによる一度目の襲撃であっさり拘束され、死んでいたかもしれない。

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