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転生阻止の魔法少女  作者: 反七夕のプリンス
電脳怪談の遊戯少女
13/20

2-5

 土曜日。

 俺と夏子は早速、作り置きしておいたジェノベーゼを食べていた。

「うん、アンタもなかなかウマい飯作ってくれるモンだな」

「ああ、一人暮らしで鍛えられてる」

 どうやら俺のお手製は好評のようだ。その証拠に、夏子が提案してくる。

「他のも作れんのか?」

「もちろん作れると思う」

「じゃあ今度作ってくれよ!」

「良いけど……お前も自分で作れるようになった方が良いと思うんだが」

「ええ~!?女性差別じゃねえのかそれ」

 不満を顔に乗せる夏子。

「いや男性だろうが女性だろうが(おんな)じだ。助け合いって言葉知らないのか」

 そう問うと、夏子は自身たっぷりに言った。

「もちろん知ってるぜ?魔法少女のチーム組んで戦ってた時は毎日が助け合いだったからな」

「じゃあ頼むよ」

「やーだね」

 即答。

「なんでだよ」

「お前魔法少女じゃねーもん」

「ええ!?」

「それに『神徒』の一件が終わるまでの契約だよな、この同居。『神徒』の件が解決したらアタシ出てくから」

 しれっと夏子が重大な事を言った。

「え、いや、ずっと同居とかじゃない、のか……な?」

「だってその後も一緒にいたら……その……」夏子が顔を赤らめた。「意識しちまうじゃねーか。アンタの事……『家族』だって」

「家族?」

「そ。アタシの……って何言わせるんだバカ」ボソボソと喋る夏子。「アンタはただの『利害一致』の関係だ、『友達』ではあるけど『家族』じゃねえ」

それを見て、俺は夏子の家族の事を思い浮かべた。


 宗教家だった、夏子の父親。その宗教はキリスト系。夏子が魔法少女、もとい『魔女』になった事から家族を無理心中に巻き込んだ。夏子を、現世に残して。

 それが、『神』の為だ、と。

 それから巴美さん達に出会うまで……『友達』と呼べる者はいたのだろうか。『神』が本当にいるとしたら、巴美さん達は『神』がくれた『贈り物』だったのか。


「裕誠?」

 普段の夏子の声。それでようやく意識が戻った。

「あっ、いや、ハハハ」

「考え事か?」

「うん、俺の両親の事」

 そう言うと、また気になった。呆然とはしないが、別の事を考えた。

 息子から離れて仕事をするが、息子を信頼して色々与えてくれた、俺の両親。娘と一緒にいたハズが、娘を疑って色々奪った、夏子の両親。

 離れるのが正解か、近づくのが正解か。

「さぁ、さっさと食べ終えるぞ」

 そう誤魔化しても、考えの渦は消えない。

「今日もバイトか?」

「ああ。終わったら俺のバイト先で合流だ」





「じゃ、行ってくるわ」

「好きに行ってこい」

 的織の素っ気ない返事。

「お前が例の事件を調査できるのはせいぜい、このタイミングだけだろうからな」

「うるせえ、それでも解決して大金持ちになってやらぁ」

 吐き捨てて、俺は寮を出た。


 例のネットカフェに着くと、高校生らしき三人がたむろしていた。野次馬か利用客か、それとも関係無い不良か……と思っていたが、よくよく見てみるとその中に……いた。

 ()()()の男子が。

「おいお前」試しに声をかけてみる。「トラックから生還したガキに言ってんだ、聞こえてっか?」

 眼鏡――例のガキが案の定こっちを見てきた。そして。

「えっ……」

 という風な顔を見せてきた。

「そりゃないぜ」

 俺は青信号を渡り、三人衆の側に寄った。三人の方も、俺を不審者だと思ってか逃げて行きやがる。

「待ってくれ~、俺だ!」走りながら言うのはキツい。「あの時!そう、トラックの時に眼鏡のヤツに話しかけた警官だよ!」

 そう言うと、眼鏡が急に足を止め、クルリとこちらを向く。

「えっ?」

 眼鏡のガキはそう言って、俺の方をまじまじと見つめる。

「おいどうしちまったんだよ、早く逃げるぞ」

「そうだぜ、事件の犯人扱いされたら堪ったモンじゃねえ」

 三人衆のあと二人、赤茶けたポニテの少女とザ・不良のヤツが眼鏡のヤツを引っ張って言う。そのうちに追いつき、息切れ状態で三人に言った。

「いや大丈夫だ、俺はお前らに助けを求めてる」

「来たあ!?」

「だから大丈夫だって。俺は巡査だよ、今は休日だけども」

「……アタシらを逮捕しに来たのか?」

 そう言ったのは赤茶ポニテだった。

「全然違うぜ、お前らにあんな怪事件起こせるとは思ってねえから」

「じゃあ何しに?」

「お前らの助けが欲しい」

「ホントか?」

 今度はザ・不良が訝し気に言う。

「お前こそ怪しいんじゃねえの?」

「全然違え。ホントだってばよ、この中に一人トラックから生還したヤツがいるから巻き込みたくて」


「成程な……お前らも独自に捜査してたんだな」

「そうだぜ」

 ザ・不良が自身気に言う。

「オッサンも同じ事か?」

「いやいや、オッサンて」失礼な事を言われたが、コイツらとは目的が同じだからあまり怒らねえようにしねえと。「俺はまだまだ35の現役巡査だぞ」

「ああそうかい」今度は赤茶ポニテが手元のスナックを食いながら言う。「だったらパトロールしなくて大丈夫なのか?」

「うるせえな、今日は休日だっつってんだろ」

「あの、お巡りさん」

 最後に眼鏡が言う。バカ丁寧だったから、こう言い返してやった。

「何だお前さん、この二人に比べたらバカ丁寧じゃねえか。気に入った、子分にしてやろう」

「いや子分はいいです」

「で眼鏡、お前らおとり捜査でもやんのか?」

「じゃなかったらなんで現地に来てるんですか」

「ってな訳で」赤茶ポニテが口を挟んだ。「アンタに構ってる暇は無いんだ、独自パトロールでもしてな」

「ちょ待ってくれよ、俺も力になるからさ」行こうとする三人を慌てて止める。「俺は万年巡査だが、この事件を解決すれば昇進もあるんじゃねえかって思ってんだ」

「ははあ、成程な」ザ・不良が感心気に言った。「だからさっき『お前ら()』って言ってたんだな」

「そうそう!お前も物分かりが良くなってんじゃねえか、感心感心」

「ははーん、協力ねぇ」物分かりの一番悪い赤茶ポニテがからかった。「果たしてただのお巡りにできるかね、ってな」

「コイツぅ……」

 胃がストレスを受け始めたみてえだ。


 ネットカフェ内部。

「ネットゲームを遊んでいると来る確率が高いそうですよ」

「そうかい子分一号」

「子分になった覚え無いですよ。あと俺の名前は松ケ谷裕誠です」

「ちなみに俺は宮本真司、そしてあの女の子が倉十夏子」

「バカ丁寧に名前まで教えてくれてご苦労さん」

「うるせえよポニテ」

「何とでも言っとけ」

「ちなみに巡査の俺は、欠端般平(かけはたはんぺい)。よろしくな、ポニテ以外」

「クソ、さっき真司がアタシの名前言ったろ」

「悪い悪い。失礼なヤツの名前は覚えないタチでな」


 俺達は四人で『インターネットの悪霊』を待っていた。四人で入れる部屋で、ネットゲームを始める事になった。が、俺は機械に弱い。

「で、どうやってログインするんだ」

 ここでも人に頼るような有様である。

「まずはアカウントを作らないと」

 子分一号改め松ケ谷裕誠がご丁寧にレクチャーしてくれるお陰で、MMORPGへのログインまで早く漕ぎ着けそうだ。とても役に立ってくれている。巨乳でもねえのに態度だけデカいポニテよりよっぽど良い。見た目は美少女なんだがなあ。

「……で、どうやってキャラメイクを」

「えとですねー……」

 どうやらこの裕誠ってヤツ、オタクだな?だからこんなに詳しいのか。コイツをおとりにでもしてやろうかと思った……がコイツはまだ若い。こんな若造が悪霊に引きずり込まれるより俺がそうなった方が良いに決まってる。それかポニテをぶち込むか。

 そうこうしているうちに、キャラメイクも終わった。俺のレベル1キャラが画面に堂々と映る。それを見て、俺は問うた。

「……おい裕誠、今からチュートリアル、どれくらいだ……?」





「悪かったな、お前らのお役に立てなくて」

「大丈夫ですよ、こっちも欠端さんのお役に立ててませんし」

「お互い様、か」

「はい」

「だがあのポニテは別だ。失礼って部分もあっからな」

「勝手に言ってろ」

「くっ、聞こえてやがったか」

 こういう掛け合いをしながら、ネットカフェを後にした。


 トラックから救われた時に声を掛けてくれたお巡りさん――欠端さんに言われるままに、MMORPGのレクチャーをした。紘樹に言われた事を参考に、MMORPGをプレイして『悪霊』を釣ろうという魂胆だった。終始、真司と夏子はついていけなかったようで、欠端さんも不機嫌を顔に呈していた。それでも、なんとか捜査を続行する事ができた。

 結果は……しかし「待ち人来ず」。時間までに成果は上がらなかった。


「じゃあ、また次の休日にな。学業サボんじゃねえぞ」

「欠端さんこそ、お巡りさんの仕事頑張って」

「ありがとな。お前に言われたMMO、面白えから仕事の合間に進めとくかもな」

 欠端さんと別れ、三人で下北沢まで。

「じゃ、俺またバイトだから」

「分かった」

「また土曜に会おうぜ」

 そして真司が夜のバイトへ行き、俺と夏子は自宅へ戻った。


「ああ、結局成果無しじゃんか。マジでアイツ、ボコボコにしてやりてえ」

 手洗いうがい着替えを済ませ、ベッドに大の字になった夏子が吐き出すように言った。

「だからサツには頼りたくなかったんだよ」

「でもあの人だって頑張った方だと思う。今回はたまたま結果が悪かったってだけで」

「アイツがおとり、やろうとすっから……あっ」言いかけて、止まる。再度口を開いたのは十秒後だった。「でもその場合だとお前がおとりなんだよな……」

「さらっと嫌な事が聞こえてきたけど」

そう言いつつ、俺はPS4を夏子に見せた。

「そうだ、()()でストレス発散しとく?」


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