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最強魔導士となって国に尽くしたら、敵国王子様が離してくれなくなりました  作者: 湊一桜
最終章

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6. 今日も心配症の王子様

 今日も体調が悪い。私はベッドに寝転がって、続く吐き気と戦っていた。そして、相変わらず公務中に抜け出してくるレオン、今日はハンスのタブレットを持っている。まさかここでゲームをし始めるのかと思ったが……


「ローザ。気分転換に、ゲームはどうだ? 」


 なんとそれを私に差し出す。ゲーマーが他人にゲームをやらせてあげるなんて、非常事態だ。私は全クリなんてもちろんしていないため、ゲームをしたい。だが、この体調では大好きなゲームすら出来ないのだった。


「ごめん……無理そう」


 レオンに告げて布団に突っ伏した。こんな私の髪を、そっと撫でてくれるレオン。この果てしない優しさが胸に沁みる。私が元気になったら、何十倍も恩返ししたいと思った。


「そういえば、水族館はどうなってる?」


 気になっていたことを、レオンに聞く。私は体調不良のため、水族館計画にも参加出来ていない。そのことに関しても、申し訳なく思っていた。

 だが、レオンは嬉しそうに答えた。


「順調だ。子供が生まれるまでには、水族館も開館するだろう。

 今はハンスと、どの魚を展示するか考えている」


「そっか、それは良かった」


 ホッとして答えた。水族館を知るのも、この世界にはハンスと私しかいない。私が参加出来ないため、ハンスに全てを任せてしまって申し訳なく思う。

 だが、レオンの関心は別のところにあったのだ。


「リリーが魔導士団を退団する」


 その言葉に、


「えっ!? 」


思わず聞き返し、上体を上げた瞬間に吐き気が遅い、またベッドに突っ伏せる。


 リリーが退団? あんなにも頼れる団長だったのに。一体どうしてしまったのだろう。

 まさか、魔導士団に愛想を尽かしたとか?それとも、大怪我したとか?


 よくないことばかりを考える私の髪を撫でながら、レオンが教えてくれた。


「リリーも子供が出来たようだ。

 式はリリーの体調を見て、落ち着いた頃に挙げるようだ」


 思わぬ嬉しい知らせに、思わずにやけてしまった。まさか、リリーがそんなにスピード結婚するなんて。私よりも、さらにスピード婚だ。


「私も式に行きたいなあ」


 思わずこぼした私に、


「共に参加しよう」


レオンは告げる。


「ええっ!? レオンは王族なのに参加しちゃっていいの!?

 周りから何も言われないの? 」


 吐き気も一瞬吹っ飛んでしまった私は久しぶりに大きな声を上げたが、


「ローザももう王族だ」


レオンは優しい声で告げ、また私の髪を撫でる。


「リリーにもハンスにも世話になったからな。

 一般人の結婚式に、王族が参加してはいけないという決まりはない」


「そっか……」


 その言葉を聞いてホッとすると同時に、レオンがまた結婚式で爆弾を落とさないか不安にもなる。最近分かってきたが、レオンの爆弾発言は天然だ。きっと本人は深く考えず、思うままに言っているのだろう。そんなレオンが愛しくも思う。


「レオン、いつもありがとうね」


 そう言うと、驚いたように私を見る。


「なぜローザが礼を言うのだ?

 妻を心配して看病するのは当然だろう」


「そっか……そうだね」


 笑う私を見て、愛しそうに頬にキスをしてくれる。こんなレオンが大好きだ。レオンと結婚出来て、私は本当に幸せだ。




◆◆◆◆◆




 それからしばらく私の絶不調は続いた。


 そして、長くて辛かったつわりにも、とうとう終わりが見えてきた。

 体調は日に日に回復し、今や歩けるようにはなってきた。もちろん、まだまだ本調子ではないのだが。


 代わりに私のお腹は少しずつ膨らみ、時々胎動すら感じられるようになってきた。


「あっ、動いた!」


 私は腹部に手を当てて声を上げる。するとレオンもその大きな手をそっとお腹に当てた。レオンが触れているところが温かい。久しぶりにレオンに触れられて、ドキドキする。妊婦となっても、私はレオンに狂わされているのだ。


 再びお腹の中がびくんと揺れ、


「あ!また動いた」


私は声を上げるが、レオンには分からないらしい。困ったように、それでいて嬉しそうな顔で、いくらか丸みを帯びたお腹を愛しそうに眺めている。


「早く大きくなって欲しいものだ」


 その言葉に頷いていた。




 胎動を感じるようになってから、私は不思議な感覚に陥っている。そして、その感覚は日に日に大きくなっているのだ。

 今までは何もなかった私のお腹に、今は大きな魔力が宿っていると分かる。私の魔力とは別に、さらに大きい力が腹部で動いているように感じるのだ。


 その話をレオンにしたら、愛しそうにお腹を見つめて告げた。


「きっと、子供の魔力も大きいのだろう」


「そっか。魔力の大きな子供が生まれそうで、王族としても安泰だね」


 レオンは何も言わず、そっと私を抱きしめる。私が妊娠してからは、レオンは昔みたいに力いっぱい私を抱きしめない。そんな心遣いさえ愛しい。


「王族としても安泰だろう。だが、私は君を、魔力の高い子供を産むという理由で選んだわけではない」


 やがて静かに告げられたその言葉に、いちいちきゅんとしてしまう私。お腹に子供だっているのに、私はまだまだレオンに恋焦がれている。


「私は、ローザの全てを愛している。ローザの存在そのものが大切で愛しい」


 こんなにも愛されて大切にされて、私はとても幸せだ。私はレオンに身を寄せ、幸せに浸っていた。





いつも読んでくださって、ありがとうございます!

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