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死にたい僕と死んだ君 ー出会いー

はじめて書いた短編小説です。

うまく書けていないところが多いと思いますが、ご了承ください



 「君何してるの?」


 高層ビルの最上階。落ちるにはなんだか景色が良すぎる気がするけど別にいいやって思ってここを選んだ。


 16歳、高校一年生。一応進学校に入学したはいいものの僕には合わない熱血系の学校で。なんだかどうでもよくなってこのままじゃ何の意味もない気がして。意味がないなら死んでもいいってわけではないのかもしれないけど、それでも僕は今日死ぬつもりだったんだ。今、この瞬間までは。


 「・・・誰ですか?」


 ここら辺ではみない制服。きれいな髪に、整った顔。僕より身長が高く見える女の子は僕を見てもう一度たずねた。


 「君何してるの?」


 誰かと話すのが久しぶりとかそういうわけじゃない。でも僕は声が出なかった。

 なぜなら、彼女に足がなかったから。制服をたどるようにして目線を下にずらしたとき、スカートの下から足が見えなかったのだ。


 「もしかして、もう気づいちゃったの?

  私が生きた人間じゃないってこと」


 生きた人間ではない。それはすなわち死んでいるということを表すのではないだろうか。

 僕と目がしっかりあって、それから彼女は話し出した。


 「ここで死のうと思ってるならおすすめしないよ。ここから落ちたら体ぐちゃぐちゃでどこもきれいに残らないし、なにより君はまだ死ななくてもいいはずだと思う」


 目を合わせて僕に必死にうったえかけている。でも僕には彼女の声は届かない。聞こうとしていないだけかもしれないけれど、それでも死ぬことを無責任に止める声なんて聞こえない。


 「きいてる?君が死んだらどれだけの人が悲しむと思ってるの?君がいなくちゃいけない人がどれくらいいるか分かってる?私は誰にも必要とされなかったけど君は違うでしょ」


 「もう邪魔しないでください!」


 僕は我慢の限界を迎えた。死にたいと言ったら止められるとわかっているから誰にも言わずに出てきた。今までだって誰にもそういう話をしたこともない。僕だってこんな環境じゃなけりゃ死にたいなんて思わなかっただろう。


 「あなたに僕の何がわかるんですか、どうしたらいいんですか。なぜ僕が死にたいかなんてわかんないでしょう、僕がどんなことを思って生きているかなんてわかんないでしょう?誰からもいいように扱われて親には変な期待をされる。僕は自分が自分でなくなるのが耐えられないんだ!誰か本当の僕を返してよ!」


 誰もいないようなこの時間に叫んだところで誰かに聞かれることもない。普段は自分でも気にしないふりをしていたことが口からぽろぽろあふれて、いつしか静まり返った時間にくたびれた僕だけが残っていた。


 「いえるじゃん、ちゃんと。嫌なことも自分で言ってたじゃん、私と違って。いっぱい頑張って切羽詰まって苦しかったんだね、大丈夫だから」


 死んだ人間なんて温度があるはずがない。なにせ浮いているそんなモノに触れられるわけがない。

 でも、彼女は僕を抱きしめて心臓の音を聞かせようとして。聞こえるはずがないのにどこかで聞こえているような気がして、抱きしめられた時の温かみがここにあるような気がして。


 気付けば僕は頬を濡らしていた。どこからともなく現れる僕の重たい黒いなにかが一瞬だけ弱まった気がした。


 「なにかつらいことがあったらここにおいで、いつでも待ってるから」


 そういって笑顔を見せた君。

 僕たちはこの日から不思議な友達になった。




 

いかがだったでしょうか

なんとなく自分の中で続きが考えられたら書こうかなと思っています。

ありがとうございました

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