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最強魔導士となって国に尽くしたら、敵国王子様が離してくれなくなりました  作者: 湊一桜
第一章

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23/78

23. 農業改革、順調です

 陽キャ魔導士たちとの騒がしい昼食を終え、私はようやく一人になる。レオン様の元へ向かって宮廷の中を歩きながらも、第二魔導士団のみんなのことを考えていた。


 苦手なノリだけど、なんだか楽しかったなあ。私は馬鹿にされないし、僻まれもしない。仲間とああやって話しながらご飯を食べられることが、信じられない気持ちでいっぱいだった。

 私は第二魔導士団のみんなに完全に心を許したわけではないが、第二魔導士団にいてもいいのかな、なんて思った。ローザをはじめ、第二魔導士団は陽キャだがいい人ばかりだ。




 こうやってにこにこしながら例の部屋の扉を開けたのだが……


「楽しそうだな」


部屋の中にはレオン様がいて、腕を組んで私を見下ろしている。心無しかイラついているようだ。

 レオン様はどうしてイラついているのだろうか。訓練施設にレオン様が来た時、私が逃げまくっていたからだろうか。それとも、カイトと手を握り合っていたからだろうか。


 人にこういう態度を取られた時、私はいつも萎縮していた。だが、イラつくレオン様を前に、意外と自分が余裕でいることに気付く。


「魔導士団、楽しかったです。

 私を魔導士団に入れてくださって、ありがとうございました」


 笑顔でレオン様に告げると、


「……そうか」


レオン様は低く呟いて額に手を当てる。


「まったく……私は君に狂わされっぱなしだ」


 意味が分からない。狂わされているのは、私のほうなのに。


「本当は君を、ずっと私の隣に置いておきたい。

 それなのに、喜ぶ君を見ると、もっと喜ばせてやりたいと思う」


 レオン様は不意に私の前にしゃがみ込んだ。そして、その綺麗な瞳でまっすぐに私を見る。


「君が魔導士団の男から言い寄られているのを見て、私は酷く苛ついた」


「……あ。レオン様は、嫉妬されているのですね!」


 私はこの甘い空気をなんとかさせようと思い、冗談のつもりで告げたのだ。だが、レオン様は冗談だと受け取ってくれないらしい。そもそも、陰キャが慣れない冗談なんて言ってみるから、分かってもらえなかったのだろう。


 レオン様は心無しか頬を染めたまま、私の右手首を掴む。レオン様の掴んだ手から、ピリッと電流が体の先々まで流れる。私はただ顔を真っ赤にして、体を強張らせて、レオン様を見ている。


「よく分かっているな、ローザ」


 レオン様は甘く切ない声でそっと告げる。その艶っぽい声で囁かれると、さらに胸が熱くなる。ドキドキが止まらない。


「君は、私のものだ」


 レオン様は甘く呟き、私の右手首の痣に口付けをする。そしてそのまま、かぷっとくわえる。


「◯▲◇×▼!!? 」


 声にならない悲鳴をあげる私を、レオン様は私の痣に噛みついたまま見上げる。その瞳がやたら色っぽくて、経験値ゼロの私は心臓が止まってしまいそうだ。


 これはいけない!完全に遊ばれている!!


「れ、レオン様!!」


 パニックを起こしながらも、必死で新たな話題を探す私。そして、私を余裕の表情で見つめるレオン様。こんなにもレオン様に掻き乱されて、私はどうなってしまうのだろう……ーー





「遅くなりましたー!」


 勢いよく扉が開いた。そして、いつものテンションのマリウス様が部屋に入ってくる。マリウス様が現れて、私は心底ホッとした。レオン様は日に日におかしくなっているのだから。


 マリウス様は真っ赤な私と、右手首に噛みつくレオン様を見て、乾いた笑いを浮かべる。


「あ、お邪魔でした?」


 わざとらしく言うマリウス様を、


「じゃ、邪魔じゃないです!!!」


全力で否定していた。

 ちょうどいいタイミングでマリウス様が現れて、本当に良かった。マリウス様がいなかったら、レオン様はどこまで暴走するつもりだったのだろうか。


 レオン様は不服そうに私の手を離し、思いっきり不機嫌な声で言う。


「邪魔だ。私は今、取り込み中だったのだ」


 と、取り込み中って……!!私を弄んで楽しんでいただけでしょう!!なんて突っ込みたくなった。


 だが、マリウス様もさすが凄腕の宰相だ。乾いた笑いのまま、レオン様に告げる。


「レオン様。ねちっこい男は嫌われますよ」


「き、嫌われるだと……!? 」


 レオン様は本気でイラついているようで、マリウス様を刺すような視線で睨んでいる。温厚なレオン様がこんな顔をするのが意外だが……いや、レオン様は温厚だったはずだが、最近は化けの皮が剥がれてきている。私に対しては隠すことなく、ストレートにものを言うようになってきているのだ。嬉しいのか、嬉しくないのか。



「気を取り直して、農業改革の続きをしましょう」


 マリウス様はそう言って、昨日と同じ種が入ったケースを机の上に置く。その横には、小さなさらさらした土が置かれている。……土?土を凝視していると、視線に気付いたマリウス様が教えてくれた。


「種を改良するとともに、土も改良したほうがいいと思っている。

 魔力を多く含む『土のもと』を作って、それを農地の土に混ぜたらどうかと思っている」


 さすがやり手のマリウス様は切れ者だ。その考えには舌を巻くばかり。私はこういった斬新な発想は出来ないが、魔力をたくさん注ぐことは出来る。だから、今はやれることをやるだけだ!


「マリウス。昨日蒔いた種は、まだ芽が出ていなかったな?」


 そう聞くレオン様に、マリウス様は乾いた笑いとともに告げた。


「レオン様は気が早いです。

 魔力を与えているわけでもないのだから、蒔いて一日で芽が出るわけがないでしょう」







いつも読んでくださって、ありがとうございます!

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