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最強魔導士となって国に尽くしたら、敵国王子様が離してくれなくなりました  作者: 湊一桜
第二章

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3. 冗談はおやめください

 翌日、いつものように緑色のローブを着て、魔導士団に出勤する。私は正式にレオン様の婚約者となったが、意外と何も変わっていない。というより、レオン様が私とデキているということは、城内の周知の事実となっていた。レオン様は人目もはばからず私を抱きしめるし、キスだってしようとするからだ。私は、そんなレオン様から逃げながらも絆され続けていた。




 私が第二魔導士団の訓練施設の扉を開けると、


「ローザ!おめでとう!!」


仲間が一斉に駆け寄ってくる。


「私たちも婚約式行きたかったなぁ!」


「リリーだけ行けて、ずるい!!」


 いや、みんなが来るときっと笑われるから、来なくて良かったとホッとする。だが、こうやって祝ってくれて、本当に嬉しい。


「みんな、これからも変わらずよろしくね」


 そう言うと、よろしくと笑顔で言ってくれるみんな。私はこんなみんなが大好きだ。




 こんな和やかな雰囲気のなか、


「ローザはローザで幸せだけど、私たちも今日は頑張らなきゃね」


近くにいた仲間が告げる。今日は……何の日だっけ? 婚約式の準備で忙しくしていた私は、魔導士団の行事をすっかり忘れていた。

 ぽかーんとする私に、みんなは教えてくれる。


「ほら!今日は第二騎士団との飲み会よ」


「アイドル騎士の、アイク様と飲める、わーい!!」


 騒ぎ始める仲間たちを見て、ようやく思い出した。そうだ、今日は第二魔導士団と第二騎士団の打ち上げという名目の、飲み会だった。

 そして、アイドル騎士のアイク様は相変わらず人気だ。この飲み会が開かれたのも、アイク様目当てなのは間違いない。私はレオン様に夢中だが、第二魔導士団はアイク様に夢中なのだ。


 ほっとため息をつく私に、


「ローザはさすがに行けないよね」


近くにいたカイトが言う。カイトは男性なのに、ちゃっかり騎士団との飲み会にも参加するらしい。


「そうだね。私はちょっと……」


 特に夜に出歩くのは良くないだろう。また、私を狙う人だって出てくるかもしれないし……


「ローザが来ないの、寂しいなあ!」


「騎士たちは、殿下の婚約者のローザに興味津々なのに」


「ローザがいたら、アイク様とも話せるかもしれない!」


 みんなは口々に言うが、私が行けるはずもない。王太子の婚約者なのに、騎士団との飲み会に参加していたなんて噂がたったら最悪だ。


「ごめんね」


 みんなにそう謝った時だった。





「分かった、参加しよう」


 聞き慣れた声がした。そしてその声を、今この場で聞くなんて思ってもいなかった。


 私は、引き攣った顔で声のするほうを見る。するとそこには、にっこり笑うレオン様が立っている。


 な、なんでこんなところにいるの!? 来るだなんて、聞いていないのに!!


 私は、ずざざざざとレオン様から遠ざかった。だってレオン様はにっこり笑いこそしているが、明らかにピクついた笑みを浮かべているからだ。このまま見せしめのために、抱きつかれるのかもしれない!


 急なレオン様の登場により、魔導士団のみんなもパニックを起こしている。


「で、殿下!申し訳ございません!!」


「私たち、冗談を言っただけです!」


「も、もちろん、ローザを連れていくつもりはありません!!」


 必死にレオン様に弁明をしている。そんなみんなに、心底申し訳なく思ってしまう。私は今まで通りのローザだが、王太子の婚約者だ。今まで以上に慎重に行動しなければならないのだろう。


 レオン様は首元に怒りが見え隠れする笑顔で、みんなに告げた。


「だから、参加しようと言っている」


 ……は!?


「私も参加して、ローザを誘惑する男は片っ端から叩き潰してやろう」


 ちょっと待って。冗談には聞こえないのですが……!!


 レオン様は、甘い猫撫で声で私に告げる。もちろん、首元だけ怒った、満面の笑みで。


「ローザ。私たちは昨夜も愛し合った身だ」


「はい!? 」


 そのような事実はございませんが!!


「そのアイクとやらに、私とローザの愛し合った姿を見せつけてやろうではないか」


 意味が分からない。そして、飲み会の席ではレオン様から逃げるのが必至だ。

 レオン様は、いつものように袖を捲った右手首から覗く痣に、唇を付ける。だからそういうの、やめてよ!!


「れ、レオン様!!」


 私は咄嗟に声を上げていた。そして苦し紛れに告げていた。


「王太子のレオン様なんかが、魔導士団と騎士団の飲み会に参加していたら、変な噂が流れることはないですか?」


 だから私たちは、飲み会に出席するのはやめましょう。そう言うつもりだった。


 だがレオン様は、考えるように口元に手を当て、


「そうだな……」


ぼやく。


「それなら、私にいい考えがあるのだが」




 こうして、レオン様は私の思いもよらぬ方法で、飲み会に出席することとなった。レオン様の頭の中には、欠席という言葉は見つからなかったのだろうか。

 ……ネジが外れてしまっているのだから、普通の対応は求められないのかもしれない。






いつも読んでくださって、ありがとうございます!

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