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「お前は用済み」と追放されたけど、俺のことが大好きな幼馴染も一緒に抜けたせいで元パーティの戦力が崩壊した件  作者: 荒火鬼 勝利


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第192話 熱を帯びた吐息と胸の鼓動


「ユーク君、私は……あなたのことが、好きです」

 ヴィヴィアンはわずかに震える吐息と共に、真っ直ぐに想いを告げた。


「私を……ユーク君の恋人にしてもらえませんか?」

 潤んだ瞳に決意を宿し、彼女はぎゅっと拳を握って深く頭を下げる。


「ヴィヴィアン、頭を上げて」

 ユークが静かに呼びかける。その声に促されるまま、彼女はゆっくりと顔を上げた。


「……ごめん。少しだけ顔を近づけてくれる?」

 ユークが照れくさそうに言う。


「ええ……」

 ヴィヴィアンは身をかがめ、彼に視線を合わせる。


「俺の方こそお願いするよ。ヴィヴィアン……どうか俺の恋人になってほしい」


 そう告げて、ユークは彼女の頬にそっと口づけをした。


「……っ!」

 温もりが広がり、ヴィヴィアンの心臓が跳ねる。夢ではないと確かめるように、彼女は瞬きを繰り返した。


「……はいっ!」

 自然と、涙が溢れる。


 頬を伝う雫は、悲しみではなく喜びにあふれた涙だった。


「ユーク君……!」

 ヴィヴィアンは堪えきれずにユークの胸へ飛び込む、そんな彼女をユークは強く抱きとめた。


 お互いの鼓動が重なり、体温がじんわりと伝わる。


 ――そんな二人を横目に、テルルは「ふむ」と頷き、足音を忍ばせて部屋を後にした。


 廊下に出ると、そこには扉の前で気を揉んでいたアウリンとセリスの姿があった。


「どうだったの?」

 アウリンが身を乗り出す。


「ヴィヴィアンちゃん、大丈夫?」

 セリスも不安げに問いかける。


 テルルはにやりと笑って答えた。


「うむ、心配無用じゃ。ようやくあの子は、自分の想いを口にできた。……ユークも想いを受け止めてくれたしの」


「そっか……よかった……」

 アウリンが胸を撫で下ろす。


「なら、もう安心だね」

 セリスも微笑んだ。


「うむ。あとは二人に任せておけばよい」

 テルルは満足げに笑い、三人は静かにその場を離れていった。


 ◆◆◆


 部屋に残されたのは、ユークとヴィヴィアンだけ。


「ヴィヴィアン……」

 名前を呼ばれると、彼女は照れくさそうに視線を落とした。


「ユーク君……その……」

 言いかけて口ごもり、もごもごと唇を噛む。


 ユークは彼女の思いを悟り、そっと耳元に顔を寄せた。

「ヴィヴィアン。……すごく可愛いよ。愛してる」


 ユークの囁きに、ヴィヴィアンの頬が一気に赤く染まる。目を上げると、すぐそこに彼の顔があった。


 自然と唇が重なる。触れるだけの短い口づけ。


――けれどそれは、彼女の胸の奥を焦がすほど甘いものだった。


「……んっ……」

 唇が離されると、ヴィヴィアンは潤んだ瞳でユークを見上げる。


 ヴィヴィアンはユークの額にそっと自分の額をこすりつけた。


「ユーク君……本当は、ずっとこうしていたかったの……」

 ぽつりと漏らす声を、ユークはただ静かに、その言葉を受け止めていた


 かつてアウリンやセリスが彼の恋人になったとき、心から祝福した。その気持ちに嘘はなかった。


「……だけど、一緒に戦っていくうちに、少しずつ私もユーク君が好きになっていったわ……。でも……告白して、今の関係が壊れるのが怖かった。だから、ずっと気持ちに蓋をして、見ないふりをしていた……」


 その言葉の端々から、抑え込んでいた悲しみがにじみ出る。


「ずっと、好きって言いたかった。本当は……あなたの隣に立ちたかった!」


 ユークは優しく彼女を抱きしめる。


「……ごめんね、気付いてあげられなくて……。だけどこれからは、ずっと一緒だよ」

「ユーク君……」


 ユークの指先が頬をなぞり、ヴィヴィアンはくすぐったそうに笑う。その手に自分の手を重ねた。


「んっ……♡ ふっ……♡」

 寄り添う距離が自然と縮まり、再び口づけが交わされる。今度は深く、長く――互いの熱を分け合うように。


「あっ……」

「ヴィヴィアン……」

 抱き合ううちに、ヴィヴィアンの肩に掛かっていたケープがふと滑り落ちる。布の隙間から伝わる体温に、ユークは小さく息をのんだ。


 部屋着のワンピースも、やさしい手つきでユークによって脱がされ、彼女の白い肩が覗く。


「ユーク君……恥ずかしいわ……」


「恥じらってるヴィヴィアンも可愛いよ……。大丈夫……全部、俺に委ねてくれ……」


 囁きながら、ユークも上着を脱いでいく。


「あっ…… んちゅっ……」

 互いにキスを交わしながらも、少しずつ服を脱ぎ合い、素肌を確かめ合うように触れていく。


 熱を帯びた吐息と心臓の鼓動が、静かな部屋に響いていた。


◆◆◆


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ユーク(LV.44)

性別:男

ジョブ:強化術士

スキル:リインフォース(パーティーメンバー全員の全能力を10%アップ)

EXスキル:≪リミット・ブレイカー≫

備考:彼女の想いに気づけなかったことを悔やみ、今はその分まで、全力で愛を注ごうと心に誓っている。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ヴィヴィアン(LV.42)

性別:女

ジョブ:騎士

スキル:騎士の才(剣と盾の才能を向上させる)

EXスキル:≪ドミネイトアーマー≫

EXスキル2:≪インヴィンシブルシールド≫

備考:熱に浮かされたように頭はぼんやりしているが、自分がいま誰よりも幸せであることだけは、はっきりと分かっている。

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