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最強魔導士となって国に尽くしたら、敵国王子様が離してくれなくなりました  作者: 湊一桜
第二章

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4. 王子様は危険

「ローザが来るまでは、殿下とそんなに関わったことがなかったから知らなかったけど……」


「殿下って、ヤバいよね。色んな意味で」


 仲間たちがひそひそ噂をしている。


「ただの強いイケメンかと思っていたのだけど……」


 私はそんな話を聞いて、自分のことのように恥ずかしくなった。だって、レオン様は、凡人では到底考えもしなかったやり方で、飲み会に強制参加してしまうのだから。





「私は、最近魔導士団に入団した、レオナルドだ。

 皆の者、よろしく」


 飲み会が開かれる食堂内で、彼が自己紹介をする。茶色のくせ毛のかつらを被り、魔導士団の隊服を着ているレオン様を、第一騎士団は王太子と疑ってはいないようだ。


「あのバレバレの変装、バレバレの態度でよく気付かれないよね」


「普通は、年に数回しかお目にかからない人だからじゃない?」


 後ろのテーブルで、ひそひそ話が聞こえる。そのテーブルからは、リリーの声も聞こえるのだ。


「ローザが現れるまでは、真っ当な第二王子だったよ?

 ローザと魔力交換をした辺りから、おかしくなってきたんだけど」


 リリーもそう思うのか。私だってそう思う。

 そして、レオン様が年に数回しかお目にかからないとは、どういうことだろうか。私が魔導士団に入団してからは、頻繁に現れ(邪魔され)ている。


 変装していても、レオン様はかっこいい。それにその魔導士団の隊服も、なかなか似合っている。


 レオン様をぼーっと見ていると、視線がぶつかった。それで慌てて目を逸らす。私はきっと、真っ赤な顔をしている。

 私の前には、奇跡的にアイドル騎士のアイク様が座っているが、私はレオン様が気になって仕方がない。真っ赤になって下を向くと、アイク様に話しかけられた。


「あなたは、第二王子レオン様の婚約者ですね。お話は聞いています。おめでとうございます」


 なんと、アイク様はイケメンのうえ、性格だって良さそうだ。私はレオン様を思って頬を染めながらも、アイク様に礼を言う。すると、アイク様は目を輝かせて私に告げるのだ。


「私たち第二騎士団は、いつも殿下に助けられています。王子なのに先頭に立って指揮する殿下を、皆尊敬しています」


 その話を聞いてすごく嬉しく思った。レオン様は、こんなにも部下から慕われているのだ。思わずにやけてしまう。

 だが……遠くから、刺すような視線を感じる。紛れもなくレオン様だ。レオン様はこうやって、私を見張っているのだ。レオン様を尊敬する第二騎士団の皆さんに、現在のレオン様の行いがバレないようにと祈るばかりだ。


「私たちだって、アイク様を尊敬していますよ!」


 いつの間にか、私の周りには人が集まっている。このアイドル騎士アイク様目当てだろう。だけど私は、頭のネジが外れてしまっても、レオン様がいい。レオン様中毒だ。


 ふとレオン様を見ると、私を気にしながらも、第二騎士団の男性と仲良さそうに話をしている。第二騎士団の屈強な男性の自慢話を聞き、すごいと言っているのだ。レオン様だってすごいのに。レオン様はなんだかんだ言って、優しくて人当たりがいい。こういうところが好きなのだ。


「レオナルド、どうして魔導士団に入ったんだ?

 お前は力もありそうだし、騎士でも通用するだろう」


「そうだな。……でも私は、騎士も魔導士も、同じくらいすごいと思っている」


 この騎士は、レオナルドがレオン様だと分かるとひっくり返るだろう。そして、そんなことが起こらないことを祈るばかりだ。



 私の周囲は、いつの間にかアイク様狙いの魔導士で溢れていた。アイク様に興味のない私は、そっと立ち上がる。私が立ち上がるのを見たレオン様も立ち上がったため、私はそっと逃げ始める。

 そして、立ち上がったレオン様の右手首の痣を、騎士団の男性が目敏く見つけた。


「あっ、レオナルド!それ、魔力交換の痣だろ?」


 ビクッとする私。私はもちろん、右手首にはスカーフを巻いている。

 レオン様はわざと見せつけるように、それに唇を付ける。


「もうやったのか!?」


「まあね。私には、大切な人がいるから」


 また始まった。そして私は聞かないふりを続けるのみだ。だが、気になって仕方がない。


「本当か。恋人か?」


「あぁ、結婚するんだ」


「そうか。殿下も結婚されるようだし、レオナルドもおめでたいな」


 とうとう我慢が出来なくなった私は、


「レオナルド!」


レオン様を呼んで、そのテーブルへと近付いていた。


 私に呼ばれ、目を輝かせて顔を上げるレオン様。その顔を見るだけで、ぼっと全身が熱くなる。そんなに嬉しそうに、私を見ないで欲しい。


「れ、レオナルド。ハンカチが落ちてるよ」


 そう言って床に落ちたものを拾うマネをする。するとレオン様も、慌てて取ろうと身を屈めた。

 その瞬間、耳元で囁く。


「レオン様、バレると危険です」


 私は警告するはずだった。だが、この行為が火に油を注いでしまったのだ。


「危険?……なにが危険なんだ?」


 レオン様は意地悪だ。口角を上げて、甘い瞳で私を見る。


「だっ、だから!!」


「君が男と仲良くしているのを、君の婚約者が知ったら危険だろうな」


「ち、違っ!!そんなんじゃない!!」


 咄嗟に否定するが、レオン様はなんだか怒っているようだ。挑むような瞳で私を見る。


「何が違うんだ?

 ……彼は今、君をすぐにでも抱きたいと思っているだろう。他の男が入る隙もないくらい、彼でいっぱいにしたいと」


「ちょっと……何それ……」


 そう言いながらも、顔は真っ赤だ。そして彼も頬を染めている。レオン様……嫉妬しているんだ。


 レオン様は頬を染め、口元をきゅっと結び私に近付く。私はじりじりと後退りする。

 このままでは、私はレオン様に捕えられてしまう。そして、レオン様もバレてしまう。


 騎士団の男性も、レオン様と私のただならぬ様子をポカーンと見ている。魔導士団のみんなも、ハラハラしてこっちを見ている。


 どうしよう……





 そんななか、不意に近くでパリーンと皿の割れる音がした。みんなの注意は、その音に集まった。






いつも読んでくださって、ありがとうございます!

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