表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/161

閑話 まだまだ勉強が必要ね


 ギルドで借りた部屋


 ユークは椅子の上で軽く伸びをしながら、向かいの椅子に座るアウリンに声をかけた。

「そういえば、お医者さんに魔力欠乏症だって言われたんだけど」


 アウリンは、プレゼントされた髪飾りを指でなぞるように触っていたが、その言葉を聞いて手を止めた。


「え? ああっ! そういえば説明してなかったわね! 必要ないと思ってたから……」

 慌てて背筋を伸ばし、真剣な表情を作るアウリン。


「えっ!? 大丈夫なの??」

 セリスが目を丸くし、心配そうにユークの顔を覗き込む。


「心配ないわよ。ただ一時的に魔力が底をつきかけただけだから」

 アウリンは軽く肩をすくめながら言った。


「ランプを灯すのに油が必要なように、魔法にも魔力が必要なの。本来ならね」


「本来ならって?」

 ユークが眉をひそめると、アウリンは小さく頷いた。


「ダンジョンの内部には魔力が満ちてるから、魔法を使ってもすぐに回復するのよ。でも、ダンジョンの外だとそうはいかないの」


「つまり……ダンジョンの外では、魔法を使える回数に限りがあるってこと?」

 ユークの問いに、アウリンは指を立てて答えた。


「その通り。ただし、どれだけの魔力を持っているかは人それぞれだから、正確な回数はわからないけどね。でも、気を失うほど魔力を消費するなんて……一体何をしたのよ?」

 呆れたような視線をユークに向けるアウリン。


 ユークは少し気まずそうにしながらも、カルミアとの戦いの顛末を二人に語った。


「アイツっ……!」

 話を聞いたセリスは拳を握りしめ、怒りをにじませる。


「ははは……バカみたいなことしてるわね、ほんと」

 アウリンは乾いた笑いを漏らした。


「ちょっと!」

 セリスが非難の視線を向ける。


「まあ、教えてなかった私も悪かったけど……そんな効率の悪い使い方してたら、そりゃあ魔力欠乏症にもなるわよ」


 アウリンは額を押さえながら、呆れたようにため息をついた。


「ごめん……あの時は、それしか手がないと思って……」

 ユークは申し訳なさそうにうつむいた。


「いいのよ。でも、本当に魔力が足りてよかったわね。もし魔法の発動に必要な魔力が残ってなかったら、そのまま不発に終わってたわよ」

 アウリンは肩をすくめながら言う。


「っ……!」

 その言葉を聞き、ユークはぎゅっと拳を握りしめた。あの戦いは本当に紙一重の勝利だった。もし魔力が尽きていたら……その先を考えると背筋が寒くなる。


「はぁ……まだまだ勉強が必要ね……」

 アウリンが大げさに肩を落とす。


「うん……これからもよろしく」

 ユークは決意を新たにし、二人に向かってそう告げた。


 ◆◆◆


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ユーク(LV.11)

性別:男

ジョブ:強化術士

スキル:リインフォース(パーティーメンバー全員の全能力を10%アップ)

備考:よくカルミア相手に勝てたな、と改めて思う。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

セリス(LV.12)

性別:女

ジョブ:槍術士

スキル:槍の才(槍の基本技術を習得し、槍の才能をわずかに向上させる)

備考:次会ったら殴る。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

アウリン(LV.15)

性別:女

ジョブ:炎術士

スキル:炎威力上昇(炎熱系魔法の威力をわずかに向上させる)

備考:ギルドのルールがあるしダンジョンの外で戦闘になるとは思って無かった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ