表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強魔導士となって国に尽くしたら、敵国王子様が離してくれなくなりました  作者: 湊一桜
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/78

1. 婚約者として正式にデビュー

ここまで読んでくださって、ありがとうございました。

第二章では、ローザとレオンの仲がぐっと縮まります。

引き続きよろしくお願いいたします。

「ようやく、私は君を皆に紹介出来る」


 レオン様は私の手を取り、ちゅっと軽いキスをする。こんなに甘くて紳士な対応をされると、身が持たない。その前に、レオン様が美しすぎるのですが!



 レオン様と私の縁談は、すごい勢いで進んでいった。ついこの前プロポーズされたと思ったのに、すぐに国王陛下に紹介され、そして今日は婚約式だ。

 今日、私は皆の前で紹介され、晴れてレオン様の婚約者となる。結婚するだなんて実感はないのだが、レオン様は結婚を急ぎたいらしい。それは、グルニア帝国から狙われている私のためでもあったのだ。


 王族と結婚する際には、様々な儀式やしきたりがあることは予想出来た。そして当然それに従うつもりではあるが……今日の私は、見せ物感が半端ない。正装したレオン様は眩しいくらいにかっこいいのに、私は仮装大賞ではないかと思ってしまう。まさに馬子にも衣装とはこのことだ。


 それなのに、


「ローザ、綺麗だ」


レオン様はうっとりと私を眺めて告げる。


「こんなにも綺麗なローザを、誰にも見せたくない」


 それは私のせりふだ。

 白い衣装のレオン様はいつも以上に照り輝いていて、うっとり眺めたくなってしまうほどだ。だが、こんな美男が隣にいるなんて、申し訳ない気持ちにさえなる。


 それでも、


「ローザ様、お綺麗ですよ」


侍女たちは言う。もちろん、お世辞だと分かっている。心の中では私を見て、残念に思っているのかもしれない。

 だけど、こんなイケメンと結婚するのも、私が選んだ道だ。この罰ゲームみたいな婚約式だって、甘んじて受けよう。




 広間の扉が開かれる。大勢の人々に拍手で迎えられながら、私はレオン様と手を組んで歩く。そして、国王陛下に報告をするのだ。


 盛大な拍手が鳴り止み、今度は静まり返る広間で、陛下は私たちをしっかりと見た。レオン様によく似た、優しげな表情の陛下を見ると、少しだけ安心する。

 そしてレオン様は、静かに、だけどしっかりと告げる。


「私、レオン・ヴォルム・キュラリー・フォン・ロスノックは、浜田薔薇(ローザ)と婚約することを報告いたします」


 これもなかなかの見せ物だと感じる。高貴で長すぎるレオン様の名のあとに、浜田薔薇(ローザ)だ。場違い感が甚だしい。だけど、誰も突っ込まないのだ。


 陛下は立ち上がり、拍手をする。そして、広間の中は割れんばかりの喝采に満ち溢れる。

 受け入れてもらえたのは嬉しいし、レオン様と結婚出来るのも嬉しい。だけど、不安だってもちろんある。ごく普通の家庭で育ち、みんなに虐げられて育ってきた私が、いきなり王族に嫁ぐなんて……


 喝采が湧き起こるなか、音楽が流れ始める。婚約宣言が終わり、ダンスパーティーの始まりだ。レオン様と手を取り、練習に練習を重ねたダンスを踊る。



 最近の私は、相変わらず忙しくしていた。午前中は魔導士団に行き、午後は王太子妃教育を受ける。農業改革が落ち着いたと思ったら、次は王太子妃教育だ。

 異国の平民の私は、マリウス様に散々馬鹿にされながら教育を受けた。レオン様に恥をかかせるわけにはいかないと思い、必死で食らいついた。もちろん、王太子妃教育には、魔力によるチートなんて存在しない。だから私は、血の滲むような努力をした。……多分、受験よりも頑張った。


 レオン様も私に愛想を尽かすことなく付き合ってくれた。一晩中踊り続けたこともあったし、徹夜でこの国の歴史を覚えたりもした。足も靴擦れだらけだ。その甲斐があって、私は何とかダンスを踊れている。




 レオン様と手を取り合ってダンスを踊ると、わあっと歓声が上がる。そして、ため息が漏れる。


「ローザ様はお綺麗なだけでなく、所作もとても美しいわ」


「何という素敵なダンスなのでしょう!」


「美しいお二人は、絵になるわ」


 その言葉が本心であると信じたい。誰も私を嘲笑っていないと信じたい。




 レオン様が私の手を握ったまま、笑顔で告げる。


「ローザ、とても上手だよ」


 せめてレオン様は本心であると信じたい。……そうだよね。だって初めて踊った時なんて、あまりの酷さに顔が引き攣っていたから。そして、ローザらしくていいよ、だなんて慰めにもならない言葉をかけられたから。

 そういうレオン様の足も痣だらけだ。私が踏み付けたり蹴ったりしたからだ。


「私のために頑張ってくれて、ありがとう」


 レオン様が私を抱きかかえ、ふわりと宙を舞う。純白のドレスがさらりと靡き、会場はため息に包まれる。そして、一組また一組と、ダンスに加わっていくのだ。




 

 三曲ほど踊り、ようやく場を離れることが出来た私は、痛む足に密かに聖属性の魔法をかける。それで靴擦れも回復する。そんな私を見て、


「ローザ!」


リリーが駆け寄った。


 リリーは可愛らしいピンク色のドレスを着ている。第二魔導士団長として、この婚約式にも呼ばれたのだろう。

 リリーは笑顔で私に言う。


「おめでとう!」


「ありがとう」


「ローザ、すごく綺麗よ。おまけに、どんな酷いダンスを踊るのかと思ったけど、普通に上手じゃん」


 その言葉にホッとした。私、見た目もダンスも、想像よりもずっとマシなのかもしれない。ダンスに関しては、頑張って本当に良かった。


 ダンスを終えてようやく緊張の糸が切れた私は、テーブルの上を見る。テーブルには、色とりどりのサラダやハム、ローストビーフなんかが置かれている。フルーツだってあるようだ。

 いつの間にかロスノック帝国の食糧難はすっかり解決し、豊作によって国も潤っている。それがとても嬉しかった。


 私の視線に気付いたレオン様が


「ローザ、取ってやろう。どれが食べたい?」


甘い声で聞く。だから私は焦って答えた。


「そんな!王太子様に取らせる訳にはいきません。

 自分で取れます」


「私は君の婚約者だろう?

 婚約者が喜んで世話を焼くのは、当然のことだ」


 その気持ちは嬉しいが、やっぱりいけないと思う。

 そんな間にも、レオン様は私が見ていたサラダやらハムやらを次々皿に取り、フォークで私の口に運んでくれる。


「じっ、自分で食べられます!」


 抵抗するのに、無理矢理口の中に放り込まれた。



 こんな様子を人々は驚いて見ており、私は恥ずかしくなって真っ赤になって俯くのだった。


 レオン様の過保護には程がある。だが、こんなにも愛されて大切にされて、私は嬉しい。







いつも読んでくださって、ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ