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最強魔導士となって国に尽くしたら、敵国王子様が離してくれなくなりました  作者: 湊一桜
最終章

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9. 勝利の知らせと、グルニア帝国の崩壊

 その日は、朝から宮廷内が賑わっていた。そして、朝食に紅白饅頭が出された。これはもちろん私が故郷から持ち帰ったレシピだ。


「皆が無事に帰って来られて、嬉しいです」


 お義母様はほっとしたような表情を浮かべている。いくつになっても、子供が無事であることを祈っているのだろう。レオンは愛情をかけて育ててもらえなかったなんて言ったが、お義母様からは十分愛情を感じる。ただ、王子という身分のため、厳しくしつけないといけなかったのだろう。


「じきに皆は城に帰って来るだろう」


 国王陛下がそう告げられた数時間後、外から大勢の足音と話し声が聞こえてきた。そして、すぐに扉が開けられ……


「ローザ!!」


 大好きな声で名前が呼ばれる。その声を聞くだけでドキドキし、体が熱くなる。そして、顔がにやけてしまう。無事で良かった。……本当に無事で良かった!!


 レオンの緑色の服は、土や埃で汚れていた。おそらく、激しい戦闘が繰り広げられたのだろう。その中で、いつものように先陣を切り、敵を圧倒したのだろう。

 その汚れた服のまま、私をしっかりと見て走り出す。不敵なその表情は和らぎ、愛しいものを見る甘い眼差しへと変化する。


「ローザ、会いたかった!」


 城のものがいるのに、恥ずかしがることもなく私に駆け寄る。そして、優しく、だがしっかりと抱きしめる。


「ローザ、元気にしていたか? 食事は食べられたか? 寂しくなかったか? 」


 自分のほうがよっぽど疲れているのに、レオンは私の心配ばかりしている。

 長くて甘い口付けのあと、ようやく私は聞く。


「レオン様こそ、お怪我はありませんか? 」


「怪我などない」


 レオンは私を抱きしめたまま、甘い甘い声で囁く。


「怪我をしたらローザが心配すると思って、万全の状態で帰ってきた」


「それは良かったです」


 ふふっと笑うと、レオンも嬉しそうに笑ってくれる。この強くて勇ましい王太子に、こんなにも大切にされて私は幸せだ。


 見上げると、大好きなレオンの笑顔。その笑顔すらも美しい。このイケメンにいつかは慣れると思っていたが、いつまで経っても慣れない。むしろ、日に日にドキドキが大きくなる。そして、今回みたいに離れれば離れるほど、磁石みたいに引き合ってしまう。


 大好きなレオンの笑顔を見て、ようやくレオンが帰ってきたことを実感した。そしてしばらくは、遠くへ行ってほしくないと思ってしまうのだった。






「グルニア帝国は、もはや国としての形を成していなかった。

 国民は貧困に苦しみ、裕福な暮らしをしている王を憎んでいた」


 再会を喜んでからしばらくして、私は久しぶりにいつもの部屋でレオンたちと話をしている。部屋の中にはレオンの他に、マリウス様、ハンス、そしてリリーがいる。リリーがこの場にいるのは珍しいが、ハンスが連れていくと言って聞かなかったようだ。リリーもハンスに愛されているのだ。

 部屋の中には、レオンの静かな声が響き渡る。


「不満がたまったグルニア帝国の民は、戦場で国王に牙を剥いた。

 我がロスノック帝国とともにグルニア帝国の王族、ならびに幹部を捕まえ、王座から引きずり下ろした」


 その話に、ハンスとマリウス様が頷いている。そして私とリリーは驚きを隠せない。

 長年敵対関係にあったグルニア帝国の民が、自らの国王よりもロスノック帝国に従うことを選んだのだ。そこまでドミニクたちは国民を苦しめており、また国民を舐めていたのだ。


 私がグルニア帝国に囚われた時も、非人間的な扱いを受けた。あの短期間のみで辛かったのだ。グルニア帝国に住んでいる人の苦しみは、私には理解出来ない。


「グルニア帝国をロスノック帝国に併合することも考えたが、彼らには彼らの文化を大切にして欲しい。

 そのため、ハンスが住んでいた異世界を参考に、民主主義国家を樹立しようと思っている」


 マリウス様が目の奥の鋭い瞳を輝かせ、自信満々に告げた。

 そうなのか……グルニア帝国は、日本のように生まれ変わるというのか。どうか次は国民が豊かに暮らして欲しいと願うばかりだ。


「グルニア帝国は現在も食糧難で苦しんでいる。

 人々は生きるための最低限の食糧も確保出来ないため、私たちが無償で援助しようと考えている」


 マリウス様の言葉を、鼻で笑いながらレオンが付け足した。


「マリウスは今でこそ賛成しているが、はじめは大反対だったからな。なぜ敵に手を貸さないといけないのかと。

 だが、人間として生きている以上、助け合うべきだろうと私は思う」


 私は、こんなレオンの考え方が好きだ。王太子という恵まれた身分ながら、いつでも国民、いや、この地に生きる人々のことを考えている。レオンがロスノック帝国にいる限り、ロスノック帝国も幸せであり続けるだろう。

 そして、こんなレオンと共に生きることが出来て、とても幸せだ。


「我が国にも、そのうち反帝国制の革命が起こるかもしれない。そうならないためにも、今後も国民を第一に考えた政治を行っていきたいと私は思っている」


 そしてレオンは付け足した。


「誰かが作ったゲーム中の我が国のよう、最悪な国にならないようにな」


 ハンスは気まずそうな顔をする。そんなハンスを見て、私たちは笑っていた。皆がハンスに怒っているわけではなく、ハンスのゲームを冗談と捉えて笑っているのだ。私はこれからも、みんなに囲まれてこの幸せの国で生きていきたい。





いつも読んでくださって、ありがとうございます!

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