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最強魔導士となって国に尽くしたら、敵国王子様が離してくれなくなりました  作者: 湊一桜
第二章

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12. 興奮する王子、逃げたい私



 待ち合わせのゲーム会社本社は、仙台市の中心部にある立派なビルだった。受付で名前を告げると、八階の会議室へ上がるように告げられた。外部が見えるガラス張りのエレベーターの中で、レオンが興奮していたのは言うまでもない。

 そしてエレベーターの扉が開くと、


「お待ちしておりました」


私よりも少しだけ歳上だと思われる男性が頭を下げる。

 ピシッとダークグレーのスーツを着て、黒い髪を流している。目鼻立ちはしっかりしていて、どこか日本人離れしている。


「お待ちしておりました、浜田様。……れ、レオン様」


 レオン様の部分だけ、明らかに声が上擦っている。そして会議室に入ると彼は、私たちに名刺を差し出した。


「ライトニング・エンターテイメント株式会社の反須百合夫と申します」


 反須百合夫……その名前を聞いて愕然とした。彼はロスノック帝国出身のハンスではなく、純粋な日本人なのだろう。せっかく仙台まで来たのに、反須さんはハンスではなかったのだ。


 意気消沈した私は、がっくりとしながら挨拶をする。


「浜田薔薇(ローザ)と申します。

 今日はお忙しいところお時間をいただき、ありがとうございます」


 そう言いながらも、反須さんがハンスでないのなら、さっさと引き上げようと思った。


 私の隣に座るレオンが


「私はレオンという名だ。ロスノック帝国……」


なんて自己紹介し始めるから、


「そ、そうだよね!!レオンは、反須さんの作られたゲームのファンなんだよね!」


慌ててその言葉を遮った。反須さんがハンスでないのなら、本当のことを言ってはいけない。頭がおかしいと思われるだけだから。


 案の定、反須さんは苦笑いをして、


「あ、ありがとうございます」


だなんて言う。そしてレオンは、私が話を遮ったことにムッとする。

 こんな私たちの様子を見て、


「失礼ですが……」


反須さんは遠慮がちに聞いた。


「お二人は、どういった関係ですか? 」


 そして私が答える間もなく、レオンが口を開いたのだ。


「ローザは私の婚約者だ。ローザは私に惚れている」


 ちょっと!いきなりそんなこと言わないでよ!!間違いではないんだけど……!!


 きっと睨む私を見て、レオンは甘く微笑んで私の手を握る。


「そうだろう?昨夜も甘い夜を過ごした」


 それを思い出して、私は真っ赤になる。今まではこれも戯言だと流していたが、もう戯言ではない。


「照れるローザも可愛い」


 レオンは恥ずかしくないのだろうか。私はとても恥ずかしい。なにも初対面の反須さんの前で、いちゃいちゃアピールしなくてもいいだろう。


 反須さんはぽかーんとした表情で私たちを見ている。きっと、レオンの言動にドン引きしているのだ。レオンは知らないだろうが、日本では恥じらいの文化というものがある。初対面の人の前で、いちゃつくことなんて普通はしないのだ!


「は、反須さん!申し訳ありません!!」


 私はレオンの手を振り払いながら告げる。


「私たちはハンスという名の男性を探していましたが、人違いのようです!!」


 そして、この場をそそくさと去ろうと思った。私は見ず知らずの反須さんに、レオンといちゃつく場面を見せに来たわけではないのだから。




 だが……


「殿下は、その女性と結婚されるのですか? 」


反須さんの言葉に、私はあんぐり口を開けて彼を見ていた。

 反須さんは、ロスノック帝国出身のハンスだったのだ。


 


いつも読んでくださって、ありがとうございます!

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