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最強魔導士となって国に尽くしたら、敵国王子様が離してくれなくなりました  作者: 湊一桜
第二章

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11. 王子様に愛される

「ローザの故郷は、予想以上にすごいところなんだな」


 私を抱きしめながら、レオンは甘い声で言う。


「私もこの世界で生きてみたかった」


「でも、私はロスノック帝国のほうが好き……だよ? 」


 レオンを見上げて告げる。レオンは怪訝な顔で私を見下ろす。その顔があまりにも美しく、いつまで経ってもイケメンには慣れないと思ってしまった。


「どうしてロスノック帝国がいいんだ?

 この世界のほうが便利だろう」


「便利だけど、ロスノック帝国の人は、みんな優しいから。

 ……私はこの世界では劣等生で、味方なんていなかった」


 今さら何を卑屈になっているのだろう。私はロスノック帝国に行って変わった。友達も出来たし、レオンという誰もが羨むような婚約者もいる。

 だけど、この世界で私の心に残された傷は、簡単には消えないようだ。新幹線の切符を買う時も、ホテルの宿泊者台帳に記入する時も、『浜田 薔薇』と名前を書くのが辛かった。


「私は、ローザって名前のせいで、みんなに笑われていた」


 絞り出された私の言葉に、レオンは驚いた顔をする。そして、


「ローザという名前は、君にぴったりな綺麗な名前だと思う」


低く甘い声で告げられる。

 レオンにこんなことを言われると、ローザで良かったと思う。大嫌いだった私の名前を、少しだけ受け入れられる気がした。


「それで君は、出会った時は誰にも心を開かなかったのか」


 その通りだ。私は人付き合いが下手なのも、陰キャなのも、全て名前のせいにしていた。

 だけど、実際は違ったのだろう。私は名前を理由に自分から殻に閉じこもって、人と関わらないようにしていた。


「出会った時は開かない蕾のようだったローザが、今や美しく咲いた花のように私に心を開いてくれて嬉しい」


 レオンは甘い声で告げながら、頬をそっと撫でる。その甘い瞳に見つめられると、胸がぼっと熱を持つ。


「私はローザが愛しい。愛しくてたまらない」


「そんな直球で言わないでよ……」


 私は真っ赤な顔でそっぽを向く。体がドキドキしておかしい。はじめは彼のことをイケメン、鑑賞用だと思っていた。だけど、いつの間にか彼の心が欲しいと思い始めた。彼の心を手に入れた私は、彼の全てが欲しいと思っているのだろう。実際、ホテルの部屋をもう一部屋取り直さなかったのも、心のどこかで待っているのかもしれない。私はいつからこんなにも打算的な女になったのだろう。



 そっぽを向いた私に、レオンはまた甘い口付けをする。そして私は、機械によって黒色に変わったその髪に手を伸ばしていた。


 レオンは驚いたように唇を離し、甘い瞳で私を見つめる。あぁ、やっぱりかっこいい。そして今の彼は、何だか色気すらある。頭がくらくらする。


「ローザ。私は君を大切にしたいと思っている。

 でも、もうそろそろ抑えが効かなくなってきた。

 私は君に、嫌な思いをさせたくない」


 甘く切なげに歪んだ表情の彼に、私は笑顔で告げていた。


「いいよ」


 レオンは驚いたように目を開く。驚くのも当然だ。今まで頑なに拒否してきた私が、予想外の言葉を吐いたからだ。


「だが……」


 頬を染めて狼狽えるレオンに、私は満面の笑みで告げていた。


「いいよ……私は、レオンのものになりたい」


 私の言葉を聞き、彼は切なげに、だが幸せそうに微笑んだ。

 こんな顔をしてくれるのなら、もっと早く許しておけば良かった。私はもう、彼以外考えられないのだから。


 私は初めて、レオンと一夜を共にした。

 こうやって、ますますレオンから離れられなくなるのだろう。私はレオンに愛されて、すごくすごく幸せだ。

 




いつも読んでくださって、ありがとうございます!

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